悪役令嬢は始祖竜の母となる

葉柚

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本編

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まあ、そんなわけで前世の私はどうやらトラックに牽かれて死んでしまったようです。

そうして、この世界へ産まれてきたみたいなんだけれども。

前世では日本という国で暮らしていたが、どうも今暮らしている国は日本とはまるで違う国のようだ。

言葉は幼い頃からつかっていたので、自然に話せるがどうにも日本という国の言葉とは違うようだ。

一番違うのは生活様式。

日本では電気という科学の力で生まれたものを使用していたが、この国には電気という概念すらない。

では、代わりになにがあるかというと魔力だ。

もう、異世界転生としてはお馴染みだろう。

この国は電気の代わりに生活基盤を魔力がささえている。

そして、この魔力を持っている人間はこの世界の全員というわけではない。

一般的な平民には魔力がほとんどないのだ。

そのため、魔力をこめられた石があちらこちらで売られている。

平民はそれを購入して、生活を豊かにしているのだ。

この魔力を込められた石だが貴族の血を引く人間だったら誰でも作ることができる。

まあ、多少人によっては魔力量が違うので一日に作れる量は異なるけれども。

貴族が作った魔力石を平民が買い生活をする。

平民が作った作物や、平民が釣ってきた魚などを貴族が買い生活をする。

そんなもちつもたれつの生活をしていた。

基本的にこの国の貴族は平和主義で、平民と貴族という隔たりはそれほどなかった。

いや、もしかしたらこの地域が田舎だからなのかもしれないが。

もっと王都の方の屋敷だったら違うのかもしれない。

それこそ、小説で読んだような悪徳貴族がいるのだろうか。

平民から平気で搾取するような貴族がいたら許せないなぁ。

っと、話がそれた。

まあそんなわけで。

日本とは違う文化が根付いた異世界とやらに私は転生してしまったようなのである。

しかも、驚くことに。

どうやらこの世界は私が知っている乙女ゲームの世界のようなのだ。

なんか忘れていると思ったのは私の名前だったのだ。

どこかできいたことのある名前だった。自分の名前だからだろう、とは言わないでほしい。

この「エメロード・ダイヤーモンド」という名前は前世の友達に勧められて一度だけプレイしたことがある乙女ゲームの悪役令嬢として登場していた人物の名前と完全に一致しているのだ。

もう。

なんで乙女ゲームの世界になんて転生してしまったのだろうか。

しかも悪役令嬢だなんて。

この乙女ゲームでは、王都にある高等魔術学院が舞台となり恋愛模様を繰り広げることになる。

そうして、入学時に一人一人に精霊の卵が渡されるのだ。

それを生徒たちは学院を卒業するまで育てる。

産まれるのは聖か魔か。

それすらもわからない卵なのだ。
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