33 / 50
どう‥ ーアレクー
しおりを挟む
そろそろ日が傾きかけている。もうじきルカが帰って来るか。
ルカの執務室には俺の机もある。
そこで書類仕事をしながらふと思った。
今日は王都から来た公爵令嬢をルカが城内の案内をしている所だ。
本当なら執事のセバスチャンがする予定だったが、アメリア様がルカに命じたらしい。
アメリア様も王族命令が下った時は随分怒っていらっしゃったが元々王都育ちの侯爵令嬢。階級には逆らえないのか実際は当主であるルカにさせることにしたようだった。
ルカは何とか仕事を早く終わらせていた。
驚くべき異次元の美しさを持つ公爵令嬢に俺も最初は驚いたが、異次元すぎて逆に冷静になった。
あの方が婚約者だと言われて嫌な気分になる男性はいないだろうな。
ただ、こんな辺境の地にまで届くほどの噂のあるご令嬢であることは間違い無いのだから、くれぐれもあっさり信用だけはしてくれるなと釘を刺した。
ルカは社交的な分、無防備なところがあるんだ。
とそんなことを考えていると、ドアが開いた。
「ああ、ルカ。おかえり。どう‥」と途中で言葉を切ってしまった。
ルカはムスーっとした顔でズカズカと部屋に入ってくるとドカッと自分の机の前に座るなり手を組んでおでこを乗せた。
うつむいてる形になる。
「おい?どうしたんだ?なにがあった?」
まさか悪役令嬢に劇のような態度を取られたのか?
まあ、断罪劇なんて見た事ないからどんな態度かわからないけど。
質問にも答えず黙り込んでしまったので、今は話す気がないのかと仕事を始めようと思った時だった。
「いつもの令嬢たちと反応が全然違うんだ‥‥」
ポツリとルカが言った。
思わず聞き返しそうになるくらいの声だった。
めずらしい事もあるもんだ。ルカは基本声が大きいのだが。
「どういう意味だ?」
それだけじゃあ意味がわからない。
俺はアメリア様に報告しなきゃいけないんだ。
「だから、よくあるだろ。学園の図書館で令嬢の届かない本を取ってやったりさ。」
俺とルカは辺境の学園に18歳まで通っていた。
俺はあまりなかったが、ルカはよく気がつく。天然の人たらしってやつだ。
本を取ってもらったご令嬢は例外なく顔を赤らめてうつむいていた。
ってことは「さっさと取れ、とでも言われたのか?」と冗談めかしていったのだが、
ルカは少し顔をあげクスリともせず
「いや、そんな事は言わなかった。ただ俺が軽々取ったのを見て楽しそうに笑っていた。」といった。
何も問題ないじゃないか。
ルカはまたうつむくと
「さっきまでは客室にいたんだ。泊まった客はいつも夕方の景色を絶賛するから、リズ嬢にも見せてやろうと思って。」
随分サービスしたんだな。あんなに交流する気は無いと言っていたのに。
まあいい。
黙って話の続きを聞く。
「景色を指さして色々聞くから俺もリズ嬢の目線に腰を落として景色を見たんだ。ご令嬢に顔を近付けて話す事もよくあるじゃないか。」
俺はなかったが、ルカは気にしなかった。ただそんなことをされたご令嬢は例外なく顔を赤らめて‥いや、待て。
ルカはかなりの美丈夫で、王も一目置く北の辺境を治める辺境伯である。
当たり前のようにモテているが、それが普通と思っている節がある。
「普通令嬢はそういう時、顔を赤くして目を逸らして俯くものだと思っていたんだ。」
やっぱり。
「リズ嬢は全くそんな事なかった。それどころか思わず目を逸らせたのは俺の方だ。どうなってるんだ。これじゃいつもと逆じゃないか‥!」
面白い事を言い出した。
へえ。
小さい頃から老若男女態度変わらないし、高級娼婦の手練手管もしれっといなすし、お前はそのへんの感覚おかしいんだと思っていたよ。
「何だ‥お前がニヤニヤするなんて珍しいじゃないか。」
いつのまにか顔を上げていたルカが不思議そうにこちらを見ていた。
ルカの執務室には俺の机もある。
そこで書類仕事をしながらふと思った。
今日は王都から来た公爵令嬢をルカが城内の案内をしている所だ。
本当なら執事のセバスチャンがする予定だったが、アメリア様がルカに命じたらしい。
アメリア様も王族命令が下った時は随分怒っていらっしゃったが元々王都育ちの侯爵令嬢。階級には逆らえないのか実際は当主であるルカにさせることにしたようだった。
ルカは何とか仕事を早く終わらせていた。
驚くべき異次元の美しさを持つ公爵令嬢に俺も最初は驚いたが、異次元すぎて逆に冷静になった。
あの方が婚約者だと言われて嫌な気分になる男性はいないだろうな。
ただ、こんな辺境の地にまで届くほどの噂のあるご令嬢であることは間違い無いのだから、くれぐれもあっさり信用だけはしてくれるなと釘を刺した。
ルカは社交的な分、無防備なところがあるんだ。
とそんなことを考えていると、ドアが開いた。
「ああ、ルカ。おかえり。どう‥」と途中で言葉を切ってしまった。
ルカはムスーっとした顔でズカズカと部屋に入ってくるとドカッと自分の机の前に座るなり手を組んでおでこを乗せた。
うつむいてる形になる。
「おい?どうしたんだ?なにがあった?」
まさか悪役令嬢に劇のような態度を取られたのか?
まあ、断罪劇なんて見た事ないからどんな態度かわからないけど。
質問にも答えず黙り込んでしまったので、今は話す気がないのかと仕事を始めようと思った時だった。
「いつもの令嬢たちと反応が全然違うんだ‥‥」
ポツリとルカが言った。
思わず聞き返しそうになるくらいの声だった。
めずらしい事もあるもんだ。ルカは基本声が大きいのだが。
「どういう意味だ?」
それだけじゃあ意味がわからない。
俺はアメリア様に報告しなきゃいけないんだ。
「だから、よくあるだろ。学園の図書館で令嬢の届かない本を取ってやったりさ。」
俺とルカは辺境の学園に18歳まで通っていた。
俺はあまりなかったが、ルカはよく気がつく。天然の人たらしってやつだ。
本を取ってもらったご令嬢は例外なく顔を赤らめてうつむいていた。
ってことは「さっさと取れ、とでも言われたのか?」と冗談めかしていったのだが、
ルカは少し顔をあげクスリともせず
「いや、そんな事は言わなかった。ただ俺が軽々取ったのを見て楽しそうに笑っていた。」といった。
何も問題ないじゃないか。
ルカはまたうつむくと
「さっきまでは客室にいたんだ。泊まった客はいつも夕方の景色を絶賛するから、リズ嬢にも見せてやろうと思って。」
随分サービスしたんだな。あんなに交流する気は無いと言っていたのに。
まあいい。
黙って話の続きを聞く。
「景色を指さして色々聞くから俺もリズ嬢の目線に腰を落として景色を見たんだ。ご令嬢に顔を近付けて話す事もよくあるじゃないか。」
俺はなかったが、ルカは気にしなかった。ただそんなことをされたご令嬢は例外なく顔を赤らめて‥いや、待て。
ルカはかなりの美丈夫で、王も一目置く北の辺境を治める辺境伯である。
当たり前のようにモテているが、それが普通と思っている節がある。
「普通令嬢はそういう時、顔を赤くして目を逸らして俯くものだと思っていたんだ。」
やっぱり。
「リズ嬢は全くそんな事なかった。それどころか思わず目を逸らせたのは俺の方だ。どうなってるんだ。これじゃいつもと逆じゃないか‥!」
面白い事を言い出した。
へえ。
小さい頃から老若男女態度変わらないし、高級娼婦の手練手管もしれっといなすし、お前はそのへんの感覚おかしいんだと思っていたよ。
「何だ‥お前がニヤニヤするなんて珍しいじゃないか。」
いつのまにか顔を上げていたルカが不思議そうにこちらを見ていた。
260
あなたにおすすめの小説
【完結】君を迎えに行く
とっくり
恋愛
顔だけは完璧、中身はちょっぴり残念な侯爵子息カインと、
ふんわり掴みどころのない伯爵令嬢サナ。
幼い頃に婚約したふたりは、静かに関係を深めていくはずだった。
けれど、すれ違いと策略により、婚約は解消されてしまう。
その別れが、恋に鈍いカインを少しずつ変えていく。
やがて彼は気づく。
あの笑顔の奥に、サナが隠していた“本当の想い”に――。
これは、不器用なふたりが、
遠回りの先で見つけた“本当の気持ち”を迎えに行く物語
奪われる人生とはお別れします 婚約破棄の後は幸せな日々が待っていました
水空 葵
恋愛
婚約者だった王太子殿下は、最近聖女様にかかりっきりで私には見向きもしない。
それなのに妃教育と称して仕事を押し付けてくる。
しまいには建国パーティーの時に婚約解消を突き付けられてしまった。
王太子殿下、それから私の両親。今まで尽くしてきたのに、裏切るなんて許せません。
でも、これ以上奪われるのは嫌なので、さっさとお別れしましょう。
◇2024/2/5 HOTランキング1位に掲載されました。
◇第17回 恋愛小説大賞で6位&奨励賞を頂きました。
◇レジーナブックスより書籍発売中です!
本当にありがとうございます!
【完結】婚約破棄された令嬢の毒はいかがでしょうか
まさかの
恋愛
皇太子の未来の王妃だったカナリアは突如として、父親の罪によって婚約破棄をされてしまった。
己の命が助かる方法は、友好国の悪評のある第二王子と婚約すること。
カナリアはその提案をのんだが、最初の夜会で毒を盛られてしまった。
誰も味方がいない状況で心がすり減っていくが、婚約者のシリウスだけは他の者たちとは違った。
ある時、シリウスの悪評の原因に気付いたカナリアの手でシリウスは穏やかな性格を取り戻したのだった。
シリウスはカナリアへ愛を囁き、カナリアもまた少しずつ彼の愛を受け入れていく。
そんな時に、義姉のヒルダがカナリアへ多くの嫌がらせを行い、女の戦いが始まる。
嫁いできただけの女と甘く見ている者たちに分からせよう。
カナリア・ノートメアシュトラーセがどんな女かを──。
小説家になろう、エブリスタ、アルファポリス、カクヨムで投稿しています。
【完結】愛してるなんて言うから
空原海
恋愛
「メアリー、俺はこの婚約を破棄したい」
婚約が決まって、三年が経とうかという頃に切り出された婚約破棄。
婚約の理由は、アラン様のお父様とわたしのお母様が、昔恋人同士だったから。
――なんだそれ。ふざけてんのか。
わたし達は婚約解消を前提とした婚約を、互いに了承し合った。
第1部が恋物語。
第2部は裏事情の暴露大会。親世代の愛憎確執バトル、スタートッ!
※ 一話のみ挿絵があります。サブタイトルに(※挿絵あり)と表記しております。
苦手な方、ごめんなさい。挿絵の箇所は、するーっと流してくださると幸いです。
婚約破棄されました。
まるねこ
恋愛
私、ルナ・ブラウン。歳は本日14歳となったところですわ。家族は父ラスク・ブラウン公爵と母オリヴィエ、そして3つ上の兄、アーロの4人家族。
本日、私の14歳の誕生日のお祝いと、婚約者のお披露目会を兼ねたパーティーの場でそれは起こりました。
ド定番的な婚約破棄からの恋愛物です。
習作なので短めの話となります。
恋愛大賞に応募してみました。内容は変わっていませんが、少し文を整えています。
ふんわり設定で気軽に読んでいただければ幸いです。
Copyright©︎2020-まるねこ
婚約破棄されたので、聖女になりました。けど、こんな国の為には働けません。自分の王国を建設します。
ぽっちゃりおっさん
恋愛
公爵であるアルフォンス家一人息子ボクリアと婚約していた貴族の娘サラ。
しかし公爵から一方的に婚約破棄を告げられる。
屈辱の日々を送っていたサラは、15歳の洗礼を受ける日に【聖女】としての啓示を受けた。
【聖女】としてのスタートを切るが、幸運を祈る相手が、あの憎っくきアルフォンス家であった。
差別主義者のアルフォンス家の為には、祈る気にはなれず、サラは国を飛び出してしまう。
そこでサラが取った決断は?
【完結】前代未聞の婚約破棄~なぜあなたが言うの?~【長編】
暖夢 由
恋愛
「サリー・ナシェルカ伯爵令嬢、あなたの婚約は破棄いたします!」
高らかに宣言された婚約破棄の言葉。
ドルマン侯爵主催のガーデンパーティーの庭にその声は響き渡った。
でもその婚約破棄、どうしてあなたが言うのですか?
*********
以前投稿した小説を長編版にリメイクして投稿しております。
内容も少し変わっておりますので、お楽し頂ければ嬉しいです。
行動あるのみです!
棗
恋愛
※一部タイトル修正しました。
シェリ・オーンジュ公爵令嬢は、長年の婚約者レーヴが想いを寄せる名高い【聖女】と結ばれる為に身を引く決意をする。
自身の我儘のせいで好きでもない相手と婚約させられていたレーヴの為と思った行動。
これが実は勘違いだと、シェリは知らない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる