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しおりを挟むユリアさんの許可を得て、保護猫施設に併設されている仮眠室を借りる。
ここの仮眠室はちょっと特殊で、猫様たちが自由に仮眠室に出入りすることができる作りになっている。
もしかすると寝ている時に、猫様がそっとやってきてくれて添い寝してくれるかもしれないという期待で胸が膨らむ。
いつの間にか隣でスヤスヤと眠っている猫様のことを思うと想像するだけで嬉しすぎて胸がはちきれそうになる。
「……マリアちゃん。ニヤニヤしていて気持ち悪いわ。」
夜の仮眠室でのことを考えて幸せな気分に浸っていると、ユリアさんがジト目で私を見てくる。
「えっ……。」
もしかして声にだしていたのかしら。気を付けていたのだけれども。
と、思っているとユリアさんがため息をついた。
「マリアちゃんの顔を見れば何を考えているかなんてすぐにわかるわ。仮眠室にどの子を連れ込もうか考えているのでしょう。まったく。で?一番のお気に入りのシルキーを連れ込むのかしら?」
ユリアさんはそう言ってあきれたように私を見てきた。
「むっ。違いますっ!仮眠室で寝てたら猫様たちが添い寝してくれないかなぁって考えていただけです。そんな、猫様の意思を確認もせずに連れ込むなんて……。むしろ、猫様の方から寝ている私のそばにきて添い寝してくれた方が私としてはとっても嬉しいですっ!だから、連れ込むのではなく、猫様のことを私は待ちます!」
連れ込むなんてはしたない令嬢みたいなことはしませんと、ユリアさんに視線で訴える。
「はぁ……。似たり寄ったりだと思うけど。まあ、いいわ。マリアちゃんのお気に入りの子が来てくれるといいわね。」
ユリアさんは私の言葉に大きなため息をついた。
「ええ。シルキー様が来てくれるととっても嬉しいですが、でもシルバーグレイ様でもモモ様でも、クロ様でもブチ様でもシロ様でも、他の子たちでも嬉しいですわ。もっと言うならばみんなが添い寝をしてくれたらいいのに。猫様たちに囲まれながら眠るなんて、なんて!なんて!!なんて!!!幸せなのでしょう。想像しただけでも涎が出てきてしまいますわ。」
「そ、そう……。相変わらずの変態っぷりね。マリアちゃんは。」
「私はいたって普通です!」
ユリアさんに変態だと言われてしまった。
だが、私はいたって普通だ。
可愛い猫様たちに囲まれて眠るのは人類みなの憧れだと私は思っている。
ユリアさんは毎日のように保護猫施設に寝泊まりしているから慣れてしまっているのだと思う。たぶん。私がおかしいわけじゃないと思う。たぶん。
「そう、そうね。まあ、いいわ。そういうことにしましょう。もう今日は仕事も終わりにしましょう。先にシャワーを浴びてきてくれるかしら?」
「あ、はい!」
「ついでに、ブチも洗ってくれる?今日、こっそり抜け出したみたいで手足が泥だらけなのよ。まったく、どこから抜け出したのかしらねぇ?」
ユリアさんはそう言って不貞腐れてそっぽを向いているブチ様を私に手渡してきた。
って!!私、ブチ様に触れないんだってば!!触れないというか、ブチ様が私に触られるのを嫌がっているというか……。悲しいことだけど。
「大丈夫よ。ブチには勝手に外出した罰として身体を自由に動かせないように魔法をかけておいたから。大人しく大好きなマリアちゃんに洗われてきなさい。綺麗になったら魔法を解いてあげるわ。」
ユリアさんはそう言って私にブチ様を預けてくる。
恐る恐るユリアさんからブチ様を受け取る。
ブチ様はとても大人しかった。だが、目は確実に私を睨みつけていた。
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