悪役令嬢は始祖竜の母となる

葉柚

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本編

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「エメロード嬢!ひさしぶりだね。また一段と綺麗になったね。」

アクアさんと話していると、ふいに声をかけられた。

「・・・ランティス様。」

声のした方を見ると、目立つ姿がそこにはあった。

私の婚約者のランティス・パインフィールドだ。

彼はこの高等魔術学院の生徒会長をしている。

優れた容姿と侯爵家のご子息ということもあり、数多の女性の視線を欲しいままにしている。

私はチラリッとアクアさんの方に視線をうつした。

乙女ゲームのシナリオでは、ランティス様ルートがメインルートなのだ。

アクアさんがランティス様に興味を持ったかどうかが気になったのだ。

しかし、アクアさんはにこにこと笑っているだけで、ランティス様に特別な感情を持っているようには思えなかった。

「おや、エメロード嬢、隣にいる女性を紹介していただけないかい?」

アクアさんはランティス様に興味を持っていないように見えるが、ランティス様は違うようだ。

アクアさんに向けて興味を剥き出しにした視線を向けている。

正直ちょっとムッとした。

一応ランティス様は私の婚約者なのだ。

それなのに他の女性を気にするというのはあまり褒められた行為ではない。

しかし、ランティス様は侯爵家のご子息なので、格下の伯爵家の令嬢である私が強く意見できるはずもない。

「アクア・リッチフィールド嬢ですわ。」

だから、私はランティス様にアクア嬢を紹介せざるを得ない。

「アクアか・・・とても良い名前だね。可憐な君によく似合っているよ。」

にっこりと笑ってランティス様が告げる。

婚約者の前で堂々と他の女性を口説くだなんて、恥も外聞もないのかしら。

それにここは高等魔術学院だ。ランティス様はひじょうにモテるし、目立つ。

そんなランティス様が女性徒と話しているだけでも目立っていたのに、まさか女性を口説き出すだなんて。

周りの視線が集まってきているのを感じる。

これって、ひじょーに不味い状態なような気がする。

アクアさん男爵令嬢だし。

逃げたいけど、アクアさん置いて逃げられないし。

「ありがとうございます。でも、私、この名前あまり好きじゃありませんの。」

おおう。

アクアさんにっこり笑ってランティス様に反論している。

すごいなぁ、アクアさん。

格上のランティス様にくってかかるだなんて。

「あ、そうなのかい。それは失礼なことを。申し訳ない。」

しかも、ランティス様謝ってるし。

婚約者の私に対しても謝るなんてしたことないのに。

アクアさんは偉大だ。

「それと、私。男の人には興味ありませんの。」

にっこり笑いながらアクアさんはランティス様に告げた。

あ、あれ?

なんか乙女ゲームと全然ちがくない?
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