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しおりを挟むけたたましい警報が鳴り響く保護猫施設。
私は保護猫施設にいる猫様たちのことが心配になり、シャワールームから急いで出ようとして、ユリアさんに止められた。
「待ちなさいっ!!」
「放してください!猫様たちがっ!!」
ぎゅっとユリアさんに掴まれている手を放して欲しいと訴える。
「あなたの今の格好わかっている!?不審者に裸で立ち向かう人がどこにいるの!!」
「あっ……。」
ユリアさんの言葉に私は「ハッ」として自分の身体を見た。
ちょうどブチ様とシャワールームに入るところだったので全裸なのだ。
ユリアさんが止めなかったら私は全裸のまま、保護猫施設に忍び込んだ不審者の相手をしていたことになる。
そう思って思わずブルッと身体を震わせた。
「わかったわね。ちゃんとに服を着なさい。それから、警告音が鳴ったからすぐにガードマンが駆けつけるわ。ここはそういう施設よ。安心なさい。」
「……それでも、私は猫様たちのことが心配なのです。」
「安心なさい。保護猫施設を守るガードマンよ。ナーガ様が面接に面接を重ねて選んだ人たちよ。今頃みんな血相を変えてここに向かっているわ。」
「はっ……ははっ。」
ユリアさんは安心するように言うが、私はどうしても自分の目で見ないと安心することができなかった。なんの力もない私が不審者から猫様たちを守り切れるかなんてわからない。プロに任せた方がいいのかもしれない。
でも、だからと言って私だけ安全な場所から猫様たちの無事を祈るだなんてできない。
「それでも、私は猫様たちのことが心配なんです。行かせてください。……それに、もしかしたら侵入してきたのは……。」
保護猫施設にわざわざ侵入してきそうな人物に私は心当たりがあった。
「……そうね、きっとあの子でしょうね。」
ユリアさんも気づいているようだ。
「だから、行ってきます。私は彼女から逃げてばかりいてはいけない。」
「……わかったわ。でも、あの子じゃなかったら隠れてなさい。危ないから。マリアちゃんが怪我をしたら皆が悲しむわ。」
「ええ。危ないと思ったら隠れてます。」
私はユリアさんに二つ返事で頷いた。
もちろん。危ないと思ったら隠れているわ。でも、猫様たちが危険にさらされていたら飛び出すけれど。そこはあえてユリアさんには言わないことにする。
ユリアさんと別れるとすぐに彼女のヒステリックな声が聞こえてきた。
「シルキー!シルキー!!この私、アンナライラがわざわざシルキーを迎えに来たのよ!!さっさと出てきてちょうだい!!なんで私の手を煩わせるのかしら!」
彼女……アンナライラ様は手当たり次第に部屋のドアを開けて、中に向かってシルキー様の名を呼ぶ。
「なんでいないのよ?なんで出てこないのよ!」
アンナライラ様は悔しげに地面を何度も踏みつけた。
シルキー様がアンナライラ様の声に反応してでてこないのは当たり前だ。というか、アンナライラ様の怒鳴り声ではどの猫様たちも出てくることはないだろう。
猫様たちは大声が苦手だ。大きな物音も苦手だ。
警戒して猫様たちは隅っこの方に隠れているに違いない。猫様たちはとっても自分たちの身を守るため臆病な性格をしているのだ。
「……アンナライラ様。不法侵入よ。犯罪だわ。」
私はアンナライラ様に近づいて静かに声をかけた。
「あら。学園を追放されて平民になったアマリアじゃないの。あなたこんなところにいたのね。」
アンナライラ様は私を見て不敵に笑ったかと思うとキッと睨みつけてくる。
「あんたね!あんたがここにいるからシルキーが私の手に入らないのね!!」
突然叫びだしたアンナライラ様のその瞳は私への憎悪に満ちあふれていた。
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