8 / 50
初めての交流
しおりを挟む
「今来たところからこの奥までずっと客間になります」
宣言通りルシアーノが城内を案内してくれている。
エリザベスがこの城に来て今日で三日目。
交流らしい交流はこれが初である。
「そしてこの奥を抜けまして、階段を降りますと‥」
と階段を降りると突き当たりにドアがある。
「こちらが図書室になります」とルシアーノがドアを開けた。
「まあ、素晴らしい規模ですね!」
広い室内。高い天井。みっちりと本棚が並び天井近くまで本があった。
大きく本を広げられそうなテーブル席。
ゆっくりと読むための席。
本好きには天国なのではと思えるほど雰囲気もあり静かだ。
「資料がほとんどですが。」
「これで全てですか?」
「いえ、書庫にもまだ。司書が常駐しておりいつでもお好きな本を言っていただければお探ししますし、なければ申しつけてください。」
「ええ!ありがとうございます!」
実はエリザベスは本が好きである。
本、刺繍、レース作り。
のんびり自分のペースで楽しめるものが好きなのだ。
何冊か持っていっていいと言われたのでふとみた本棚には
レースの本と刺繍の本が置いてあった。
これは!とエリザベスはレースの本を手に取るも刺繍の本が少し上。
どうやってとるのかしら‥と少し戸惑っていると
スッと手が伸びてくる。
驚いて振り返るといつの間にやらルシアーノがいてお目当ての本を取ってくれた。
「これですか」
揶揄うようにスマイルを浮かべ手渡してくれたルシアーノに、エリザベスはふふと笑みがこぼれた。
「ルシアーノ様は軽々と取ってしまわれるのですね。ありがとうございます。」
と本を受けとった。
するとルシアーノが何かに驚いたのか、表情が一瞬消えたようにエリザベスは思った。
が、すぐにすっとスマイルを浮かべて
「ではその二冊を借りましょう。」というと後ろに控えていた執事に渡す。
何か変な事言っただろうか?エリザベスが少し不安になっていると
「ああ、そろそろいい時間ですね。先ほどの客間に戻りましょうか」
と言われる。
いい時間?なんだろう。
エリザベスは訳もわからぬままルシアーノについて行くとさっき案内された客間の一つに入っていく。
スタスタと真っ直ぐ正面の窓に向かっていくルシアーノ。
一体何があるのかとエリザベスが思っているとルシアーノがシャッとカーテンを開ける。
わ!
思わず声が出そうになった。
ジェンティルダ城は小高い丘にある。
正面の大きな窓から見える景色は街を一望でき、遠くに海が見えた。
そしてその海に今沈もうとしている太陽に街も海もあかね色に染まっていた。
「まあ!まあ!なんて素敵な景色でしょう!」
ゆっくりと窓に近づくとルシアーノの横に立つ。
さすがは北の辺境の要塞城ジェンティルダ城。
「あの辺りの街は私が馬車で通った街でしょうか」
少し興奮気味にエリザベスが指でさし示しながらルシアーノに尋ねる。
しかしエリザベスの指がどの辺を指してるのかわからなかったらしく
ルシアーノはエリザベスの目線まで腰をかがめ、
「あの辺り、そうですね。そして街の中心でもあります。
また行くこともあるでしょう。」
と説明してくれた。
「そうですね」と言いながら街を眺める。
ジュンブリザート辺境伯領の領民が暮らす街。
こちらに来て三日。
不安もあった。
でも街で日々を営んでいる人々に思いを馳せるとなんだか元気が湧いてくる。
少しずつ暗くなり始めた街を見ながら
「ありがとうございます。ルシアーノ様。こんな素敵な景色を見せていただいて。」
「では、そろそろ暗くなってきましたし、戻りましょうか」
「はい。ありがとうございました。」
とエリザベスがルシアーノの方に向き直りお礼を言う。
おや、とエリザベスは思う。
(なんだかむすっとしている?)
「ルシアーノ様」
何かしてしまっただろうかと不安になりエリザベスは声をかけた。
「本は侍女に部屋に置いておくように指示しました。夕食まではゆっくりしてください。部屋までは執事のセバスチャンに送らせましょう。私は仕事があるのでここで。」
と笑顔で丁寧にお辞儀をしていってしまった。
エリザベスは(気にしすぎかしら)と気を取りなおし部屋に届いてるであろう本のことに想いを馳せた。
宣言通りルシアーノが城内を案内してくれている。
エリザベスがこの城に来て今日で三日目。
交流らしい交流はこれが初である。
「そしてこの奥を抜けまして、階段を降りますと‥」
と階段を降りると突き当たりにドアがある。
「こちらが図書室になります」とルシアーノがドアを開けた。
「まあ、素晴らしい規模ですね!」
広い室内。高い天井。みっちりと本棚が並び天井近くまで本があった。
大きく本を広げられそうなテーブル席。
ゆっくりと読むための席。
本好きには天国なのではと思えるほど雰囲気もあり静かだ。
「資料がほとんどですが。」
「これで全てですか?」
「いえ、書庫にもまだ。司書が常駐しておりいつでもお好きな本を言っていただければお探ししますし、なければ申しつけてください。」
「ええ!ありがとうございます!」
実はエリザベスは本が好きである。
本、刺繍、レース作り。
のんびり自分のペースで楽しめるものが好きなのだ。
何冊か持っていっていいと言われたのでふとみた本棚には
レースの本と刺繍の本が置いてあった。
これは!とエリザベスはレースの本を手に取るも刺繍の本が少し上。
どうやってとるのかしら‥と少し戸惑っていると
スッと手が伸びてくる。
驚いて振り返るといつの間にやらルシアーノがいてお目当ての本を取ってくれた。
「これですか」
揶揄うようにスマイルを浮かべ手渡してくれたルシアーノに、エリザベスはふふと笑みがこぼれた。
「ルシアーノ様は軽々と取ってしまわれるのですね。ありがとうございます。」
と本を受けとった。
するとルシアーノが何かに驚いたのか、表情が一瞬消えたようにエリザベスは思った。
が、すぐにすっとスマイルを浮かべて
「ではその二冊を借りましょう。」というと後ろに控えていた執事に渡す。
何か変な事言っただろうか?エリザベスが少し不安になっていると
「ああ、そろそろいい時間ですね。先ほどの客間に戻りましょうか」
と言われる。
いい時間?なんだろう。
エリザベスは訳もわからぬままルシアーノについて行くとさっき案内された客間の一つに入っていく。
スタスタと真っ直ぐ正面の窓に向かっていくルシアーノ。
一体何があるのかとエリザベスが思っているとルシアーノがシャッとカーテンを開ける。
わ!
思わず声が出そうになった。
ジェンティルダ城は小高い丘にある。
正面の大きな窓から見える景色は街を一望でき、遠くに海が見えた。
そしてその海に今沈もうとしている太陽に街も海もあかね色に染まっていた。
「まあ!まあ!なんて素敵な景色でしょう!」
ゆっくりと窓に近づくとルシアーノの横に立つ。
さすがは北の辺境の要塞城ジェンティルダ城。
「あの辺りの街は私が馬車で通った街でしょうか」
少し興奮気味にエリザベスが指でさし示しながらルシアーノに尋ねる。
しかしエリザベスの指がどの辺を指してるのかわからなかったらしく
ルシアーノはエリザベスの目線まで腰をかがめ、
「あの辺り、そうですね。そして街の中心でもあります。
また行くこともあるでしょう。」
と説明してくれた。
「そうですね」と言いながら街を眺める。
ジュンブリザート辺境伯領の領民が暮らす街。
こちらに来て三日。
不安もあった。
でも街で日々を営んでいる人々に思いを馳せるとなんだか元気が湧いてくる。
少しずつ暗くなり始めた街を見ながら
「ありがとうございます。ルシアーノ様。こんな素敵な景色を見せていただいて。」
「では、そろそろ暗くなってきましたし、戻りましょうか」
「はい。ありがとうございました。」
とエリザベスがルシアーノの方に向き直りお礼を言う。
おや、とエリザベスは思う。
(なんだかむすっとしている?)
「ルシアーノ様」
何かしてしまっただろうかと不安になりエリザベスは声をかけた。
「本は侍女に部屋に置いておくように指示しました。夕食まではゆっくりしてください。部屋までは執事のセバスチャンに送らせましょう。私は仕事があるのでここで。」
と笑顔で丁寧にお辞儀をしていってしまった。
エリザベスは(気にしすぎかしら)と気を取りなおし部屋に届いてるであろう本のことに想いを馳せた。
235
あなたにおすすめの小説
【完結】君を迎えに行く
とっくり
恋愛
顔だけは完璧、中身はちょっぴり残念な侯爵子息カインと、
ふんわり掴みどころのない伯爵令嬢サナ。
幼い頃に婚約したふたりは、静かに関係を深めていくはずだった。
けれど、すれ違いと策略により、婚約は解消されてしまう。
その別れが、恋に鈍いカインを少しずつ変えていく。
やがて彼は気づく。
あの笑顔の奥に、サナが隠していた“本当の想い”に――。
これは、不器用なふたりが、
遠回りの先で見つけた“本当の気持ち”を迎えに行く物語
奪われる人生とはお別れします 婚約破棄の後は幸せな日々が待っていました
水空 葵
恋愛
婚約者だった王太子殿下は、最近聖女様にかかりっきりで私には見向きもしない。
それなのに妃教育と称して仕事を押し付けてくる。
しまいには建国パーティーの時に婚約解消を突き付けられてしまった。
王太子殿下、それから私の両親。今まで尽くしてきたのに、裏切るなんて許せません。
でも、これ以上奪われるのは嫌なので、さっさとお別れしましょう。
◇2024/2/5 HOTランキング1位に掲載されました。
◇第17回 恋愛小説大賞で6位&奨励賞を頂きました。
◇レジーナブックスより書籍発売中です!
本当にありがとうございます!
【完結】婚約破棄された令嬢の毒はいかがでしょうか
まさかの
恋愛
皇太子の未来の王妃だったカナリアは突如として、父親の罪によって婚約破棄をされてしまった。
己の命が助かる方法は、友好国の悪評のある第二王子と婚約すること。
カナリアはその提案をのんだが、最初の夜会で毒を盛られてしまった。
誰も味方がいない状況で心がすり減っていくが、婚約者のシリウスだけは他の者たちとは違った。
ある時、シリウスの悪評の原因に気付いたカナリアの手でシリウスは穏やかな性格を取り戻したのだった。
シリウスはカナリアへ愛を囁き、カナリアもまた少しずつ彼の愛を受け入れていく。
そんな時に、義姉のヒルダがカナリアへ多くの嫌がらせを行い、女の戦いが始まる。
嫁いできただけの女と甘く見ている者たちに分からせよう。
カナリア・ノートメアシュトラーセがどんな女かを──。
小説家になろう、エブリスタ、アルファポリス、カクヨムで投稿しています。
婚約破棄されました。
まるねこ
恋愛
私、ルナ・ブラウン。歳は本日14歳となったところですわ。家族は父ラスク・ブラウン公爵と母オリヴィエ、そして3つ上の兄、アーロの4人家族。
本日、私の14歳の誕生日のお祝いと、婚約者のお披露目会を兼ねたパーティーの場でそれは起こりました。
ド定番的な婚約破棄からの恋愛物です。
習作なので短めの話となります。
恋愛大賞に応募してみました。内容は変わっていませんが、少し文を整えています。
ふんわり設定で気軽に読んでいただければ幸いです。
Copyright©︎2020-まるねこ
婚約破棄されたので、聖女になりました。けど、こんな国の為には働けません。自分の王国を建設します。
ぽっちゃりおっさん
恋愛
公爵であるアルフォンス家一人息子ボクリアと婚約していた貴族の娘サラ。
しかし公爵から一方的に婚約破棄を告げられる。
屈辱の日々を送っていたサラは、15歳の洗礼を受ける日に【聖女】としての啓示を受けた。
【聖女】としてのスタートを切るが、幸運を祈る相手が、あの憎っくきアルフォンス家であった。
差別主義者のアルフォンス家の為には、祈る気にはなれず、サラは国を飛び出してしまう。
そこでサラが取った決断は?
【完結】前代未聞の婚約破棄~なぜあなたが言うの?~【長編】
暖夢 由
恋愛
「サリー・ナシェルカ伯爵令嬢、あなたの婚約は破棄いたします!」
高らかに宣言された婚約破棄の言葉。
ドルマン侯爵主催のガーデンパーティーの庭にその声は響き渡った。
でもその婚約破棄、どうしてあなたが言うのですか?
*********
以前投稿した小説を長編版にリメイクして投稿しております。
内容も少し変わっておりますので、お楽し頂ければ嬉しいです。
私との婚約は、選択ミスだったらしい
柚木ゆず
恋愛
※5月23日、ケヴィン編が完結いたしました。明日よりリナス編(第2のざまぁ)が始まり、そちらが完結後、エマとルシアンのお話を投稿させていただきます。
幼馴染のリナスが誰よりも愛しくなった――。リナスと結婚したいから別れてくれ――。
ランドル侯爵家のケヴィン様と婚約をしてから、僅か1週間後の事。彼が突然やってきてそう言い出し、私は呆れ果てて即婚約を解消した。
この人は私との婚約は『選択ミス』だと言っていたし、真の愛を見つけたと言っているから黙っていたけど――。
貴方の幼馴染のリナスは、ものすごく猫を被ってるの。
だから結婚後にとても苦労することになると思うけど、頑張って。
とある令嬢の優雅な別れ方 〜婚約破棄されたので、笑顔で地獄へお送りいたします〜
入多麗夜
恋愛
【完結まで執筆済!】
社交界を賑わせた婚約披露の茶会。
令嬢セリーヌ・リュミエールは、婚約者から突きつけられる。
「真実の愛を見つけたんだ」
それは、信じた誠実も、築いてきた未来も踏みにじる裏切りだった。だが、彼女は微笑んだ。
愛よりも冷たく、そして美しく。
笑顔で地獄へお送りいたします――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる