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本編
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しおりを挟む「精霊王様っ!?」
「知っていて教えてくれなかったんですかっ!?」
私とアクアさんは突然の精霊王の登場に驚いて声を上げた。
ちなみに精霊王に詰め寄っているのはアクアさんだ。
プーちゃんが誰を治癒するのか、プーちゃんが治癒させると相手がどうなるのか知っていて教えなかったのは精霊王だ。
「教えてほしいとは言われなかったのでな。なぜ、妾が親切に教えねばならぬのじゃ?」
精霊王はそう言って目を細めた。
確かに、精霊王にとっては私たちは縁もゆかりもない人間なのだ。
その人間を無償で助けたり、無償で助言したりすることはないだろう。
よっぽどのお人よしでない限りはあり得ない。
だが、精霊王はお人よしではないのだ。
だって、精霊の頂点に立つような精霊なのだ。
その精霊王がお人よしでは精霊たちはやっていけないだろう。
ゆえに精霊王がわざと重要なことを教えてくれなかったとしてもそれは仕方がないことなのだろう。
「あなたの母親は私でしょ?」
アクアさんが強めに精霊王に詰め寄る。
その姿はまるで毒親のようだ・・・。
「妾の母はおらぬ。妾はプーちゃんから生まれたのじゃ。決してお主を母とは呼ばぬのじゃ。」
「そう。なら、なぜ卵の姿だったのかしら?」
なおもアクアさんの質問が続く。
それに対して精霊王はのらりくらりと質問をかわしていく。
「プーちゃんが卵になったのじゃ。妾はプーちゃんのことが心配での。一緒にいたのじゃ。ゆえにお主が育てた卵から妾が孵化したのは、お主がエメロードの傍におったからじゃ。他の者がエメロードの近くにおればその者の卵から妾が孵ったじゃろう。」
「プーちゃんの母親としてのエメロードちゃんが精霊王には必要なのでしょう?ならば、エメロードちゃんの害になるようなことは避けるようにアドバイスしてくれてもいいんじゃないのかしら?」
「試練も時には必要なのじゃ。流されるまま生きていているような母親はプーちゃんには相応しくないのじゃ。」
精霊王はそれだけ言うとまた姿を消してしまった。
精霊王って素直じゃないけれどもどこか憎めない。
だって、今回のことだって事前にプーちゃんが治癒させることに警告なんて言わなくたってよかったんだもんね。それをわざわざ警告してくれたくらいだから面倒見はいいのだろう。
ただ、素直じゃないから伝わっていないだけで。
それに、精霊王からはプーちゃんへの確かな愛情を感じた。
つまり精霊王は私のことを試しているんだと思う。
私がプーちゃんの母親に相応しいかどうかを見ているのだと思う。
だから、試練を与えるのだろう。
きっと今回の試練はシルヴィアさんとの決着だ。
邪竜に頼るのではなく自分自身でシルヴィアさんと決着をつけることを精霊王は望んでいるのではないか。と、そう感じた。
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