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しおりを挟むオフィーリアの言葉に私は考える。
言いたいことはオフィーリアが全部言ってくれたような気がした。
「お父様のお望みどおり私はこの家を出ていきますわ。これ以上は私に干渉しないでくださいませ。」
私はそれだけ言ってお父様とお母様に一礼した。
オフィーリアは「それだけでいいの……。」というような驚いた顔をしていた。
「……ふんっ。食い扶持が一人いなくなって清々するわ。」
「お願いよ。考え直してください……。このままではオフィーリアが皇太子妃に……。」
お父様とお母様がまだなにか言っているようだが、私は気にせずお父様とお母様から離れた。
そんな私にオフィーリアはついてきてくれた。
そして、お父様とお母様から距離をとると、オフィーリアは私に向かって花が咲き誇るように微笑んだ。
「やったわね。エレノアお姉さま。エレノアお姉さまはこれで自由になれるのよ。」
「ええ。ありがとう。」
「どういたしまして。でも、エレノアお姉さまにはいく当てがあるのかしら?エレノアお姉さまは勉強ばかりで友達もいらっしゃらないでしょう?」
「……そうね。大丈夫よ。今持っている物を売ってお金に換えるから。どこか遠くでなら住み込みで働ける場所があるはずよ。」
「まあ、エレノアお姉さまったら。心配だから、私もエレノアお姉さまについていこうかしら。幸いにも、まだ皇太子妃の選定には少しだけ時間があるし。」
「お母様が許さないわよ。」
「いいのよ。」
「長い間外泊をしたら、不名誉な噂が立つわよ?皇太子妃に相応しくないと言われてしまうかもしれないわ。」
「いいのよ、別に。」
「あら、皇太子妃になりたかったのではなかったの?」
「……エレノアお姉さまを皇太子妃という鎖から解き放ちたかっただけ。そうね……心配だし、私も家を出て行ってしまおうかしら。お父様はカンカンになって怒るかもしれないけれど、それはそれで良いわよね。」
「……連れ戻されるわよ?」
「大丈夫よ。」
そんな話をしながら私とオフィーリアは家を出るために、大きめのカバンに必要な物を詰めていく。
なぜだか、侍女たちも積極的に私たちの荷造りを手伝ってくれた。
「エレノアお嬢様が自由に生きられますように私ども使用人一同は願っております。」
家を出ていくとき、どこからともなく集まってきた使用人たちにそう言われた。
どうやら私は今まで使用人たちにも不憫な子だと思われていたらしい。
「ありがとう。」
私はそう言って、侯爵家をオフィーリアと一緒に後にしたのだった。
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