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本編
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しおりを挟む一人ずつ卵を手にしていく。
思った通り、ピンク色の卵や水色の卵ばかりだ。
緑色の卵にあたった人もいたが1人だけだった。
次にシルヴィアさんの番になった。
シルヴィアさんも箱の中に手を入れ、卵を一つ取り出す。
取り出された卵は真っ白だった。
「真っ白な卵ですね。初めて見ましたわ。これはなんの精霊が産まれてくるんですか?」
シルヴィアさんは真っ白な卵を初めてみたようだ。
鶏の卵などは真っ白なものが存在するが、精霊の卵で真っ白なものというと私も初めて見たし、初めて聞いた。
今まで精霊の卵に白い色があるということを私は知らなかった。
「ふむ。興味深いですなぁ。私も長年精霊の研究をおこなっていますが、白い卵は初めてみましたの。」
そう言ったのは、この学院の先生でもあり長年精霊の研究をおこなっているトリードット・メンフィス先生だった。
トリードット先生はシルヴィアさんから白い卵を受け取ると、光にかざしてみたりしている。
光にかざすと何か変わるのだろうか。
「ほぉほぉ。色がまったく変わらない。完全なる白い卵ですな。どんな精霊が孵るのか楽しみですな。」
そう言って、トリードット先生は笑った。
先生も見たことがない色の卵って不思議だ。
もしかして邪竜の卵だったりしないよね・・・?
でも、邪竜の卵だったらイメージとしては黒い卵だよね。
そうして、次にアクアさんの番が来た。
アクアさんの次が私の番だ。
どうやらこの学年の中で一番魔力が高いのが私で、次にアクアさんの魔力が高いらしい。
もしかして、私の魔力が高いからランティス様の婚約者に選ばれたのだろうか。
ぼぉっとしていると「「おおおおおおっ!!!!」」という歓声が聞こえてきた。
慌てて何事かと壇上に目をやるとアクアさんが卵を持っている姿が見えた。
その卵がなにやら虹色に輝きを放っている。
これは、乙女ゲームでも見た気がする。
たしかヒロインが卵を選んだら卵の色が虹色だったんだよね。
それで、確か虹色の卵は聖竜の卵だって大騒ぎになったような気がする。
あれ?
そう言えば、悪役令嬢の卵は何色だったっけか?
よく思い出せない。
「伝承にある聖竜の卵が虹色でしたなっ!これも聖竜の卵かもしれませぬ!おぉ!すごいですの!!」
トリードット先生の感激に満ちた声が辺りに響き渡った。
それもそうだろう。
聖竜と言ったら混沌に陥った世界を救った存在とされているのだから。
やっぱりアクアさんはヒロインなんだね。
ここまでは乙女ゲームの通りだ。
ちなみにシルヴィアさんは乙女ゲームには出てこなかったような気がする。
のめり込んでプレイしていた訳ではないから主要なキャラクター以外の名前と容姿を覚えていないのであくまで「でてこなかったような気がする」としか言えない。
でも、乙女ゲームの中では白い卵の話題はなかったような気がするんだよね。
さて、次は私が卵を箱から取り出す番なんだけど、聖竜が産まれるかもしれない卵の次に卵を取り出すのってなんだか勇気がいるよね。普通の卵だったらがっかりされそうだし。
というか、聖竜以上の卵なんて存在しないだろうし。
私は緊張とプレッシャーに負けそうになりながらも、箱の中から一つの卵を取り出した。
その卵は闇を詰め込んだのではないかと思われるほど真っ黒な卵だった。
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