夜の帝王の一途な愛

ラヴ KAZU

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第九章 忍び寄る影

彼とは結婚出来ないよ

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「もう、からかわないでください」 
「からかってないよ、マジそう思うよ」 
私は恥ずかしくて下を向いた。 
そこへ彼の後輩ホストが明日の打ち合わせの為に顔を出した。 
「社長、あっすみません、お邪魔でしたか」 
「バ~カ、変な事言うな」 
「あゆみさんですよね、俺、このホストクラブナンバー2を目指している東藤瑆(トウドウ ヒカル)って言います」 
「結城あゆみです、よろしくお願いします」 
「すごく可愛い」 
「おい、なんか用じゃないのか」 
「忘れていました、これ明日の招待客リストです」 
「わかった、明日よろしく」 
「じゃあ、お邪魔しました」 
彼の後輩ホストはその場を後にした。 
邪魔者がいなくなると、彼は私の顎を持ち上げ見つめた、そして吸い込まれるようにキスをした。 
「あゆみ、俺があゆみの雇い主になるよ」 
「えっ、だからホストクラブで働けないですよ」 
「そうじゃなくて、俺の身の回りの世話を頼みたい、これから店がリニューアルオープンするに伴って忙しくなるし、俺の飯作ってほしいし、そしたらいつでもあゆみがうちにいるって事だろう?」 
「それはそうですけど・・・」 
彼の側に居られる、彼が雇い主なら私は指輪を外さなくてもいいし、彼に私との以前の記憶がなくても問題ない。 


「本当に私を雇って貰えますか?」 
「ああ、俺と契約するか?」 
「はい、でもすぐってわけにはいかないので少し待ってもらえますか?」 
「わかった」 
彼と以前のように一緒に居られる、自然と顔が綻び喜びを隠せない。 
でも加々美社長になんて言うかが問題である。 
プロポーズを断った上に店を辞めるなんて加々美社長の顔を想像しただけで背筋がぞっとする。 
「加々美社長になんて言えばいいですかね」 
「雇い主を変えたいから店を辞めるって単刀直入に言えば?」 
「そんな事言えません」 
「俺と結婚することになったって言えば?」 
「えっ?嘘をつくって事ですか?」 
俺とあゆみが結婚すれば嘘じゃなくなる」 
結婚?ダメ!彼と私の関係がわかっちゃうよ 
「結婚は出来ません」 
「そうあからさまに断られるとへこむな」 
「あっごめんなさい」 
「まっいいか、そのうちあゆみは俺の奥さんになるよ」 
彼は微笑んで、私の手を引き寄せ抱きしめた。 
店を後にして二人で食事へ出かけた。 
「あゆみ、明日の朝はあゆみの店に送っていけるから五時に出発でいいのかな」 
「はい、でも大丈夫ですか?」 
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