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本編
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しおりを挟む「シルヴィア。嫉妬深く欲深くそれでいて美しい女性。私は君のことも気に入っていたのに・・・。残念だよ。どうして君は私の命令に従えなかったのかな?」
ランティス様はシルヴィアさんに向き直るとその美しい顔を歪めてシルヴィアさんに問いかける。
ランティス様の命令・・・?シルヴィアさんに不振に感じながらもその場から動けず、二人の動向を見守る。
「メリードット先生。私はあなたに失望いたしました。生徒の言うこともきいてくださらないなんて。」
ランティス様は今度はメリードット先生にそう告げた。
どういうことだろうか。
ランティス様は、シルヴィアさんとメリードット先生になにかを依頼していた?それを二人とも叶えることができなかったからランティス様が二人を責めているのだろうか。
ランティス様は自分の願いが必ず叶えてもらえると、そう思っているのだろうか。
「私の願いを叶えてくれないのなら、そんな者はいらないんだよ。消えてもらうよ。」
「えっ!?」
私は思わず声をあげてしまった。
まさか、ランティス様からそんな言葉が飛び出すとは思わなかったのだ。
消えてもらうって・・・。それって死ねってこと?
どうして、ランティス様が?
ランティス様は優柔不断なところはあったけれども、とても優しい方だと思っていた。
それに、皆からの評判もよかったし。
そんなお方がどうして・・・。
「ああ、驚いた顔をしないで、エメロード。だから君にはここから出ていってほしかったんだけどねぇ。」
私が驚いて声をあげてしまったために、ランティス様の視線が私を貫いた。
もしかして、私もランティス様に殺される・・・?
背筋を冷たい汗が伝う。
思わずプーちゃんの方を見るとプーちゃんはランティス様を睨み付けていた。
「まずは・・・シルヴィアからだね。」
ランティス様がそう言うと恐怖で何も言えなくなってしまっているシルヴィアさんの身体を黒い霧が包み込んだ。
それはまさに邪竜がおこなった攻撃に酷似していた。
「きゃああああああああああああああああああああああ・・・・・・・・・。」
辺りにシルヴィアさんの悲鳴が響き渡る。
「シルヴィアさんっ!!」
私は慌ててシルヴィアさんに近づこうとするが、それをプーちゃんが制した。
どうして!?という気持ちでプーちゃんを見ると、プーちゃんは首を横に振っていた。
「大丈夫だ。シルヴィアは不老不死だ。何をされても死なぬ。すぐに回復するから心配するな。」
プーちゃんは私の耳元でそう囁いた。
確かにそうかもしれないけれど・・・。
どこか私とプーちゃんの感覚は違うようだ。
ややあって、シルヴィアさんを包んでいた黒い霧が晴れた。
そこにはシルヴィアさんの姿はなく、かわりに変わり果てたシルヴィアさんと思われる肉塊があった。
「あ・・・ああ。」
私は思わず顔を両手で覆い隠す。
「さて、次はメリードット先生の番ですよ?」
ランティス様の無情な声が地下牢に響き渡った。
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