俺様御曹司は十二歳年上妻に生涯の愛を誓う

ラヴ KAZU

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第十四章 彼と結ばれた

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ドアを開けると泣いている私を見て、東條さんが問いかけた。

「どうなさいましたか」

「寂しくて、悲しくて、助けて」

そんな私のただ事ではない様子に、東條さんは思わず私を抱きしめた。
この時私の精神状態は大きく崩れていた。
抱きしめてくれた東條さんを彼だと思い「蓮、蓮」と叫び、東條さんの胸に顔を埋めた。

東條さんはしばらく私を抱きしめたままでいてくれた。私はやっと我に帰り、東條さんに縋っている事実に気づいた。

「ごめんなさい、私……」

「大丈夫です、自分の方こそ理性を失いました、社長に手を出すなと言われていたのに、自分は首ですね」

「蓮さんには言わないでください、心配しますので」

「かしこまりました」

「もう戻ってください、あまり永い時間だと蓮さんが変に思います」

「奥様を一人残して帰れません」

その時東條さんのスマホが鳴った。

「はい東條です」

『美希の様子はどうだ』

「大丈夫です」

『じゃあ戻ってこい』

「今はまだ戻れません」

『何故だ』

「お答え出来ません」

『美希に変わってくれ』

「はい、お疲れ様です」

『大丈夫か』

「大丈夫です、ご心配には及びません」

『今日は泊りだ』

「はい、わかりました」

彼からの電話は切れた。

「大丈夫ですよ、もう戻ってください」

私は東條さんに告げた。

その時ドアが開き、彼が入って来た。

「美希」

「蓮さん、どうしたんですか」

「東條、説明しろ」

「自分がここに着いた時、奥様は泣いて取り乱していました、自分はそんな奥様をそのままの状態には出来ず抱きしめました」

「美希、何があった、俺に言ってくれ、何故俺じゃなく東條に抱きしめて貰ったんだ」

「社長、それは違います」

「お前に聞いてない、美希に聞いてるんだ」

「寂しくて、悲しくて、なんかわからなくなって東條さんを蓮さんと間違えたんです」

「何故寂しく、悲しくなったんだ、俺が忙しいからか」

「それもあります、でもそれだけじゃなく、週刊誌のモデルの方に嫉妬しました、すごく嫌だったんです」
「俺は美希に説明したよな、二人で食事に行ったんじゃないと」

「わかっています、でもなんか嫌だったんです」

涙が溢れて止まらない、彼はそんな私を抱きしめてくれた。

「東條、俺は今日は社には戻らない、明日から定時で帰る、休みも取る、了解してくれ」

「かしこまりました」

「それから、東條、俺の言いつけ守らなかっただろ、美希に手を出すなと言ったはずだ、覚悟はいいか」

「はい、辞表書きます」

「辞める必要はない、俺が困る、仕事でミスしたわけでは無いからな」

「では何を覚悟すればよろしいのでしょうか」

「一発殴らせろ」

えっ?ちょっと待って、私が悪いのに東條さんが殴られるなんて……
そう心の中で思ったが、二人の間に入れる雰囲気ではなかった。

「歯を食いしばれ、いくぞ」

私は咄嗟に自分の顔を手で隠した。
ドンと鈍い音がして、「痛え」と彼の声が響いた。
彼は壁を殴ったのだ。

「社長、大丈夫ですか」

「大丈夫じゃねえよ、まっ俺が頼んだのが悪いからな」

「申し訳ありませんでした、自分は社に戻ります」

「東條さん、ご迷惑かけてすみませんでした」

「大丈夫です、奥様のお役に立てれば嬉しいですから、では失礼いたします」

東條さんは社に戻った。

私の方から彼に抱きついた、そして二人はキスをした。
彼は私を抱きかかえ、ベッドへ運んだ。

首筋に彼の熱い息がかかる、思わず声が漏れた。

「俺を受け入れろ、美希、お前を愛してる」

その夜彼と結ばれた。

「美希、俺はすげ?満足したぞ、ずっと朝までこうしていたい、もうお前を離さない、わかったか」

「はい」

「よし、いい子だ」

彼は私の頭をポンポンしてくれた。

程なくして、彼の父親が天に召された。

急な病気の悪化により、この世を去った。

商店街の方々にも、葬儀に参列して貰い、滞りなく無事に葬儀は済んだ。

「親父さんは幸子さんの元に旅立ったんだな」

商店街の八百屋のご主人がポツリと呟いた。

「仲が良かったからな」

「色々とお世話になりました」
「それはこっちのセリフだよ、親父さんの葬儀にまで呼んで貰って、ありがとうな」

「これからも美希がお世話になると思いますので、よろしくお願いします」

「こちらこそよろしく」

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