悪役令嬢は始祖竜の母となる

葉柚

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本編

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「・・・なんだか、とても生臭いですね。」

階段を降りているときから気になっていたが、どうにも生臭い。

ずっとここにいるのは辛いと思うほどだ。

シルヴィアさんは本当にこんなところにいられるのだろうか。

仮にも彼女は伯爵令嬢だ。こんな生臭いところに居たくはないだろう。

気がおかしくなってしまいそうだ。

「・・・なんでこんなに生臭いんだ。今朝はこんな匂いなんて・・・。」

「あっ!?あそこ!!」

メリードット先生が思案顔をすると、アクアさんが地下牢の先を指差した。

私たちは、アクアさんが指差す方を見る。

するとそこには血溜まりが広がっていた。

その血溜まりの中心には、判別ができないほどグチャグチャになった何かの肉片がある。

匂いの元はこれだろうか。

思わず気持ち悪くなり目と口を塞ぐ。

「・・・ま、まさかっ!!」

メリードット先生がその様子を見て悔しげに叫んだ。

「エメロード嬢に、アクア嬢。すぐに上に行ってジェリードット先生とトリードット先生を呼んできてくれっ!その後は君たちは寮で待機をするように!」

メリードット先生はそう言うと血溜まりの方にかけていった。

メリードット先生はトリードット先生とジェリードット先生を呼んでくるように言っていたが、見慣れない血溜まりと肉片を見てしまった私は恐怖と気持ち悪さでその場から動けなかった。

「エメロードちゃん。行くわよ。」

ただ、アクアさんは気丈だった。

こんな酷い現場を見ても前を強く見ていた。

「でも、私・・・動けない。」

情けないことにアクアさんと違って私は動けそうにない。

「アクアさん。先に行って先生方を呼んできてくれないかな?」

メリードット先生の表情を見る限り早く呼んできた方がよさそうだ。

「私がエメロードちゃんを抱き上げて行くわ。私が力があるのを知っているでしょう?」

「・・・知ってるわ。でも、早く先生方を呼びに行った方がいい気がするの。アクアちゃん一人なら私を抱えて走るより、早く先生方を呼べるでしょう?」

「それは・・・そうだけれども・・・。」

アクアさんは私の提案に言葉を濁した。

私はアクアさんの重りなのだ。

「お願い、アクアさん。先生方を呼びに行ってちょうだい。」

私はそう言ってアクアさんに微笑んだ。

「・・・っ!すぐに戻ってくるから!!」

アクアさんは私が譲らないことを確認すると、踵を返して地上へ続く階段を駆けのぼっていった。

そう。それでいいの。

「ふむ。急がなくても我の血を飲んでいるゆえ、直に復活するぞ。」

「・・・え?」

復活?

なにが、復活するの?
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