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29 魔法の本を買いに行こう
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「おい、ポピィ、朝だぞ、起きろ。おい、ポピィ……」
「んん……むにゃむにゃ……」
翌朝、早く目を覚ました俺は、隣のベッドでまだ眠っているポピィの布団をはいで叩き起こした。
厳しい? 当たり前だ。これからひと月、厳しい鍛錬に打ち込む弟子を甘やかすはずがなかろう? え? 女の子の布団をはぐのはセクハラ? う、うむ、まあ確かに……わかった、明日からは、布団にくるんだままベッドから落とすくらいで勘弁してやろう。
「ほら、早く食べて、ギルドに行くぞ」
「ふあい、しゅぐたべましゅ……」
「もう、トーマさんて、ほんとに女の子に優しくないですね」
「いや、その、ポピィにはこれからいろいろと鍛錬メニューがありまして、時間を無駄にできないというか……」
「そんなだと、女の子にモテませんよ」
エルシアさんが頬を膨らませて去って行く。
そんなことは全く期待していない。まあ、今はまだな……。
俺は、この世界に転生して、自分の周囲の環境を把握した時、心に誓ったのだ。まず、俺自身が意地でも生き延びて、寿命を全うしてやる、と。他の者を気遣う余裕なんて、この世界に生きている限り持てない。もちろんそれは、俺自身がギフトに恵まれず、弱かったからだ。弱いままでは、愛する者を守ることも、子孫に安全な環境を残してやることもできない。いつ、魔物に襲われるか、盗賊や悪人に目の前で愛する者を奪われ、殺されるか、それが当たり前のように起きる世界なのだ。
だから、自分が強くなるまでは決して油断しないし、恋に現(うつつ)を抜かすことも無い。
『前世の影響か、かなり被害妄想が入っていますけれどね』
(いいんだ……どうせ、容姿も普通だし、期待しなければ失望することもないんだから……)
『(そんなに卑屈になるほど、外見は悪くないと思いますけれどね)』
♢♢♢
俺とポピィは、朝一番でギルドへ行き、個人口座を作ってもらった。とりあえず、俺が三十万ベル預け、ポピィが二十万ベル預けた。ポピィは、大金持ちになってしまったと、がくがく足を震わせているのが可愛かった。
「さて、鍛錬に行く前に、本を買いに行くぞ」
「おお、本ですか? まだ見たことがありません」
ギルドを出た俺たちは、大通りを北に進み、途中から西へ向かう路地に入った。方向的には《木漏れ日亭》や鍛冶屋のロッグス師匠の店がある地区と同じだ。
進行方向右手に、《木漏れ日亭》のご神木がはっきり見える。まさに、この街のシンボルといった感じだ。中心街からはかなり外れてはいるが……。
「お、ここだな」
狭い路地の途中に、ギルドで聞いた古本屋があった。
さっそく中に入ると、独特の匂いが店の中に充満している。
この世界では紙が貴重なので、王侯貴族以外は本は使い回すのが普通だ。だから、本屋に売っているのは大半が古本で、新品の本は稀だ。
「あのう、すみません。魔法関係の本はどこにありますか?」
俺は薄暗い店の奥の帳場に、まるで蝋人形のように座っている老婆に声を掛けた。だが、こちらに目を向けたのだが、返事がない。
「あのう、すみません、魔法の、本は、どこに……」
俺がもう一度ゆっくりと質問を繰り返そうとしたとき、
「ああ、おばあちゃんは耳がほとんど聞こえなくてね。お勘定しかしないんだよ」
不意に背後から若い女性の声が聞こえてきた。
そこにいたのは黒いローブを着た銀髪の女性だった。病的なほど白い肌に、大きな目を眠たげに半ば閉じていたが、その奥に覗く瞳は薄い紫色だった。整ったきれいな顔立ちだが、どことなく浮世離れした雰囲気があった。
「魔法関係の本は、この本棚の裏側全部がそうだよ。君、魔法が使えるの?」
「いいえ、これから覚えるつもりです」
「ふうん……」
『今、この人〈鑑定〉を使いました』
(えっ? まずいじゃん)
『ご安心を。偽装を掛けておきましたから』
(おお、さすがナビ! 頼りになるぜ。しかし、断りも無く鑑定するなんて、舐めてるな)
「まあ、頑張れば使えるようになるかもね」
その女性はそう言って背を向け、本棚に向かった。
(よし、〝〈鑑定〉返し〟だっ!)
***
【名前】 アリョーシャ Lv43
【種族】 人間と魔族のハーフ
【性別】 ♀
【年齢】 36
【体力】 204 【物理力】186
【魔力】 355 【知力】 385
【敏捷性】113 【器用さ】248
【運】 120
【ギフト】錬金術師
【称号】 魔族に捨てられし者、元王室錬金術研究所職員
【スキル】
〈強化系〉身体強化Rnk2 防御結界Rnk3
〈攻撃系〉闇魔法Rnk3 風魔法Rnk5
〈その他〉算術Rnk10 無属性魔法Rnk5 礼儀作法Rnk5
鑑定Rnk8 錬金術Rnk10 魔力感知Rnk8
薬学Rnk6 植物学Rnk8 鉱物学Rnk6
***
うおおっ……思わず叫びそうになるのを必死に我慢した。何この人、賢者ですか?あなたは賢者様ですか? それほどすごいステータスだ。しかも、魔族とのハーフ? 元王室錬金術職員? どんな人生を歩いてきた人だよ。
「ねえ、君、今私を〈鑑定〉したでしょう?」
まあ、魔力感知を持ってるんだ、ばれるわな。
「はい、俺も鑑定されたようですから、お返しです」
俺のとげのある言葉に、女性は眠たげな眼を開いて、口元に微かな笑みを浮かべた。
「へえ、ふふ……ねえ、君、何者? ステータスは偽装魔法でも掛けてるの?」
「いいえ、辺境の村から出てきた、ただの平民ですよ」
俺はそう答えると、きょとんとしているポピィを促して魔法関係の本がある棚の裏側に移動した。
早く魔法の本を買って帰ることにしよう。あの女性に関わるとろくなことにならない予感がする。
「ええっと、先ずは基本からだな。『初級魔法学』か、これがいいだろう」
俺は一冊の本を手に取ると、それを持って帳場へ向かった。
「あの、これ下さい」
聞こえないとは思いつつ、そう言って本を差し出した。
おばあさんは、その本を見ると、両手で七の数字を示した。
「七万てことかな? 予定より安かったな」
俺は腰の布袋から金貨を七枚取り出しておばあさんの前に置いた。
「ありがとうね」
おばあさんは初めてしゃがれた声を出して、にっこりと微笑んだ。
俺も愛想笑いを浮かべながら頭を下げて、そそくさと店から出て行こうとした。
「ねえ、ちょっと待って」
例の女性錬金術師が、俺たちの後を追って店を出てきた。
「何か御用でしょうか?」
俺は歩みを止めず、そっけなく答えた。
「うん、用事ってほどでもないけど……ねえ、君、錬金術に興味はある?」
女性の言葉に、思わず足を止める。
ある、ありますよ。普通に学べるのであればね。
「私、一つ向こうの通りで錬金術のお店をやってるの。興味があるなら来てみない?」
「ええっと、確かに興味はあります。でも、なぜ僕に声を掛けたのですか?」
「ふふ……そうよね、すごく警戒されているのは感じてるわ。ずばり言うと、あなたのギフト、《ナビゲーションシステム》だったかしら? それについて知りたいの」
「はずれギフトですよ?」
「皆からそう言われたのね。でもね、私はギフトに当たりも外れもない、と考えているの」
おっと、この人やっぱりただ者じゃないな。ギフトの仕組みに気づいたのか?
「……今は時間がないので、失礼します。今度時間があったらお店に伺うかもしれません」
「そう……残念だけど、仕方ないわね。じゃあ、期待して待ってるわ」
女性はそう言うと、手を振って去って行った。
「なんだか、怖い感じの女の人でしたね」
「うん、そうだな……さあ、行くぞ」
「はい」
そう、こんな辺境の街にいるような人じゃない。それだけ訳ありの過去を持っているのだろう。だからこそ、よけいに関わりたくない。俺は心のチェックリストにそうメモした。
「んん……むにゃむにゃ……」
翌朝、早く目を覚ました俺は、隣のベッドでまだ眠っているポピィの布団をはいで叩き起こした。
厳しい? 当たり前だ。これからひと月、厳しい鍛錬に打ち込む弟子を甘やかすはずがなかろう? え? 女の子の布団をはぐのはセクハラ? う、うむ、まあ確かに……わかった、明日からは、布団にくるんだままベッドから落とすくらいで勘弁してやろう。
「ほら、早く食べて、ギルドに行くぞ」
「ふあい、しゅぐたべましゅ……」
「もう、トーマさんて、ほんとに女の子に優しくないですね」
「いや、その、ポピィにはこれからいろいろと鍛錬メニューがありまして、時間を無駄にできないというか……」
「そんなだと、女の子にモテませんよ」
エルシアさんが頬を膨らませて去って行く。
そんなことは全く期待していない。まあ、今はまだな……。
俺は、この世界に転生して、自分の周囲の環境を把握した時、心に誓ったのだ。まず、俺自身が意地でも生き延びて、寿命を全うしてやる、と。他の者を気遣う余裕なんて、この世界に生きている限り持てない。もちろんそれは、俺自身がギフトに恵まれず、弱かったからだ。弱いままでは、愛する者を守ることも、子孫に安全な環境を残してやることもできない。いつ、魔物に襲われるか、盗賊や悪人に目の前で愛する者を奪われ、殺されるか、それが当たり前のように起きる世界なのだ。
だから、自分が強くなるまでは決して油断しないし、恋に現(うつつ)を抜かすことも無い。
『前世の影響か、かなり被害妄想が入っていますけれどね』
(いいんだ……どうせ、容姿も普通だし、期待しなければ失望することもないんだから……)
『(そんなに卑屈になるほど、外見は悪くないと思いますけれどね)』
♢♢♢
俺とポピィは、朝一番でギルドへ行き、個人口座を作ってもらった。とりあえず、俺が三十万ベル預け、ポピィが二十万ベル預けた。ポピィは、大金持ちになってしまったと、がくがく足を震わせているのが可愛かった。
「さて、鍛錬に行く前に、本を買いに行くぞ」
「おお、本ですか? まだ見たことがありません」
ギルドを出た俺たちは、大通りを北に進み、途中から西へ向かう路地に入った。方向的には《木漏れ日亭》や鍛冶屋のロッグス師匠の店がある地区と同じだ。
進行方向右手に、《木漏れ日亭》のご神木がはっきり見える。まさに、この街のシンボルといった感じだ。中心街からはかなり外れてはいるが……。
「お、ここだな」
狭い路地の途中に、ギルドで聞いた古本屋があった。
さっそく中に入ると、独特の匂いが店の中に充満している。
この世界では紙が貴重なので、王侯貴族以外は本は使い回すのが普通だ。だから、本屋に売っているのは大半が古本で、新品の本は稀だ。
「あのう、すみません。魔法関係の本はどこにありますか?」
俺は薄暗い店の奥の帳場に、まるで蝋人形のように座っている老婆に声を掛けた。だが、こちらに目を向けたのだが、返事がない。
「あのう、すみません、魔法の、本は、どこに……」
俺がもう一度ゆっくりと質問を繰り返そうとしたとき、
「ああ、おばあちゃんは耳がほとんど聞こえなくてね。お勘定しかしないんだよ」
不意に背後から若い女性の声が聞こえてきた。
そこにいたのは黒いローブを着た銀髪の女性だった。病的なほど白い肌に、大きな目を眠たげに半ば閉じていたが、その奥に覗く瞳は薄い紫色だった。整ったきれいな顔立ちだが、どことなく浮世離れした雰囲気があった。
「魔法関係の本は、この本棚の裏側全部がそうだよ。君、魔法が使えるの?」
「いいえ、これから覚えるつもりです」
「ふうん……」
『今、この人〈鑑定〉を使いました』
(えっ? まずいじゃん)
『ご安心を。偽装を掛けておきましたから』
(おお、さすがナビ! 頼りになるぜ。しかし、断りも無く鑑定するなんて、舐めてるな)
「まあ、頑張れば使えるようになるかもね」
その女性はそう言って背を向け、本棚に向かった。
(よし、〝〈鑑定〉返し〟だっ!)
***
【名前】 アリョーシャ Lv43
【種族】 人間と魔族のハーフ
【性別】 ♀
【年齢】 36
【体力】 204 【物理力】186
【魔力】 355 【知力】 385
【敏捷性】113 【器用さ】248
【運】 120
【ギフト】錬金術師
【称号】 魔族に捨てられし者、元王室錬金術研究所職員
【スキル】
〈強化系〉身体強化Rnk2 防御結界Rnk3
〈攻撃系〉闇魔法Rnk3 風魔法Rnk5
〈その他〉算術Rnk10 無属性魔法Rnk5 礼儀作法Rnk5
鑑定Rnk8 錬金術Rnk10 魔力感知Rnk8
薬学Rnk6 植物学Rnk8 鉱物学Rnk6
***
うおおっ……思わず叫びそうになるのを必死に我慢した。何この人、賢者ですか?あなたは賢者様ですか? それほどすごいステータスだ。しかも、魔族とのハーフ? 元王室錬金術職員? どんな人生を歩いてきた人だよ。
「ねえ、君、今私を〈鑑定〉したでしょう?」
まあ、魔力感知を持ってるんだ、ばれるわな。
「はい、俺も鑑定されたようですから、お返しです」
俺のとげのある言葉に、女性は眠たげな眼を開いて、口元に微かな笑みを浮かべた。
「へえ、ふふ……ねえ、君、何者? ステータスは偽装魔法でも掛けてるの?」
「いいえ、辺境の村から出てきた、ただの平民ですよ」
俺はそう答えると、きょとんとしているポピィを促して魔法関係の本がある棚の裏側に移動した。
早く魔法の本を買って帰ることにしよう。あの女性に関わるとろくなことにならない予感がする。
「ええっと、先ずは基本からだな。『初級魔法学』か、これがいいだろう」
俺は一冊の本を手に取ると、それを持って帳場へ向かった。
「あの、これ下さい」
聞こえないとは思いつつ、そう言って本を差し出した。
おばあさんは、その本を見ると、両手で七の数字を示した。
「七万てことかな? 予定より安かったな」
俺は腰の布袋から金貨を七枚取り出しておばあさんの前に置いた。
「ありがとうね」
おばあさんは初めてしゃがれた声を出して、にっこりと微笑んだ。
俺も愛想笑いを浮かべながら頭を下げて、そそくさと店から出て行こうとした。
「ねえ、ちょっと待って」
例の女性錬金術師が、俺たちの後を追って店を出てきた。
「何か御用でしょうか?」
俺は歩みを止めず、そっけなく答えた。
「うん、用事ってほどでもないけど……ねえ、君、錬金術に興味はある?」
女性の言葉に、思わず足を止める。
ある、ありますよ。普通に学べるのであればね。
「私、一つ向こうの通りで錬金術のお店をやってるの。興味があるなら来てみない?」
「ええっと、確かに興味はあります。でも、なぜ僕に声を掛けたのですか?」
「ふふ……そうよね、すごく警戒されているのは感じてるわ。ずばり言うと、あなたのギフト、《ナビゲーションシステム》だったかしら? それについて知りたいの」
「はずれギフトですよ?」
「皆からそう言われたのね。でもね、私はギフトに当たりも外れもない、と考えているの」
おっと、この人やっぱりただ者じゃないな。ギフトの仕組みに気づいたのか?
「……今は時間がないので、失礼します。今度時間があったらお店に伺うかもしれません」
「そう……残念だけど、仕方ないわね。じゃあ、期待して待ってるわ」
女性はそう言うと、手を振って去って行った。
「なんだか、怖い感じの女の人でしたね」
「うん、そうだな……さあ、行くぞ」
「はい」
そう、こんな辺境の街にいるような人じゃない。それだけ訳ありの過去を持っているのだろう。だからこそ、よけいに関わりたくない。俺は心のチェックリストにそうメモした。
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