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「あら、ワインはまだかしら。乾杯ができないじゃない」
とテキパキと使用人に指示を出す。
ルシアーノは嘆息して
「まだ皆揃ったばかりじゃないか。ゆっくり食事を進めればいい。」
とセイラの言葉を打ち消すように片手をふる。
何が起こっているのかわからないエリザベスなどいないかのように話は進んでゆく。
エリザベスは混乱しつつも状況を把握する。
一体どこで齟齬があったのかはわからないが、これはセイラのお誕生パーティーなのだ。
少なくともルシアーノとセイラはそう思っている。
乾杯を済ませるとルシアーノがトムに指示し、セイラに誕生日のプレゼントを渡す。
セイラは箱を開けて感嘆の声を上げる。
立派なパインダセルビーのイヤリングとネックレスのセットだった。
ルシアーノの髪色に合わせたようにもとれる贈り物に使用人たちの雰囲気もピリッとする。エリザベスが癇癪を起こすと思ったのだろうか。
エリザベスは空気を変えようと
「では私からも贈り物を。」
とエリザベスはマリーに目で合図をしてセイラに渡す。
本当はルシアーノに贈るつもりのハンカチだった。
エリザベスはお見舞いにもらった花をハンカチに刺繍していた。
綺麗なブルーの花だったので、セイラのブルーシルバーの髪に合っててちょうどいい。
プレゼントの贈り先を変えるなど下品かもしれないが
黙っていればわからないのだから、とエリザベスは知らんぷりをした。
セイラは意外にも喜んでくれた。
「まあ、刺繍がお上手なのね!」とお礼を言われた。
(自分の感情に素直なまっすぐな方なのだわ)とエリザベスは思う。
でもだからこそエリザベスへの腹立たしさを隠すことが出来ないのだろう。
雰囲気の戻った事にエリザベスは安堵しつつ、運ばれてくる料理に舌鼓を打つ。
ルシアーノとセイラは先日の進水式の話で盛り上がっている。
エリザベスはすっかり蚊帳の外だ。
(今日はコック長の料理ね。)
ジェンティルダ城にはメインとなるコックが三人いる。
それぞれ特徴がありそれぞれ美味しいのだが、王都のような料理の時はコック長だ。
一度食堂で食べた時にエリザベスは質問したことがあるが、
「王都で修行してらしたの?」
「はい」
「まあ、王都のどこかしら?」
「私の話などエリザベス様のお耳汚しにしかなりません。烏滸がましいことでございます。」
と、いつものモードで返された。
エリザベスはならばいつか絶対当ててやろうと思っていた。
どこかで食べたような料理なのだ。
いつもエリザベスは思案しながら食べているのだが、今日はおやっと思う。
なんだかいつものコック長とは味が違うような気がしたのだ。
(いつもより脂っこい?)
喉を通った後胃にズーンと重くのしかかるよう。
むしろ喉も脂を感じるのか通りにくい。
と、ふとエリザベスは視線を感じた。
ルシアーノがエリザベスを見ている。
(話を聞いていないとおもわれている?)
しかしそこはエリザベスである。
違う事を考えていても話はきちんと聞いているのだ。
「インウダーナ領の進水式は盛大だったのですね。とても興味深く、聞き入ってしまいましたわ。」
とエリザベスはちゃんと聞いてましたアピールをする。
「あなたがいらっしゃったから辺境からは誰も来れなかったんですけどね!」
「セイラ」
思い出したようにご機嫌が悪くなるセイラをルシアーノが嗜める。
そして使用人たちの空気もピーンと張り詰め出す。
エリザベスがどうしたものかと考えていると
セイラがフンと言ったように顎を上げて見下ろすようにエリザベスを見る。
「ジェンティルダ城のシェフの料理は気に入った?」
「ええ、もちろんですわ」とエリザベスは答えつつも質問の意図を図りかねていた。
するとルシアーノに向き直り「よかったわねえ、ルカ!気に入らなければハンストされる所だったんじゃないの!」
やはり意図が読めないエリザベスはルシアーノの顔を伺うがルシアーノもピンとは来てないようだった。
そんな2人にイライラとセイラは口を開けた。
「聞いたわよ!孤児院に点数稼ぎに寄付したものの、子供から食事に誘われたらそんな貧しい食事は食べられないって断ったんでしょう?!」
半分あってるが半分間違ってる。
エリザベスは口を開きかけたが畳み掛けるようにセイラが話し出す。
「怒った子供に突き飛ばされて足を捻ったのを、被害者ぶって司教様にしなだれて色目を使ったんでしょう?!そこをルカに見られて怒鳴られたんですってね!そのあとはアレクに泣きついてすがりつきながら城まで帰ってきたことも知ってるんだから!」
思わずエリザベスは絶句してしまった。
なんとも絶妙に嘘と本当が入り混じっているではないか。
「さすがは男好きの悪役令嬢!どこにいてもお盛んね!」信じられないわ!と一気にまくし立てたセイラがエリザベスをなじり出した。
とその時だった。
ココココン!!!
食堂にせわしないノックが鳴り響いた。
とテキパキと使用人に指示を出す。
ルシアーノは嘆息して
「まだ皆揃ったばかりじゃないか。ゆっくり食事を進めればいい。」
とセイラの言葉を打ち消すように片手をふる。
何が起こっているのかわからないエリザベスなどいないかのように話は進んでゆく。
エリザベスは混乱しつつも状況を把握する。
一体どこで齟齬があったのかはわからないが、これはセイラのお誕生パーティーなのだ。
少なくともルシアーノとセイラはそう思っている。
乾杯を済ませるとルシアーノがトムに指示し、セイラに誕生日のプレゼントを渡す。
セイラは箱を開けて感嘆の声を上げる。
立派なパインダセルビーのイヤリングとネックレスのセットだった。
ルシアーノの髪色に合わせたようにもとれる贈り物に使用人たちの雰囲気もピリッとする。エリザベスが癇癪を起こすと思ったのだろうか。
エリザベスは空気を変えようと
「では私からも贈り物を。」
とエリザベスはマリーに目で合図をしてセイラに渡す。
本当はルシアーノに贈るつもりのハンカチだった。
エリザベスはお見舞いにもらった花をハンカチに刺繍していた。
綺麗なブルーの花だったので、セイラのブルーシルバーの髪に合っててちょうどいい。
プレゼントの贈り先を変えるなど下品かもしれないが
黙っていればわからないのだから、とエリザベスは知らんぷりをした。
セイラは意外にも喜んでくれた。
「まあ、刺繍がお上手なのね!」とお礼を言われた。
(自分の感情に素直なまっすぐな方なのだわ)とエリザベスは思う。
でもだからこそエリザベスへの腹立たしさを隠すことが出来ないのだろう。
雰囲気の戻った事にエリザベスは安堵しつつ、運ばれてくる料理に舌鼓を打つ。
ルシアーノとセイラは先日の進水式の話で盛り上がっている。
エリザベスはすっかり蚊帳の外だ。
(今日はコック長の料理ね。)
ジェンティルダ城にはメインとなるコックが三人いる。
それぞれ特徴がありそれぞれ美味しいのだが、王都のような料理の時はコック長だ。
一度食堂で食べた時にエリザベスは質問したことがあるが、
「王都で修行してらしたの?」
「はい」
「まあ、王都のどこかしら?」
「私の話などエリザベス様のお耳汚しにしかなりません。烏滸がましいことでございます。」
と、いつものモードで返された。
エリザベスはならばいつか絶対当ててやろうと思っていた。
どこかで食べたような料理なのだ。
いつもエリザベスは思案しながら食べているのだが、今日はおやっと思う。
なんだかいつものコック長とは味が違うような気がしたのだ。
(いつもより脂っこい?)
喉を通った後胃にズーンと重くのしかかるよう。
むしろ喉も脂を感じるのか通りにくい。
と、ふとエリザベスは視線を感じた。
ルシアーノがエリザベスを見ている。
(話を聞いていないとおもわれている?)
しかしそこはエリザベスである。
違う事を考えていても話はきちんと聞いているのだ。
「インウダーナ領の進水式は盛大だったのですね。とても興味深く、聞き入ってしまいましたわ。」
とエリザベスはちゃんと聞いてましたアピールをする。
「あなたがいらっしゃったから辺境からは誰も来れなかったんですけどね!」
「セイラ」
思い出したようにご機嫌が悪くなるセイラをルシアーノが嗜める。
そして使用人たちの空気もピーンと張り詰め出す。
エリザベスがどうしたものかと考えていると
セイラがフンと言ったように顎を上げて見下ろすようにエリザベスを見る。
「ジェンティルダ城のシェフの料理は気に入った?」
「ええ、もちろんですわ」とエリザベスは答えつつも質問の意図を図りかねていた。
するとルシアーノに向き直り「よかったわねえ、ルカ!気に入らなければハンストされる所だったんじゃないの!」
やはり意図が読めないエリザベスはルシアーノの顔を伺うがルシアーノもピンとは来てないようだった。
そんな2人にイライラとセイラは口を開けた。
「聞いたわよ!孤児院に点数稼ぎに寄付したものの、子供から食事に誘われたらそんな貧しい食事は食べられないって断ったんでしょう?!」
半分あってるが半分間違ってる。
エリザベスは口を開きかけたが畳み掛けるようにセイラが話し出す。
「怒った子供に突き飛ばされて足を捻ったのを、被害者ぶって司教様にしなだれて色目を使ったんでしょう?!そこをルカに見られて怒鳴られたんですってね!そのあとはアレクに泣きついてすがりつきながら城まで帰ってきたことも知ってるんだから!」
思わずエリザベスは絶句してしまった。
なんとも絶妙に嘘と本当が入り混じっているではないか。
「さすがは男好きの悪役令嬢!どこにいてもお盛んね!」信じられないわ!と一気にまくし立てたセイラがエリザベスをなじり出した。
とその時だった。
ココココン!!!
食堂にせわしないノックが鳴り響いた。
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