なんでも奪っていく妹に、婚約者まで奪われました

ねむ太朗

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  エルーシアと話をしてから、二日が経った。
  昨日は、一日のんびりと過ごした。
  エルーシアの部屋に行ったりもした。エルーシアは食欲もあり、なまった体を動かす練習をしていた。

  私は、馬車に乗ってリーベル公爵領に向かっている。
  馬車の中で私は、精霊エミリア様は怖くない。怖くない。と何度も心の中でとなえていた。

  リーベル公爵家に着くと、クラウスが出て来てくれた。

「こんにちは、リリアーナ」

「こんにちは、クラウス。この間はありがとう」

  私とクラウスは屋敷の裏にある森に進んで行く。

  歩いている時にエルーシアと話し合った事を伝えた。

「だからね、エルーシアとの関係をこれから築いていこうと思うの」

「仲直り出来て良かったな。応援しているよ」

「ありがとう!」

  そんな話をしていると池に着いた。
  私達は池に近付いて行く。

「精霊エミリア様!  エルーシアを助けて下さり、ありがとうございました」

  私はどこにいるの分からない精霊エミリア様に聞こえるように、大声で池に向かって叫んだ。

  何も起こらなかった。

「クラウス、聞こえたかしら?」

「きっと、精霊エミリア様に届いているよ」

  クラウスの顔は、穏やかだった。

「そうね。では、そろそろ行きましょうか」

「本当に怖いんだな。分かった。お礼も伝えたし帰ろうか」

  私達は池に背を向け歩き始めた。

「そこの者、待ちなされ」

  私は声が聞こえた方を見る為に振り返った。 
  そこには池の上に立っている、銀色の髪の毛で赤い瞳をした美しい女性がいた。

「でーたーーーーー!!!」

  私は慌ててクラウスの後ろに隠れた。
  クラウスは、固まったまま動かない。
  女の人が話し掛けてきた。

「ちょっと!  あなた本当に失礼ね!  ずっと思っていたけれど、私に対して怖がり過ぎなのよ。妹の命の恩人に対してその態度はどうなのよ」

  女性は池の上に立ち、腰に手を当てて言っていた。

「妹の恩人……。精霊エミリア様ですか?  エルーシアを助けて下さって、ありがとうございます」

「そうよ。どういたしまして。クラウスの後ろに隠れているけれど、まだ私の事が怖いのかしら?  リリアーナ」

「そうですね。池の上に人が立っていたら怖いですね」

  精霊エミリア様は、はっとした顔をしてから地面の上に移動をしてくれた。

「これで、いいかしら」

  私はやっと落ち着いたので、改めてお礼をして深く頭を下げた。

「精霊エミリア様。エルーシアを救って下さって、本当にありがとうございました」

「いいのよ。大したことでは無いのよ。ひょい!  って出来るから気にしないで」

「ありがとうございます」

  精霊エミリアは、私の隣に視線を向けてから私に話し掛けてきた。

「それよりも、クラウス大丈夫なの?」

「えっ……、クラウス?」

  私が隣を見るとクラウスは、今だに目を見開いたまま固まっていた。 

「クラウス!  ちょっと、大丈夫?  しっかりしてよ」

  私はクラウスの体を揺すって声を掛けた。
  クラウスと視線が合った。

「リリアーナは驚かないのか?  あんなに、怖がっていたじゃないか」

「私、形ある物は怖くないのよ。精霊エミリア様は、私に姿を見せてくれたからもう怖くないわ」

  クラウスは、不服そうな顔で私を見ていた。

「とにかく、もう精霊エミリア様が怖くないんだな?」

「そうよ。だって姿を見せてくれたのだもの。クラウスは怖いの?」

「怖くはないが、驚くだろう?」

「そうね。もう驚き終わったから問題ないわね」

「ああ」

  私は、精霊エミリアに話し掛けた。

「精霊エミリア様は、どうしてエルーシアを助けて下さったんですか?」

「あの場所に居て、現場を見ていたから助けたのよ」

「散歩をしていたのですか?」

「ん?  リリアーナを見ていたのよ」

  私は何故か分からなかったので質問をした。

「えっ?  私?  クラウスではなくて?」

「そうよ。だってあなたアルバートみたいに、思っていることが顔に出ているのよ。面白いから頻繁に見に行っていたのよ」

「えっ、顔に出ていませんから」

  私は不貞腐れた口調で答えた。 

「出ているわよ。今だって納得していません。って顔に書いてあるじゃない」

  私は言い返せなかったので諦めた。
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