25 / 80
24 ラマータでの最終日にあれこれやって過ごします 2
しおりを挟む
「そろそろ昼だな。どこかで飯を食おう。ポピィ、何が食べたい?」
「な、何でもいいです」
「ん、あのな、それ、俺に気を使っているつもりかもしれないが、逆だからな。俺があれこれ考えなくていいように、食べたい物をズバッと言ってくれた方が楽なんだぞ」
「あ、す、すみません、そんなつもりは……ええっと、それじゃあ、お、お肉、お肉が食べたいです」
「よし、じゃあ肉を食いに行こう」
で、結局俺が選んだのは、公園の屋台だった。だって、この街の店なんて全く知らないのだから、仕方ないだろう。屋台は結構美味いし、安いからな。
「あああ、おいしいですぅ!」
ほら、ポピィもすごく喜んでいる。下手に緊張して店で食べるよりこっちが正解なんだ。
数種類の肉串とジョッキにいっぱいのシノン(野生のオレンジ)のジュースを前に、ポピィは幸せいっぱいの顔で微笑んでいた。
「うん、うまいな。遠慮せず食えよ」
「はいっ! こんなにお肉を食べたのは、生まれて初めてです」
(……)
あ、うん、泣いてないぞ……肉の油がはねて目に入っただけだからな。
「んん……腹いっぱいだ。結構食ったな、ポピィも……」
「えへへ……もう一生食べなくていいかもです」
ポピィは、ぽっこり膨れた小さなお腹をさすりながら、恥ずかしそうに笑った。いや、肉くらい毎日でも食べさせてやるから……。
「よし、じゃあ少し腹ごなしをするか?」
「は、はい……ええっと、どこへ?」
「まず、お前の冒険者登録をして、初級ダンジョンに潜ってみよう」
俺の提案に、ポピィは一瞬緊張が顔をよぎったが、すぐに力強く頷いた。
「はいっ、お供します」
まあ、昨日の今日だから当然トラウマはあるだろう。でも、俺はあえて彼女をダンジョンに連れて行くことを昨晩から決めていた。トラウマは真正面から向き合ってしか克服できないからな。しょせん他人事だが……。
『マスター、ポピィさんは《木漏れ日亭》で雇ってもらうので、冒険者になる必要はないのでは?』
(うん、そうなんだけどな。雇ってもらえるかどうか、確定じゃないし、もし雇ってもらえなかったら、冒険者で稼ぐのが手っ取り早いだろう? まあ、心配するな。ポピィが自力で生きていけるくらいには鍛えてやるつもりだ)
『……マスター、もう彼女のステータス見ちゃってますよね?』
((ドキッ)……いや、ほら、たまたまさ、治療の結果を見るために……はい、見ました)
そうなんだよ。見てしまったんだよ、昨日、ダンジョンの中で……。動揺を隠すのに必死だったよ。だってさ、ポピィのギフトがすごいんだよ。見てみる?
***
【名前】 ポピィ Lv 7
【種族】 人間とノームのハーフ
【性別】 ♀
【年齢】 12
【体力】 132 【物理力】65
【魔力】 96 【知力】 102
【敏捷性】155 【器用さ】115
【運】 77
【ギフト】暗殺者
【称号】
【スキル】
〈強化系〉身体強化Rnk2 跳躍Rnk2
〈攻撃系〉投擲Rnk3
〈その他〉魔力察知Rnk2 隠蔽Rnk2
***
《暗殺者》だよ、暗殺者、アサシンだよ、あはは……笑うしかないね。しかも結構スキル持ってるし。これって、普通に《ギガントロック》の三人より強かったんじゃね? まあ、確かに力が弱いから、まともに戦えば勝てないだろうけど。
俺だったら、たぶん、奴らが油断した隙に殺(や)っちゃっていたかもしれない。
あ、それと、ポピィは俺より年上でした。お姉さんです、はい。
ちなみに、今の俺のステータスはこうなっている。
***
【名前】 トーマ Lv 19
【種族】 人族(転生)
【性別】 ♂
【年齢】 11
【体力】 332 【物理力】150
【魔力】 305 【知力】 386
【敏捷性】305 【器用さ】355
【運】 124
【ギフト】ナビゲーションシステム
【称号】 異世界異能者
【スキル】
〈強化系〉身体強化Rnk6 跳躍Rnk5
〈攻撃系〉打撃Rnk3 刺突Rnk5 棒術Rnk2
〈防御系〉物理耐性Rnk3 精神耐性Rnk5 索敵Rnk5
〈その他〉鑑定Rnk5 調合Rnk2 テイムRnk1
***
半年前よりレベルが6上がり、新たに〈棒術〉と〈テイム〉のスキルを覚えた。棒術はメイスを武器にしていたからだろう。テイムは、まあ当然神獣スノウのお陰かな。テイムした覚えはないんだけどね。
♢♢♢
ポピィの冒険者登録は何事も無く済んだ。ちょうど、冒険者が一番少ない昼時を選んだのが良かったな。
ギルドを出た俺たちは、受付の人から聞いた近くの武器屋に来ていた。ポピィの武器と、金が足りるなら簡単な防具を買ってやるためである。
「らっしゃい……なんだ、子どもか? 何の用だ?」
店の奥から出てきたいかつい筋肉のオヤジが、ぶっきらぼうに言った。
「ああ、当然武器を買いに来たんだが、もういいや。帰るぞ、ポピィ」
「っ! ちょ、ちょっと待て」
オヤジは慌てて呼び止めたが、俺は入口の所で振り返って言ってやった。
「子どもは迷惑なんだろう? だったら、子どもにも喜んで武器を売ってくれる、貧しい武器屋を探すさ」
「ぐぬっ……言っておくがな、うちより良い武器を売っている店など、この街には無いぞ」
「へえ、じゃあパルトスの街に帰ってから買うからいいよ。腕のいい武器屋の知り合いがいるからね」
「何、パルトスだって? そ、その腕のいい知り合いって、だ、誰だ?」
「ロッグスさんだけど、あんたには関係な……」
「やっぱり、そうか……」
武器屋のオヤジはそうつぶやくと、いきなり俺たちの前に土下座した。
(えええっ? な、何? どうした?)
「すまねえ、この通りだ。師匠の知り合いに失礼な態度を取ったとあっちゃあ、この腕をへし折ってお詫びするしかねえ。どうか、許してくれ」
(うわあ、めんどくせえ。だったら最初からちゃんと応対しろよ)
「ええっと、あの、もういいから、どうか立ってくれ。ロッグスさんのお弟子さんなの?」
「おお、許してくれるか、ありがてえ。おうよ、俺はロッグス師匠の一番弟子のラングだ。お詫びに目いっぱいサービスさせてもらうぜ。どうか、見ていってくれ」
そこまで言われたら仕方がない。俺は、棚に並んだ武器を見ていった。
「ポピィ、これがいい。ちょっと握って見てくれ」
俺はすぐに一本のダガーナイフを取り上げて、ポピィに手渡した。当然、鑑定のスキルは使ったよ。
ポピィには少し大きいかなとも思ったが、受け取った彼女は、軽々とそれを扱った。
「すごくいいです。えっと、こちら側の先っぽがギザギザになっているのは……」
「おう、兄ちゃん、さすがに良い物を選んだな。嬢ちゃん、それはな、ロープとかを切ることもできるし、突きさして引くことで傷がより深くなるんだ。黒鉄を混ぜてあるから丈夫さは保証するぜ」
「なるほど……で、でも、きっと高いんでしょうね?」
「ああ、まともな売値は一万二千ベルだ。だが、お詫びのしるしに五千に負けとくぜ」
うん、五千なら十分にお買い得だ。だけど、もう少し頑張ってもらおうか。
「この革の胸当てと、籠手、ベルトをつけて、六千ベルでどうだ?」
「うぐっ……かああっ、足元見やがってえぇ! ああ、しようがねえ、その値段で売ってやるよ」
(よしっ、勝ったな)
『何の勝負をしてるんですか……(ためいき)』
さっそくポピィに防具を装着させ、微調整をしてもらう。
「ありがとう。今度、またこの街に来たときは装備を買わせてもらうよ」
「ああ、またな。師匠に〝ラングは元気にやっている〟と伝えてくれ」
「分かった。必ず伝える」
俺たちは、ラングのオヤジに手を振って別れを告げ、ダンジョンに向かった。
「な、何でもいいです」
「ん、あのな、それ、俺に気を使っているつもりかもしれないが、逆だからな。俺があれこれ考えなくていいように、食べたい物をズバッと言ってくれた方が楽なんだぞ」
「あ、す、すみません、そんなつもりは……ええっと、それじゃあ、お、お肉、お肉が食べたいです」
「よし、じゃあ肉を食いに行こう」
で、結局俺が選んだのは、公園の屋台だった。だって、この街の店なんて全く知らないのだから、仕方ないだろう。屋台は結構美味いし、安いからな。
「あああ、おいしいですぅ!」
ほら、ポピィもすごく喜んでいる。下手に緊張して店で食べるよりこっちが正解なんだ。
数種類の肉串とジョッキにいっぱいのシノン(野生のオレンジ)のジュースを前に、ポピィは幸せいっぱいの顔で微笑んでいた。
「うん、うまいな。遠慮せず食えよ」
「はいっ! こんなにお肉を食べたのは、生まれて初めてです」
(……)
あ、うん、泣いてないぞ……肉の油がはねて目に入っただけだからな。
「んん……腹いっぱいだ。結構食ったな、ポピィも……」
「えへへ……もう一生食べなくていいかもです」
ポピィは、ぽっこり膨れた小さなお腹をさすりながら、恥ずかしそうに笑った。いや、肉くらい毎日でも食べさせてやるから……。
「よし、じゃあ少し腹ごなしをするか?」
「は、はい……ええっと、どこへ?」
「まず、お前の冒険者登録をして、初級ダンジョンに潜ってみよう」
俺の提案に、ポピィは一瞬緊張が顔をよぎったが、すぐに力強く頷いた。
「はいっ、お供します」
まあ、昨日の今日だから当然トラウマはあるだろう。でも、俺はあえて彼女をダンジョンに連れて行くことを昨晩から決めていた。トラウマは真正面から向き合ってしか克服できないからな。しょせん他人事だが……。
『マスター、ポピィさんは《木漏れ日亭》で雇ってもらうので、冒険者になる必要はないのでは?』
(うん、そうなんだけどな。雇ってもらえるかどうか、確定じゃないし、もし雇ってもらえなかったら、冒険者で稼ぐのが手っ取り早いだろう? まあ、心配するな。ポピィが自力で生きていけるくらいには鍛えてやるつもりだ)
『……マスター、もう彼女のステータス見ちゃってますよね?』
((ドキッ)……いや、ほら、たまたまさ、治療の結果を見るために……はい、見ました)
そうなんだよ。見てしまったんだよ、昨日、ダンジョンの中で……。動揺を隠すのに必死だったよ。だってさ、ポピィのギフトがすごいんだよ。見てみる?
***
【名前】 ポピィ Lv 7
【種族】 人間とノームのハーフ
【性別】 ♀
【年齢】 12
【体力】 132 【物理力】65
【魔力】 96 【知力】 102
【敏捷性】155 【器用さ】115
【運】 77
【ギフト】暗殺者
【称号】
【スキル】
〈強化系〉身体強化Rnk2 跳躍Rnk2
〈攻撃系〉投擲Rnk3
〈その他〉魔力察知Rnk2 隠蔽Rnk2
***
《暗殺者》だよ、暗殺者、アサシンだよ、あはは……笑うしかないね。しかも結構スキル持ってるし。これって、普通に《ギガントロック》の三人より強かったんじゃね? まあ、確かに力が弱いから、まともに戦えば勝てないだろうけど。
俺だったら、たぶん、奴らが油断した隙に殺(や)っちゃっていたかもしれない。
あ、それと、ポピィは俺より年上でした。お姉さんです、はい。
ちなみに、今の俺のステータスはこうなっている。
***
【名前】 トーマ Lv 19
【種族】 人族(転生)
【性別】 ♂
【年齢】 11
【体力】 332 【物理力】150
【魔力】 305 【知力】 386
【敏捷性】305 【器用さ】355
【運】 124
【ギフト】ナビゲーションシステム
【称号】 異世界異能者
【スキル】
〈強化系〉身体強化Rnk6 跳躍Rnk5
〈攻撃系〉打撃Rnk3 刺突Rnk5 棒術Rnk2
〈防御系〉物理耐性Rnk3 精神耐性Rnk5 索敵Rnk5
〈その他〉鑑定Rnk5 調合Rnk2 テイムRnk1
***
半年前よりレベルが6上がり、新たに〈棒術〉と〈テイム〉のスキルを覚えた。棒術はメイスを武器にしていたからだろう。テイムは、まあ当然神獣スノウのお陰かな。テイムした覚えはないんだけどね。
♢♢♢
ポピィの冒険者登録は何事も無く済んだ。ちょうど、冒険者が一番少ない昼時を選んだのが良かったな。
ギルドを出た俺たちは、受付の人から聞いた近くの武器屋に来ていた。ポピィの武器と、金が足りるなら簡単な防具を買ってやるためである。
「らっしゃい……なんだ、子どもか? 何の用だ?」
店の奥から出てきたいかつい筋肉のオヤジが、ぶっきらぼうに言った。
「ああ、当然武器を買いに来たんだが、もういいや。帰るぞ、ポピィ」
「っ! ちょ、ちょっと待て」
オヤジは慌てて呼び止めたが、俺は入口の所で振り返って言ってやった。
「子どもは迷惑なんだろう? だったら、子どもにも喜んで武器を売ってくれる、貧しい武器屋を探すさ」
「ぐぬっ……言っておくがな、うちより良い武器を売っている店など、この街には無いぞ」
「へえ、じゃあパルトスの街に帰ってから買うからいいよ。腕のいい武器屋の知り合いがいるからね」
「何、パルトスだって? そ、その腕のいい知り合いって、だ、誰だ?」
「ロッグスさんだけど、あんたには関係な……」
「やっぱり、そうか……」
武器屋のオヤジはそうつぶやくと、いきなり俺たちの前に土下座した。
(えええっ? な、何? どうした?)
「すまねえ、この通りだ。師匠の知り合いに失礼な態度を取ったとあっちゃあ、この腕をへし折ってお詫びするしかねえ。どうか、許してくれ」
(うわあ、めんどくせえ。だったら最初からちゃんと応対しろよ)
「ええっと、あの、もういいから、どうか立ってくれ。ロッグスさんのお弟子さんなの?」
「おお、許してくれるか、ありがてえ。おうよ、俺はロッグス師匠の一番弟子のラングだ。お詫びに目いっぱいサービスさせてもらうぜ。どうか、見ていってくれ」
そこまで言われたら仕方がない。俺は、棚に並んだ武器を見ていった。
「ポピィ、これがいい。ちょっと握って見てくれ」
俺はすぐに一本のダガーナイフを取り上げて、ポピィに手渡した。当然、鑑定のスキルは使ったよ。
ポピィには少し大きいかなとも思ったが、受け取った彼女は、軽々とそれを扱った。
「すごくいいです。えっと、こちら側の先っぽがギザギザになっているのは……」
「おう、兄ちゃん、さすがに良い物を選んだな。嬢ちゃん、それはな、ロープとかを切ることもできるし、突きさして引くことで傷がより深くなるんだ。黒鉄を混ぜてあるから丈夫さは保証するぜ」
「なるほど……で、でも、きっと高いんでしょうね?」
「ああ、まともな売値は一万二千ベルだ。だが、お詫びのしるしに五千に負けとくぜ」
うん、五千なら十分にお買い得だ。だけど、もう少し頑張ってもらおうか。
「この革の胸当てと、籠手、ベルトをつけて、六千ベルでどうだ?」
「うぐっ……かああっ、足元見やがってえぇ! ああ、しようがねえ、その値段で売ってやるよ」
(よしっ、勝ったな)
『何の勝負をしてるんですか……(ためいき)』
さっそくポピィに防具を装着させ、微調整をしてもらう。
「ありがとう。今度、またこの街に来たときは装備を買わせてもらうよ」
「ああ、またな。師匠に〝ラングは元気にやっている〟と伝えてくれ」
「分かった。必ず伝える」
俺たちは、ラングのオヤジに手を振って別れを告げ、ダンジョンに向かった。
290
あなたにおすすめの小説
少し冷めた村人少年の冒険記 2
mizuno sei
ファンタジー
地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。
不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。
旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。
千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。
気付いたら、異世界に転生していた。
なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!?
物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です!
※この話は小説家になろう様へも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる