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第十九話 作戦
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「ケネス先輩は毒魔法が確か得意だったな。魔力で作られた毒は致死性ではないし、回復魔法で解毒が出来ると聞いたけれど」
ケネスのウワサを思い出しつつ言ってみる。
「確かに毒魔法自体は殺傷能力がリスクが低い。しかし、毒魔法で生き物の動きを弱らせることは出来るし、場合によっては拷問にかけることも可能だ。それに、毒魔法と攻撃系の魔法を組み合わせると、恐ろしい戦果を生み出すと言われている」
ルーカスの言葉を聞いて怖くなる。ケネスは誰かと一緒に戦うと強くなるタイプと見て良さそうだな。
「そう聞くとえぐいな。ケネス先輩がそんな毒魔法を使ってくるのであれば、時間が経つほどに僕達が毒で弱体化するだろう。そこにロドニーが攻撃魔法を放てば、僕達は最悪死ぬかもな。やっぱりルーカスは魔法決闘の参戦を取り消すべきじゃないか」
冷静に考えて言ってみる。
「しかし、アルロとロドニーが一対一で戦ったら、アルロの命は危険にさらされるだろう。アルロというハーフエルフ一人が相手なら、ロドニーは手加減なしに戦う可能性が高い。貴重なハーフエルフであるアルロが死ぬところを、僕は見たくない。それに、僕自身が魔法決闘を経験したいという気持ちもある」
ルーカスの言葉は嬉しいけれど悲しい。やっぱり、僕はハーフエルフだから価値があるだけで、ルーカスにとって僕自身はどうでもいいのだろう。悔しいな。
「ありがとう。じゃあ、ケネス先輩の毒魔法の影響を受ける前に、魔法決闘を短期間で勝利する必要がありそうだな」
自分で言いながら、短期決戦なんて一番難しいと思ってしまう。ルーカスが得意な魔術式も、僕が好む幻覚魔法系も、どちらもタイムアタックにはとことん向いていない。
「僕は魔術式さえ書いて発動出来れば、短時間で火力を出すことが出来る。しかし、準備時間は無防備となってしまう。魔法決闘最初の約十秒間、アルロは時間を稼ぐことが出来るか」
ルーカスの言うことは難しい。戦闘中において約十秒はとても長い。でも、僕は頑張りたい。
「もちろんだ。僕はやってやる。僕はシールド魔法がかなり上手くなったし、得意の幻覚魔法なら時間稼ぎなんて簡単さ。それに、もし僕が死んだら試合は強制終了になるだろう。だから、ルーカスは後ろの方で安心して魔術式を組み立てればいい。ああでも、地面に魔術式を書くのはやめておけよ、風とか雨で消えるぞ。岩とかを召喚して文字を刻むことをオススメする」
ルーカスに不安をかけないよう、明るく言ってみせる。でも、ルーカスは全然笑ってくれなかった。
「アルロは死ぬことはあまり考えたくない。アルロがハーフエルフだから、僕はアルロに興味を持っている。それは間違いない。でも、何日も一緒に過ごしたアルロ自身へ愛着も持っている。だから、アルロは出来れば生きてくれ」
ルーカスがすごいことを言ってくる。やばい。感動したかもしれない。ルーカスに抱きついてしまいそうだ。でも、いきなり飛びついたら気持ち悪く思われそうだ。止めておこう。
「ありがとう。あのさ。もしも魔法決闘をすっぽかして、ルーカスと僕で一緒に逃げたら幸せになれるだろうか。いや、そんなこと絶対しないけれどさ」
やばい。変なことを言ってしまった。駆け落ちみたいなノリで言うな。
「いいや。最近アルロに敵対心を持つ生徒が増えてきている。何なら、魔法学園内で不自然な部外者も見かけるようになった。そんな中、僕の後ろ盾だけでは心許ない。命がけの魔法決闘を行ってロドニーやケネスとの友好関係を示さないと、アルロの身は危ないだろう。だから、魔法決闘はどのみち避けられない」
ルーカスはそう言いながら杖を取り出した。ルーカスが杖を使って風魔法を使い、風に押されて窓が勢いよく開く。すると、窓の外側から悲鳴が聞こえた。僕たちの会話を誰かが盗み聞きしていたらしい。
どこにでも敵が潜んでいて怖いな。こんなのまるでホラーじゃないか。
ケネスのウワサを思い出しつつ言ってみる。
「確かに毒魔法自体は殺傷能力がリスクが低い。しかし、毒魔法で生き物の動きを弱らせることは出来るし、場合によっては拷問にかけることも可能だ。それに、毒魔法と攻撃系の魔法を組み合わせると、恐ろしい戦果を生み出すと言われている」
ルーカスの言葉を聞いて怖くなる。ケネスは誰かと一緒に戦うと強くなるタイプと見て良さそうだな。
「そう聞くとえぐいな。ケネス先輩がそんな毒魔法を使ってくるのであれば、時間が経つほどに僕達が毒で弱体化するだろう。そこにロドニーが攻撃魔法を放てば、僕達は最悪死ぬかもな。やっぱりルーカスは魔法決闘の参戦を取り消すべきじゃないか」
冷静に考えて言ってみる。
「しかし、アルロとロドニーが一対一で戦ったら、アルロの命は危険にさらされるだろう。アルロというハーフエルフ一人が相手なら、ロドニーは手加減なしに戦う可能性が高い。貴重なハーフエルフであるアルロが死ぬところを、僕は見たくない。それに、僕自身が魔法決闘を経験したいという気持ちもある」
ルーカスの言葉は嬉しいけれど悲しい。やっぱり、僕はハーフエルフだから価値があるだけで、ルーカスにとって僕自身はどうでもいいのだろう。悔しいな。
「ありがとう。じゃあ、ケネス先輩の毒魔法の影響を受ける前に、魔法決闘を短期間で勝利する必要がありそうだな」
自分で言いながら、短期決戦なんて一番難しいと思ってしまう。ルーカスが得意な魔術式も、僕が好む幻覚魔法系も、どちらもタイムアタックにはとことん向いていない。
「僕は魔術式さえ書いて発動出来れば、短時間で火力を出すことが出来る。しかし、準備時間は無防備となってしまう。魔法決闘最初の約十秒間、アルロは時間を稼ぐことが出来るか」
ルーカスの言うことは難しい。戦闘中において約十秒はとても長い。でも、僕は頑張りたい。
「もちろんだ。僕はやってやる。僕はシールド魔法がかなり上手くなったし、得意の幻覚魔法なら時間稼ぎなんて簡単さ。それに、もし僕が死んだら試合は強制終了になるだろう。だから、ルーカスは後ろの方で安心して魔術式を組み立てればいい。ああでも、地面に魔術式を書くのはやめておけよ、風とか雨で消えるぞ。岩とかを召喚して文字を刻むことをオススメする」
ルーカスに不安をかけないよう、明るく言ってみせる。でも、ルーカスは全然笑ってくれなかった。
「アルロは死ぬことはあまり考えたくない。アルロがハーフエルフだから、僕はアルロに興味を持っている。それは間違いない。でも、何日も一緒に過ごしたアルロ自身へ愛着も持っている。だから、アルロは出来れば生きてくれ」
ルーカスがすごいことを言ってくる。やばい。感動したかもしれない。ルーカスに抱きついてしまいそうだ。でも、いきなり飛びついたら気持ち悪く思われそうだ。止めておこう。
「ありがとう。あのさ。もしも魔法決闘をすっぽかして、ルーカスと僕で一緒に逃げたら幸せになれるだろうか。いや、そんなこと絶対しないけれどさ」
やばい。変なことを言ってしまった。駆け落ちみたいなノリで言うな。
「いいや。最近アルロに敵対心を持つ生徒が増えてきている。何なら、魔法学園内で不自然な部外者も見かけるようになった。そんな中、僕の後ろ盾だけでは心許ない。命がけの魔法決闘を行ってロドニーやケネスとの友好関係を示さないと、アルロの身は危ないだろう。だから、魔法決闘はどのみち避けられない」
ルーカスはそう言いながら杖を取り出した。ルーカスが杖を使って風魔法を使い、風に押されて窓が勢いよく開く。すると、窓の外側から悲鳴が聞こえた。僕たちの会話を誰かが盗み聞きしていたらしい。
どこにでも敵が潜んでいて怖いな。こんなのまるでホラーじゃないか。
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