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しおりを挟むAランクの冒険者でも、プリン作りたくなるのかぁ。
どうせまだ卵はあるし、ボウルもまだいくつも残っている。一つずつオレがまぜてもいいけど、料理人じゃなくたってコカトリスの卵とバッファモーのミルクを混ぜるくらいなら、できるだろう。
そう判断したオレは、
「では、お願いします。コカトリスの卵はオレが割っておきますね。」
と、手を上げてくれた冒険者の方に混ぜるのをお願いした。
「ああ!まかせておけ!コカトリスの卵は割れないが、混ぜるくらいオレだってできるぜ!」
「コカトリスの卵を割ってくれんだったらオレも混ぜてみたい!」
「オレも!!オレも!!」
「あたしもいいかしら?」
数名の冒険者たちが自分たちも混ぜてみたいと声を上げた。中には女性の冒険者の姿もある。
「では、みなさんお願いします。」
手があった方が早く進む。そう思ってオレは声をあげてくれた人たちにボールを私その中にコカトリスの卵を割っていく。
「まずは、コカトリスの卵の黄身をグシグシと力づくで押して割ってください。黄身が崩れるとするっと白身と黄身が混ざっていきます。黄身が崩れたら教えてください。次にバッファモーのミルクを入れていきますので。」
「ああ。わかったぜ。」
「おうよ!」
「ああ。それくらいならできるぜ。」
「ふふっ。簡単そうね。」
「お願いしますね。」
コカトリスの卵の黄身を割るのはちょっとだけ力がいるけど、まあ問題ないだろう。コカトリスの卵を割るよりは力いらないし。
そう思ってオレは冒険者さんたちが卵の黄身に挑む横で残ったコカトリスの卵をボウルに割り、混ぜる作業を再開する。
「ぐっ……。」
「うぅ……。か、硬い……。」
「むっ!むっ!」
「ちょ……な、なに、これぇ~。ぜんぜん卵の黄身が潰れないわよぉ!。」
冒険者さんたちはどうやらコカトリスの卵の黄身をつぶすことができないようだ。
おかしいな。それほど大変じゃなかったような気がするんだけど……。
「なにっ!?そんなに硬いのか!ちょっとオレにもやらせろ!」
「ええっ!料理人見習いの彼は簡単そうに潰してたけどなぁ。あんたらそろって演技でもしてんじゃねぇの?」
「そ、そんなことねぇって!この弾力がすごくて跳ね返されちまうんだよ!!」
「そうよ、そうよ!!あなたやってみなさいよ!!ぜんっぜん潰れないんだからっ!!」
「そんなに言うならオレが代わってやるよ。」
「オレも代わってやるぜ!」
冒険者さんたちはそう言って代わる代わるコカトリスの卵の黄身をドスドスと力いっぱいこねくり回す。
そんなにこねくり回さなくてもいいはずなのになぁ。子供の頃のオレだって、簡単につぶせたのになぁ。
いや。でも、待てよ。
コツを掴むまではなかなかつぶせなかったような気がするな。
オレが考え込んでいる間も冒険者さんたちは代わる代わるコカトリスの卵の黄身をガンガンとこねくり回す。だが、誰一人として黄身をつぶせる者などいなかった。
「あんた……どんだけ馬鹿力なんだよ。」
「「「「「まったくだ。」」」」」
冒険者さんたちの呆れたような視線がオレに降り注ぐ。
いらないんだけど、そんな視線。
「あー。ちょっとコツがいるかもしんない。でも、コツさえつかめちゃえばそんなに力いらないんだよ。ほらっ。」
オレはそう言って、女性冒険者の手からボウルを受け取ると、そっと優しく黄身を一突きした。その瞬間、君が潰れ白身と混ざり合う。
「「「「「はあっ!??」」」」」
仲が良いのか冒険者さんたちの声が綺麗にハモる。
「えっと、黄身がね。ここが弱点だよって言っているところをついてあげるとそんなに力を入れなくても黄身が潰れるんだよ。うん。」
「「「「「はあっ!!!???」」」」」
「そんなこと聞いたことねぇよ。」
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