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お母様は泣いていてしばらく話にならない状態だったので、落ち着くまで待ってから質問をした。
「お母様は私の事を愛していましたか?」
私の質問にお母様は即答をした。
「愛しているわ! 今まで、エルーシアだけを可愛がっていたのは、わざとではないの。私自身も気づいていなかったの。私はリリアーナも可愛がっているつもりでいたのよ」
お母様は悲しそうな顔をして私に向かって言った。
「ではなぜ私がルシアン様に婚約解消をされて落ち込んでいる時に、私に優しい言葉を掛けてくれなかったのですか? お母様は、ルシアン様と私の婚約解消でやっと正気に戻られたんですよね」
「今までエルーシアばかりを可愛がってしまい、リリアーナに辛い思いをさせたわ。だから、今さらどう関わって良いのか分からなくなってしまったの」
私は、お母様を睨み付けた。
「お母様は、逃げたのよ! 私から。お母様は、私よりも自分の心を守ったのよ! 私に謝って、ひどい言葉をぶつけられるのが怖かったのでしょう? だから、お母様は正気に戻ってからも、必要最低限しか私と関わろとしなかったのだわ」
お母様の顔は泣きそうだった。私は、話を続けた。
「婚約解消をされて落ち込んでいた時に、私を気に掛けてくれた家族はお兄様だけだったわ。毎日私の部屋にくだらない話をしに来てくれた。だから私は、エルーシアみたいにならなかった。そして、本当の意味で私の心を救ってくれたのは、クラウス様よ。クラウス様はいつも私の心に寄り添ってくれたわ。だから私は、本来の私を取り戻す事が出来たの」
お母様はごめんなさい。ごめんなさい。と言いながら泣いていた。
私は、お母様を見ながら話を続ける。
「私は、お母様に愛して欲しかった。ナディア様がクラウス様に関わるように……私と向き合って欲しかった。私もう十五歳まで育ってしまったけれど、五年先も十年先も私はずっとお母様の娘よ。今からでいい、少しずつでいい。私と向き合って。私の事をちゃんと見て欲しいの」
お母様は泣きながら頭を何度も縦に振っていた。
その様子を見た私の心は、少し穏やかなものとなっていった。
お母様が酷い事をしたのは、お兄様に対してもだと思ったが、話が長くなるので次の話に移ることにした。
私は最後の問題に取り掛かることにする。
「ずっと黙って聞いていますが、お父様は今のお話を聞いて何か思う事はありませんか?」
お父様が言葉を発した。
「すまなかったと思っている」
「何に対しての謝罪ですか?」
お父様は、黙ってしまった。
私は、お父様に向かって話を続ける。
「分からないなら、教えて差し上げますね。ことの発端は、お父様ですのよ。お父様はお母様の事を愛していますか?」
お父様は、即答をした。
「愛しているとも」
「では、それを言葉にして伝えていましたか?」
「それは……」
お父様の言葉が詰まった。
「やはり、していなかったのですね。だから、お母様の心は歪んでしまった。自分がおかしな行動をしていた事に気が付かないくらいに。お母様は、ずっとエルーシアだけを可愛がっていることに気付いていませんでした。正気に戻ったのは、私とルシアン様の婚約解消の時です」
お父様は何を言われているのか分からない。と言った顔をしていた。
「ですからお父様の愛がお母様に届いていないから、お母様の心が歪んでしまったのです。そしてその影響は、子どもの私達に降りかかってきた。お父様……住む場所を与え、食事を与え、衣類を与え、教育を与えても、人は育たないのよ。愛情を持って接しないと人間の心は、育たないの。私は、お父様に愛された記憶がほとんど無いわ。冷たくされた記憶も無いけれど」
ここまで言うと、お父様は申し訳なかった。と私に謝ってきた。
「お父様が一番謝らなければならないのは、お母様にでしょ!」
「セシリー……すまなかった。私は、セシリーを愛している」
それを聞いたお母様は、泣き崩れていた。
私は、お父様に疑いの目を向けた。
お父様……本当にそう思っている?
その場しのぎにしか見えないのだけれど……
私はお父様がどういった環境で育ったのかは知らないが、お父様が人の感情に対して疎いのを見ていると、お父様もこの家の被害者であるのかもしれないと思えた。それは、仕事が絡まない時に出る事が多いような気がする。
もしかしたらお父様は、プラメル家の跡取りとしてだけ育てられたのかもしれない。
私達兄妹は、歪んだ家で過ごす事で心が悲鳴を上げていた。そして兄妹三人は、それぞれの形で心の安定を図っていった。
お兄様はハーヴェス伯爵家に逃げて、家族から距離を置く事で。
私は家族や人との関わりを避ける事で。
そしてエルーシアは、この家で自分が一番愛されていると思い込む事で、それぞれ自分の心を守っていた。
私達はこの家の被害者だ。中でも、お母様の近くに居ることでお母様の歪んだ愛情を、一番に受けてしまったのがエルーシア。エルーシアが一番の被害者なのかもしれない……
私には、幼かった頃にお母様とお兄様とエルーシアと四人で笑い合って幸せだった記憶がある。
クラウスに助けてもらってすぐに本来の私に戻れたのは、人格形成の基礎を培うのに重要な乳幼児期に、お母様からたくさんの愛情を貰って育った事が大きく影響をしているように思う。
だから、私はお母様を嫌いになれない。
「お母様は私の事を愛していましたか?」
私の質問にお母様は即答をした。
「愛しているわ! 今まで、エルーシアだけを可愛がっていたのは、わざとではないの。私自身も気づいていなかったの。私はリリアーナも可愛がっているつもりでいたのよ」
お母様は悲しそうな顔をして私に向かって言った。
「ではなぜ私がルシアン様に婚約解消をされて落ち込んでいる時に、私に優しい言葉を掛けてくれなかったのですか? お母様は、ルシアン様と私の婚約解消でやっと正気に戻られたんですよね」
「今までエルーシアばかりを可愛がってしまい、リリアーナに辛い思いをさせたわ。だから、今さらどう関わって良いのか分からなくなってしまったの」
私は、お母様を睨み付けた。
「お母様は、逃げたのよ! 私から。お母様は、私よりも自分の心を守ったのよ! 私に謝って、ひどい言葉をぶつけられるのが怖かったのでしょう? だから、お母様は正気に戻ってからも、必要最低限しか私と関わろとしなかったのだわ」
お母様の顔は泣きそうだった。私は、話を続けた。
「婚約解消をされて落ち込んでいた時に、私を気に掛けてくれた家族はお兄様だけだったわ。毎日私の部屋にくだらない話をしに来てくれた。だから私は、エルーシアみたいにならなかった。そして、本当の意味で私の心を救ってくれたのは、クラウス様よ。クラウス様はいつも私の心に寄り添ってくれたわ。だから私は、本来の私を取り戻す事が出来たの」
お母様はごめんなさい。ごめんなさい。と言いながら泣いていた。
私は、お母様を見ながら話を続ける。
「私は、お母様に愛して欲しかった。ナディア様がクラウス様に関わるように……私と向き合って欲しかった。私もう十五歳まで育ってしまったけれど、五年先も十年先も私はずっとお母様の娘よ。今からでいい、少しずつでいい。私と向き合って。私の事をちゃんと見て欲しいの」
お母様は泣きながら頭を何度も縦に振っていた。
その様子を見た私の心は、少し穏やかなものとなっていった。
お母様が酷い事をしたのは、お兄様に対してもだと思ったが、話が長くなるので次の話に移ることにした。
私は最後の問題に取り掛かることにする。
「ずっと黙って聞いていますが、お父様は今のお話を聞いて何か思う事はありませんか?」
お父様が言葉を発した。
「すまなかったと思っている」
「何に対しての謝罪ですか?」
お父様は、黙ってしまった。
私は、お父様に向かって話を続ける。
「分からないなら、教えて差し上げますね。ことの発端は、お父様ですのよ。お父様はお母様の事を愛していますか?」
お父様は、即答をした。
「愛しているとも」
「では、それを言葉にして伝えていましたか?」
「それは……」
お父様の言葉が詰まった。
「やはり、していなかったのですね。だから、お母様の心は歪んでしまった。自分がおかしな行動をしていた事に気が付かないくらいに。お母様は、ずっとエルーシアだけを可愛がっていることに気付いていませんでした。正気に戻ったのは、私とルシアン様の婚約解消の時です」
お父様は何を言われているのか分からない。と言った顔をしていた。
「ですからお父様の愛がお母様に届いていないから、お母様の心が歪んでしまったのです。そしてその影響は、子どもの私達に降りかかってきた。お父様……住む場所を与え、食事を与え、衣類を与え、教育を与えても、人は育たないのよ。愛情を持って接しないと人間の心は、育たないの。私は、お父様に愛された記憶がほとんど無いわ。冷たくされた記憶も無いけれど」
ここまで言うと、お父様は申し訳なかった。と私に謝ってきた。
「お父様が一番謝らなければならないのは、お母様にでしょ!」
「セシリー……すまなかった。私は、セシリーを愛している」
それを聞いたお母様は、泣き崩れていた。
私は、お父様に疑いの目を向けた。
お父様……本当にそう思っている?
その場しのぎにしか見えないのだけれど……
私はお父様がどういった環境で育ったのかは知らないが、お父様が人の感情に対して疎いのを見ていると、お父様もこの家の被害者であるのかもしれないと思えた。それは、仕事が絡まない時に出る事が多いような気がする。
もしかしたらお父様は、プラメル家の跡取りとしてだけ育てられたのかもしれない。
私達兄妹は、歪んだ家で過ごす事で心が悲鳴を上げていた。そして兄妹三人は、それぞれの形で心の安定を図っていった。
お兄様はハーヴェス伯爵家に逃げて、家族から距離を置く事で。
私は家族や人との関わりを避ける事で。
そしてエルーシアは、この家で自分が一番愛されていると思い込む事で、それぞれ自分の心を守っていた。
私達はこの家の被害者だ。中でも、お母様の近くに居ることでお母様の歪んだ愛情を、一番に受けてしまったのがエルーシア。エルーシアが一番の被害者なのかもしれない……
私には、幼かった頃にお母様とお兄様とエルーシアと四人で笑い合って幸せだった記憶がある。
クラウスに助けてもらってすぐに本来の私に戻れたのは、人格形成の基礎を培うのに重要な乳幼児期に、お母様からたくさんの愛情を貰って育った事が大きく影響をしているように思う。
だから、私はお母様を嫌いになれない。
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