両親に溺愛されて育った妹の顛末

葉柚

文字の大きさ
2 / 28

しおりを挟む

 オフィーリアはお父様とお母様の愛を一身に受けすくすくと愛らしく成長をいたしました。
 
「エミリアお姉さま。このアクセサリーとても可愛いですわね。」

 私とは違い愛らしく成長した12歳のオフィーリアはそう言って私の手持ちのアクセサリーの一つを手にとった。
 それは猫をモチーフとしたイヤリングだった。
 猫の目の部分にダイヤモンドがはめ込まれたイヤリングは光を反射してまるで猫の目のようにキラキラと輝く私のお気に入りの一つだった。
 
「そうでしょう。私のお気に入りです。」

 オフィーリアは私のイヤリングを耳につけて鏡で自分の姿を見て楽しそうに笑っている。
 眩いばかりの金髪がオフィーリアの動きに合わせて踊る。
 落ち着いた色合いの私の金色の髪よりも、オフィーリアの方がイヤリングは似合っているように思える。
 
「私にも似合いますか?」

「ええ。愛らしいオフィーリアの方が私がつけるよりも似合っているわ。」

 イヤリングはまるで最初からオフィーリアの物だったかのように、オフィーリアに似合っていた。私がつけた時よりもオフィーリアがつけた方がイヤリングは数倍輝いているように見える。
 
「……オフィーリアにあげるわ。私が持っているよりもオフィーリアが持っていた方がそのイヤリングも輝くわ。」

「まあ。いいの。お姉さま。このイヤリングお姉さまのお気に入りなのでしょう?」

「ええ。構わないわ。だって、オフィーリアがつけてくれた方が、そのイヤリングも嬉しそうだもの。」

「ありがとう。お姉さま。私、大切にしますわ。」

 そう言ってオフィーリアは天使のように屈託なく笑った。
 こうして、私は時々オフィーリアに自分のものを渡すことがある。
 それは、私よりもオフィーリアに相応しいと思ったから。
 私のそばにあるよりも、オフィーリアのそばにあった方が輝けると思ったから。
 
「ああ。そうだわ。お姉さま。私、明日お母さまとお買い物に行くのよ。イヤリングのお礼にお姉さまになにかプレゼントさせてください。なにがいいかしら?」

「……オフィーリアが選んでくれるものならば、なんでも嬉しいわ。」

「まあ、お姉さまったら。」

 オフィーリアは楽しそうに笑う。
 オフィーリアが笑っていない日は今まで一度もなかっただろう。
 お母さまと買い物に出かけたことのない私は、オフィーリアのことが少しうらやましく感じた。
 
「外は危険がいっぱいよ。お母さまと離れないように気をつけなさい。」

「はぁい。」

 愁いを知らないオフィーリアはそう言って楽しそうに笑った。

しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

兄を溺愛する母に捨てられたので私は家族を捨てる事にします!

ユウ
恋愛
幼い頃から兄を溺愛する母。 自由奔放で独身貴族を貫いていた兄がようやく結婚を決めた。 しかし、兄の結婚で全てが崩壊する事になった。 「今すぐこの邸から出て行ってくれる?遺産相続も放棄して」 「は?」 母の我儘に振り回され同居し世話をして来たのに理不尽な理由で邸から追い出されることになったマリーは自分勝手な母に愛想が尽きた。 「もう縁を切ろう」 「マリー」 家族は夫だけだと思い領地を離れることにしたそんな中。 義母から同居を願い出られることになり、マリー達は義母の元に身を寄せることになった。 対するマリーの母は念願の新生活と思いきや、思ったように進まず新たな嫁はびっくり箱のような人物で生活にも支障が起きた事でマリーを呼び戻そうとするも。 「無理ですわ。王都から領地まで遠すぎます」 都合の良い時だけ利用する母に愛情はない。 「お兄様にお任せします」 実母よりも大事にしてくれる義母と夫を優先しすることにしたのだった。

妹が私こそ当主にふさわしいと言うので、婚約者を譲って、これからは自由に生きようと思います。

雲丹はち
恋愛
「ねえ、お父さま。お姉さまより私の方が伯爵家を継ぐのにふさわしいと思うの」 妹シエラが突然、食卓の席でそんなことを言い出した。 今まで家のため、亡くなった母のためと思い耐えてきたけれど、それももう限界だ。 私、クローディア・バローは自分のために新しい人生を切り拓こうと思います。

そんなに妹が好きなら死んであげます。

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』 フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。 それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。 そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。 イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。 異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。 何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……

【7話完結】婚約破棄?妹の方が優秀?あぁそうですか・・・。じゃあ、もう教えなくていいですよね?

西東友一
恋愛
昔、昔。氷河期の頃、人々が魔法を使えた時のお話。魔法教師をしていた私はファンゼル王子と婚約していたのだけれど、妹の方が優秀だからそちらと結婚したいということ。妹もそう思っているみたいだし、もう教えなくてもいいよね? 7話完結のショートストーリー。 1日1話。1週間で完結する予定です。

冤罪で退学になったけど、そっちの方が幸せだった

シリアス
恋愛
冤罪で退学になったけど、そっちの方が幸せだった

婚約者の心の声が聞こえるようになったが手遅れだった

神々廻
恋愛
《めんどー、何その嫌そうな顔。うっざ》 「殿下、ご機嫌麗しゅうございます」 婚約者の声が聞こえるようになったら.........婚約者に罵倒されてた.....怖い。 全3話完結

余命3ヶ月と言われたので静かに余生を送ろうと思ったのですが…大好きな殿下に溺愛されました

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のセイラは、ずっと孤独の中生きてきた。自分に興味のない父や婚約者で王太子のロイド。 特に王宮での居場所はなく、教育係には嫌味を言われ、王宮使用人たちからは、心無い噂を流される始末。さらに婚約者のロイドの傍には、美しくて人当たりの良い侯爵令嬢のミーアがいた。 ロイドを愛していたセイラは、辛くて苦しくて、胸が張り裂けそうになるのを必死に耐えていたのだ。 毎日息苦しい生活を強いられているせいか、最近ずっと調子が悪い。でもそれはきっと、気のせいだろう、そう思っていたセイラだが、ある日吐血してしまう。 診察の結果、母と同じ不治の病に掛かっており、余命3ヶ月と宣言されてしまったのだ。 もう残りわずかしか生きられないのなら、愛するロイドを解放してあげよう。そして自分は、屋敷でひっそりと最期を迎えよう。そう考えていたセイラ。 一方セイラが余命宣告を受けた事を知ったロイドは… ※両想いなのにすれ違っていた2人が、幸せになるまでのお話しです。 よろしくお願いいたします。 他サイトでも同時投稿中です。

乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!

ユウ
恋愛
平凡な伯爵令嬢のリネットは優しい婚約者と妹と穏やかで幸福な日々を送っていた。 相手は公爵家の嫡男であり第一王子殿下の側近で覚えもめでたく社交界の憧れの漆黒の騎士と呼ばれる貴族令息だった。 結婚式前夜、婚約者の妹に会いに学園に向かったが、そこで事件が起きる。 現在学園で騒動を起こしている第二王子とその友人達に勘違いから暴行を受け階段から落ちてしまう… その時に前世の記憶を取り戻すのだった… 「悪役令嬢の兄の婚約者って…」 なんとも微妙なポジション。 しかも結婚前夜で傷物になる失態を犯してしまったリネットは婚約解消を望むのだが、悪役令嬢の義妹が王子に婚約破棄を突きつける事件に発展してしまう。

処理中です...