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旅立ち編
第一話 異世界転生
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ドカーーン!
建物や物を破壊しながら暴走する馬が街中を走り回っている。街の住人がそれを止めようと必死になるが、馬は止まらず縦横無尽に駆け回る。
その背後で、暴れ馬の手綱が腕に引っかかり引きずられる青年がいた。
「うおおお死ぬぅぅぅぅ!せっかく異世界来たのに馬に引きずられて死ぬぅぅぅぅ!」
何も出来ず、ただ道中の木箱を破壊しながら引きずられるこの男こそ、この国の英雄となる勇者であった…
閉め切った部屋で、パソコンに繋いだコントローラーの操作音だけが響いているこの空間で一人、真剣な表情でパソコンの画面に映っているゲームをプレイしている男がいた。
この男の周りには少年誌の漫画や携帯用のゲーム機が無造作に置かれており、普段から部屋を出るような清掃をしてない、いわば引きこもりのオタクだった。
「はぁ…道のり長ぇなこのダンジョン、エンカするモンスターもめんどくさいのばっかだし、そろそろボスの顔拝みてぇよ。」
俺は現れた魔物を倒した後、気力が抜けたかのように椅子にもたれかかった。始めてからどれくらい経ったっけ?と思い携帯を開く。
「17時…昼からぶっ通しでやったから腹減ったな…なんか出前でも取るか。」
そう言うと出前アプリからピザとコーラのセットを頼んだ、注文した飯が来るまで俺はゲームを再開した。
俺は今流行りのゲーム【ファンタジークライシス】というソフトをプレイしている。
その美麗なグラフィックのオープンワールドというその世界にのめり込むような背景の反面、戦うと技しか操作が出来ない昔ながらのRPGゲームであるというちょっと珍しいゲームだ。
対戦型が主流のFPSや自分のプレイスキルが試されるフロムゲーなどがプレイされている今の時代、コマンド選択でバトルが進むという優しい難易度でそれらが出来ない人でもプレイ出来るよう開発されたのがこのゲームだそうだ。
だがこのゲーム…売れているのは確かだが、ネット民からは低評価の嵐が続いている。
ストーリーは単純、ルカラン王国から旅に出た勇者パーティーが世界征服を企むグラン帝国を倒しに行くという構図。
話の内容やグラフィックは申し分ない、普通にプレイしていれば良ゲーだろう。
ではなぜ低評価が続くのか?
原因は倒すべき帝国のキャラ達のデザイン、その容姿が可愛すぎるからだ。
帝国のキャラはほとんどが悪魔族、ドレスを身に纏った者、小柄で分からせたい性格の者、明らかにあっち系の妖艶な者、もちろん男もいるがそんなの眼中にもならないだろう。
そして何よりこのゲームには、道中の仲間や敵がパーティーに参戦してくれるという交代制がない仕様になっている。
よって帝国のキャラ達は必ず最後は勇者に倒されてしまう。折角推しキャラが登場しても、結局倒されてその後の出番もない。
なぜパーティー入れ替えを導入しなかったのか…なぜ敵キャラをこれほどまでに作り込んでしまったのか…
ネット民達も、どうしてと悲観する者がいれば、改造して強制的にパーティーの仲間にする者まで現れた。
俺も同じ気持ちだった、推しを殺さないでくれと、制作会社に長文を送りつけそうになるほどだ。
そして俺はこの日、自分の人生を狂わす推しキャラに出会ってしまう事になるとは、この時の俺は予想していなかった…。
「おっ…雰囲気が違うな、ようやくボス戦か?」
俺は物語の最終局面であるラストダンジョン、グラン帝国城を探索していた。そして今、ボス戦前によくある一部屋に大量に置かれているアイテムやセーブポイントがある場所にたどり着いた。
プレイして数時間、ようやくラスボス戦だと感じた俺は、姿勢を直し、これから始まる戦いにワクワクした。
その重い扉を開いた先にあったのは、円弧を描く黒い壁が高くせり上がるドーム状の空間、床にはレッドカーペットが奥の椅子まで伸びている。
その椅子には邪悪な笑みをした悪魔が居座っていた。
『ようこそ グラン帝国城へ』
金色の髪がなびき頭の横から生える黒い角に絡む、青と黒を基調としたドレス風の戦闘服を身に纏い、背中に悪魔の翼を生やした女性が椅子から立ち上がりこちらに歩み寄ってくる。
彼女はヘラグランデ、このグラン帝国の首領、このゲームのラスボスである。
『ずっと待ってたよ、幹部の死に顔を拝みながらここに来るのをね』
『さぁ、おしゃべりはこの辺にしてさっさと始めましょうか!』
高々に戦いの宣言をした彼女は、徐々にその姿が変わっていく。金色の綺麗な髪は白銀のような白髪に変わり、獲物を仕留めるかのような紅い眼光が不気味さを増幅させた。
『来い勇者!世界を賭けた真剣勝負だ!』
鋭い覇気と共に彼女はこちらに向かって来た。それと同時に戦闘画面が表示され、パソコンからは最終戦に相応しいBGMが流れ出した。
「よし!とりあえず攻撃力と守備力を上げとくか、絶対初見でクリアする!」
ラスボスのイベントで彼の期待は最高潮に達した、鍛え上げてきたパーティーと強敵に挑むゲーマーにとって今までの経験を示す総仕上げは胸を膨らませるだろう。
『これが帝国の力だ!耐えてみろ!』
順調に戦っていた矢先、ヘラが突然喋りだし戦闘画面が変わった。ヘラの手から放出された紫色のオーラを纏った魔弾が、一気に大きくなり勇者達目がけて迫ってきた。
『崩壊する万象!』
とてつもない爆破によりパーティー全員のHPが危険レベルにまで達した。
「うおおい!嘘だろ!?防御上げてるのにこんなにくらうのかよ!」
突然の確定ダメージを受けるムービーに驚く俺だが、それと同時に感情が熱くなった。絶対負けねぇと呟き、コントローラーを強く握る。
一進一退の攻防が続く激しい戦いの末、勇者の放った一撃がヘラの体力を0にした。
戦闘に勝利したのかイベントの画面に切り替わり、床に伏せているヘラが映し出される。
うぉぉぉぉ!とラスボスクリアの歓喜の声をあげ、右腕を掲げた。
『はぁ…はぁ…この私が負けるだと…悪魔族の頂点に属するこの私が…ただの人間ごときに!』
勇者達に敗北し満身創痍の彼女はその悔しさを言葉にした。苦しい表情はうつむいた事で見えなくなっていったが、それが嘘だったかのように徐々に笑い出し、最後には天を仰ぐよう顔を上げ不敵に笑った。
『…ふふ。あはははは!いいだろう、今は勝利のひとときに酔いしれるといいわ!お前達は私に勝った、だが帝国はまだ負けていない!』
『なんだと!?』
一気に緊張感が再び押し寄せる。勇者達は即座に警戒した。
『一体いつから、この帝国の最高戦力がこの私だと思っていたのかしら?』
ヘラはそう言うと、魔法陣を展開しもう一人の悪魔を召喚した。
『見せてあげるわ!すべてを壊す究極の兵器を!目覚めなさい!破壊兵器リリス!』
空間が歪み、割れ、その異空間から現れた悪魔が全てを物語っていた…ヘラグランデと同じ金色の髪色に無垢でありながら邪悪さを表に出した少女。その背中には悪魔を象徴とした黒い翼が羽ばたいており、黒い生地に血のような赤い装飾を入れた禍々しいドレスと合わせると、それは人類の憎悪を固めたような恐ろしい化け物へと映る。これこそが真のラスボスだと誰もがわかるほどに。
だが、そんな緊張感をものともしない者が1人いた…
「なにィィィィ!なんだこの可愛い生き物は!金髪、悪魔、ロリ、俺の大好きな奴が全部のってやがる!」
そう、ゲームをプレイしている彼なのである。
そこからの彼は狂気的だった、リリスに会うために何度もリトライをして再戦したり、攻撃のモーションをスクショ、技の発動や被弾した時に発する声を録音するなど、日常がリリスへの固執で埋め尽くされていった。
もちろん彼は推しキャラである彼女を殺したりなどしていない、よってラスボス戦の先にあるエンディングを見られていないのだ。まさしく変態である。
そんな日が何日か続き、ファンタジークライシスはバージョンアップデートのため動画サイトで公式生放送が公開された。
「皆様、ファンタジークライシスを楽しんでいただけてるでしょうか?なんと次のアップデートで新たなストーリーが追加されます!そのストーリーの一部をPVにしました、ご覧ください!」
カチッ…
俺はPVが始まる瞬間生放送を閉じた。
「やめろ!まだエンディングまで見れてない奴がいるんだぞ!」
もどかしく苦しい表情で俺は椅子にもたれかかった。
俺もゲーマーの魂は残っている、エンディングを見てない状態で新たなストーリーというネタバレは引き離したいくらいの存在だった。
だが俺の内には好奇心という欲が積もり始めていた。ラスボスを倒してエンディングを見れば、その新たなストーリーの情報という興奮を浴びれるということに…
それにとどめを刺すようにSNSのトレンドもそれ一色に染まっていた。
ヘラグランデ、Bルート、神作確定
「ああくそっ!こんなの見たら気になるだろうがーー!」
俺は好奇心という波が抑えきれなくなり、せき止めていた我慢の壁が崩壊した。
早速ファンタジークライシスを起動し、ボス戦へと挑んだ。俺にとって前哨戦であるヘラは余裕だった。行動パターン、対処すべき技は何度も戦っていれば身に染みてくる。「あぁぁぁ…」と無気力な声を伸ばしながらサクサクとヘラを攻略した。
問題なのはここからだ、今の俺はラスボスを推す活気はなく、妙な緊張感を醸し出す雰囲気に包まれていた。
「だっ、大丈夫だ…こんな可愛いキャラをこんな事で死なせるほど鬼じゃないだろ…」
何度も見た光景、何度も見た攻撃パターン、もはやこのモンスターを知り尽くしたと言ってもいいほど楽な戦いだった。
そしてHPが無くなったからなのか、戦闘ムービーが流れ始め…その中で勇者は、リリスを叩き斬った…
ズバッ!キィィィィン!
『うああああああ!』
リリスの体が光り始め、痛々しい断末魔と共に彼女の体はガラスの欠片となって爆散した。
その後、勇者達は皆から讃えられ、エンドロールと一緒にナレーションが流れ始めた。
『帝国は滅び、世界に平和が訪れた』
『もう二度とヘラは復活しないだろう、それは人間の天敵である悪魔族の終焉を意味する』
『この日、人間が悪魔に勝った記念日として未来永劫勇者の名が語り継がれるだろう』
ーーTHE ENDーー
明るい世界、全てが終わり幸せを掴んだBGMが流れ、勇者と僧侶の二人が背を向けて立つ背景をバックにこのゲームは幕を閉じた。
「なんじゃこりゃぁぁぁ!なんだこのエンディング!なんも解決してねぇじゃねえか!リリスはどうなった?死んだのマジで死んだの!?」
驚愕のあまり、俺は外では出した事がないような奇声を上げた。やっぱりやるべきじゃなかった、自分の好奇心で推しキャラを殺してしまった。そんな後悔が俺の頭の中で流れ始めた。
ガタタッ!
暴れて頭に血が上っていたのか、俺は不安定な状態で座っていたのを忘れていた。
目の前がぐるんと反転し、椅子と共に俺の体は急速に後ろへ倒れていく。
ドカッ!
俺の後ろにはちょうど膝上くらいの低いタンスがあった、俺の頭はそのタンスの横角に強く打ち付けられ、脱力した状態で床に倒れ込んだ。
「あっ…やべ…これまずいかも…」
俺の意識はどんどん薄れていく…普通の人ならこの時、意地でも生きようともがいたり、助けを求めて大声を出すだろう。だが俺はそんな事は後回しに自分の人生を後悔した。
「死ぬのか?ああ…くそっ、ラスボスの生死を暴れて叫んで、それで頭打って死んだ?情けなさすぎだろ…あぁ…どうせなら…死ぬくらいなら…ラスボス…抱きしめてみてぇ…」
目の前が真っ暗になり、何も感じなくなった、彼の人生はここでーー
暖かい風が顔に当たり、陽光がまぶたの中の暗闇を照らした。耳元からは大勢の誰かの声が反響している。
「なんだ…。」
違和感を感じた俺は重たい体を起こし、ゆっくりと目を開けた。
「ここ…外。っていうかどこだよここ!?」
その光景に驚愕した。俺が住んでいた街ではなく、それどころかビル群も、人が使う自動車もない。
あるのはよく漫画やゲームに出てきそうな石造りの建物、中世の人が着てそうな服装を着た人や全身に鎧を装備した人など色んなものが混合していた。
「なんだよこれ…まるでゲームの世界みたいじゃねえか?ドッキリか何か?俺が寝てる間に運んできたとか…」
目覚めた時には噴水のそばにある椅子で寝ていた。その前は…
「そうだ…確か俺、タンスに頭ぶつけて…じゃあここって天国ってことか?」
混乱した頭を整理しようと顔を上げたその時、目の前にそびえる城が目に入った。
「あれ?なんだあの城、見たことがある…いや、あるどころかあれって!」
まるでゲームの世界という言葉を思いだし、今いるこの街の風景をあるゲームに重ねた。美麗なグラフィックだからその背景が鮮明に蘇ってくる、ここはまさしく…
「ゲームに出ていたルカラン王国!?見間違えるはずがない、何度もここを行ったり来たりしたから覚えてる。この城も、街中も…」
目の前に広がるゲームと同じ背景の世界、一人一人が生きてるかのように街中を歩く住人、ドッキリでもこんなゲームと同じ風景は全世界探しても見つけることは出来ないだろう。
俺はこの世界を見て、ある一つの可能性が頭をよぎった。
「これってもしかして俗に言う異世界転生ってやつか?よりにもよってこの世界の住人として過ごせってか?」
驚きのあまり少し大きな声で騒いだ事で、ようやく自分の体の違和感を感じとった。
「って…何だこれ?」
彼は気づく、今彼がどんな姿なのか。いつもの普段着ではなく、どこか旅支度したような装備を整えた服装、聞き慣れている自分の声とはまた違う男性の声。
まさかと思い、近くの噴水に顔を映してみる…
白髪に青色の瞳、現実世界なら一言かけられるだろう整った顔立ち。明らかに自分の顔とは別人、それどころか…
「この顔…クロムか?まさか俺、主人公の勇者になったっていうのか!?」
あろう事かこのゲームの主人公になっていた。水面の反射を使って色んな角度から自分を見たが、コスプレの域を超えたリアルな姿に目を見開いた。
「おっ、勇者様じゃねえか、こんな所で油売ってて大丈夫か?」
驚いていた彼の側に住人の一人が歩み寄ってきた。
「えっ、俺のこと?」
「何寝ぼけてんだよ、お前以外誰がいるんだよ勇者は。それよりそろそろだろ出発式、早く城に向かった方がいいんじゃないのか?」
「出発式…あっ!」
その時、ゲーマーである俺の脳がフル回転した
勇者に出発式…これは間違いなくゲーム序盤のイベント。
もし、この世界もゲームと同じストーリーなのなら、この先を知ってる原作知識が活かせる。原作ではヘラグランデからリリスと連続で戦闘になるが、俺の選択ならリリスとの戦闘を避けて彼女が死ぬバットエンドを回避出来る!
いやそれだけじゃない、もし彼女と打ち解けることができたら…
俺の脳内は推しのリリスの事でいっぱいだった。そして原作でも言った事がない言葉を妄想で作り上げていた。
「クロム君…好きだよ。ずっと一緒にいようね」
リリスの妄想の告白に俺は自分の闘志を燃やした。
「うおおおお!燃えてきたぁぁぁぁ!俺の力で絶対に推しキャラを救ってみせる!」
「なんかやばいなこいつ…近寄らんとこ」
急な大声で恐怖を感じたのか、住人はそっと彼の傍から離れた。
漫画やアニメなどで出てくる異世界転生を果たした彼は、最初に行った事はステータスの確認だった。
転移者お決まりのレベルカンストやチートスキルが一体何なのかワクワクで自分のステータスを拝見したかったからだ。
ブゥゥゥン…
驚いた事に自分のステータスを見たいと思い手を前に伸ばすと、目の前に真っ黒なパネルが広がり自分のステータスが数値化されて文字に表れた。
「すげえ、やっぱりゲームの世界だからか?自分の体力まで数値化されてるのか」
だが喜んでいるのも束の間、俺は自分の予想を裏切るように現実に叩き潰される。
「って…マジかよ…」
彼がどんよりするのも無理ない、彼のステータスは初期レベルなのだ。
チートスキルもなく、せいぜい与えられたのは固有スキルの二つ
(剣術スキルLV.1 スラッシュ)、(魔法スキルLV.1 ファイア・ブリザド・サンダー)の4種だけだった。
「うすうすわかっていたがやっぱり(はじめから)になっちゃうか…無双して最強の勇者になるって設定好きだったんだけどなぁ…」
悲壮感に浸る中、俺は一つのスキルに疑問を抱いた。
「そういえば魔法スキルって書いてあるが、本当に魔法が使えるのか?どっかにあるだろ、魔法の撃ち方のチュートリアルとか…」
ステータス画面を探したが、魔法の使い方など書いてあるはずもなく、諦めて画面を閉じた。
「うーむ…ゲームだったら手を挙げたりとか、痺れろとか燃えろとか言ってポロっと出してたよな…ええいままよ!手に力を込めればポロッと出るだろ。」
そんな淡い期待を抱きながら俺は手を伸ばして叫んだ。
「雷光《サンダー》!」
俺の声と同時に前方に赤い魔法陣が展開される。
「えっ!?えっ!?マジで出るのかよ!」
俺は驚きで一瞬硬直してしまった。とっさに我に返って今すぐ腕を引っ込めようとしたが時すでに遅く、電気を帯びた球体が前方に撃ち出された。
ピシャーン!
ブルルヒヒーン!
俺が放った電撃魔法は最悪な事に前方の馬に命中した。その衝撃で馬は暴れ出し、その馬に乗っていた人は抑えようと必死に馬の体にしがみついた。
「うわぁぁ!落ち着け!急に暴れ出すな!」
だが、乗っていた人の懸命も虚しく道端に投げ出されてしまった。
「まずい!逃げろ皆!轢かれるぞ!」
倒れながら皆に忠告した後、馬は猛スピードでこちらに向かって走って来た。
「えっ?ちょ!?なんでこっちに向かって…」
ドカーーン!
気づいた時にはもう目の前に馬が来ており、馬の顔が激しく俺の体に激突した。それだけではなく、馬に装備している手綱が腕に引っかかり馬と同じ速さで地面を引きずられてしまった。
ドガドガドガバギバギバギ!
大通りや裏通りを縦横無尽に駆け回り、その度に木箱や壁にぶつかり俺の体力がみるみる減っていく…
「うおおお死ぬぅぅぅぅ!折角異世界来たのに馬に引きずられて死ぬぅぅぅぅ!」
そうして俺は城の衛兵に抑えられるまで街中を引きずられてしまった…
一方城内部では、二人の冒険者が勇者の訪れを待っていた。
「まったく、クロムは一体何やってるんだ?出発式はもう始まるっていうのにお腹でも下したか?」
彼女は魔法使いのアルノア、深く被ったフード付きの赤いローブに薄っすらと緋色の瞳と赤い髪が見え隠れしている。男勝りな口調が多く、本当に女性なのかとよく言われる。
「ちょっと心配ですね、聞いた話だと街に散歩しに行ったと聞きましたが…」
彼女は神官のレズリィ、ルカラン王国修道院の礼服である白と青を用いた修道服を身にまとい、帽子からは手入れがされている滑らかな水色の髪が伸びている。
本来ならここで3人が合流し、出発式を通じて王国を旅立つはずだったのだが、クロムの遅刻により二人は城の広間で待ち続けていた。
「この際だから言うけど、勇者だからといって何でも許せる訳じゃないぞ。堕落した奴だったら私達にも負担が増す。」
クロムの遅刻にアルノアは自分達の心配を口にした。
「何でも許せる訳じゃないのなら、何故あなたはここに来てまでそんな服を着てるんですか?国王に会うのにそのような怪しい服装は失礼ですよ。」
反対にレズリィは、アルノアの服装を指摘した。彼女の姿は闇市の商人と同じく人肌を見せない身なりをしていたからだ。
「前にも言っただろ、これは…」
タッタッタ…
アルノアが反論しようとした時、奥から何者かが駆け寄ってくる音が響いてきた。その姿は二人には見覚えがあった、彼女達が待たされる原因でもあったクロムが二人と合流した。
「悪い悪い、遅くなった!」
クロムは申し訳なさそうな振る舞いで笑って会釈した。その笑顔の下は至るところ擦り傷だらけだった。
「いや~街中引きずりまわされて大変だったよ。さぁ、時間も時間だし国王に会いに行くか!」
彼は何事も無かったかのように王がいる玉座の間へ歩き出す。その反面二人は同じ考えが頭をよぎった。
「「ほっ、本当に心配になってきた…」」
彼らは重たいドアを開き、王が座する玉座の間に入る。そこには何人もの兵士と中央にルカラン王国を統治する国王ロゼッタ女王がいた。
王の威厳にふさわしい礼装に身を包んだ姿に、宝石の様に輝く翠玉の眼の女性。見た目は三十代だろうか、若い立ち姿だが色々な人生を経験してきたような風格がある。
「兵士から状況は聞いた、暴れ馬に街中を引きずられそんな格好で式に訪れるとは…仮にもルカラン王国の勇者として選ばれたのだから、もう少し自覚を持って欲しいのだけれど。」
「はっ…はい…すみません…」
上司に怒られたような感覚で俺は肩を縮めた。
「いや無茶言うなよ!こちとら何も知らないままここに来て危うく死にかけたんだけど!」
彼は苦し紛れの言い訳を誰にも聞こえない声量でボソっと呟いた。
その後一通り状況説明と説教を終え、ロゼッタ女王は玉座に座り直し旅の本題に切り出した。
「話はずれたがここから本題に入ろう。近頃、グラン帝国の脅威が拡大している事はお気づきかと思う。我々ルカラン王国は20年前の戦争によりグラン帝国のボス、ヘラグランデを撃退することに成功した。これにより帝国による侵略はなくなり、この世界の平和が保たれてきた。…だが我々と協力関係にあるルーナ城が、帝国の先鋒隊に襲撃されたと情報が入った。おそらくこれはまだ序章に過ぎない、本隊が攻めてくるとなればこちらもそれ相応の防御策をとらなければならない。これからお前達はルーナ城に行き、帝国の企みを阻止してもらいたい。頼んだぞ。」
ロゼッタ女王は旅の目的を話し、アルノアとレズリィの二人はそれを了承した。
「分かりました、行って参ります。」
「ご心配なく、良い情報を期待していてください。」
だが一人、クロムだけはこの場の状況に疑問を感じた。この出発式というイベントの違和感を
「変だな…あいつがまだ来ていない…」
実はこの出発式のイベントにはあるハプニングが起こるはずだった…
ーーゲームシナリオーー
「式の途中で申し訳ありませんロゼッタ女王!この者が城に保管していた宝を盗もうと企んでいました!」
式の最中、憲兵と捕えられた盗賊が慌ただしく入って来た。
黒髪の間から伸びる赤色のあほ毛、二十代前半くらいの男性だろう、衛兵に捕まえられても暴れるほどの体力がある。
「くそっ!離せ!」
ドカッ!
暴れる盗賊を抑えるため衛兵は力づくで床に叩き伏せた。
「出発式という輝かしい日に水を差すなど、よほど楽しみな非日常を考えていたようですね。牢獄に入れておきなさい、式の後に処罰を下します。」
女王は哀れな目で盗賊を睨み、静かな言葉で追放を言い渡した。
「待ってくれ!俺はまだ死ねないんだ!家族のために金が必要なんだよ、盗みは悪かったから命だけは取らないでくれ…!」
女王は盗賊の悲願を聞く耳も持たず、盗賊をこの場から追い出そうとしたその時クロムが手を掲げた。
「待ってくださいロゼッタ女王、この者の処罰を俺に預けさせてください。」
「何故お前がこの者を?理由はなんだ。」
「この盗賊も俺のパーティーに加わって旅にでます。この城に忍び込める程のスキル、もしかしたら旅に役立つと思いまして。その代わり責任は俺が全部取ります、この者が次に罪を犯したら俺がこの者を始末します、それでいいですか?」
唐突な宣言に盗賊も話を合わせるかのように女王に懇願する。
「頼む!何でもする!パーティーの雑用でもいいから!」
頭を下げる二人を前にロゼッタ女王は険しい顔で考え込んだ後、盗賊を旅に同行させる事を許可した。
「いいでしょう、もしパーティーから逃げたり他の街で悪さをするような事になれば、責任をもって始末しなさい。」
ーーーーーーーー
盗賊アズマ、家族を養う為に盗賊稼業で金を稼いでいたお尋ね者だ。城に厳重に保管されている宝を盗めるほどの実力を買い、勇者パーティーの仲間として一緒に旅をする仲間であったが…
「おかしい…もう式が終わるのにアズマを連れた衛兵達がここに来ない。」
バン!
妙な不安感が出てくるクロムの後ろで、入口の扉が勢いよく開かれる音にクロムは振り返った。
やっと来たと思い込んだ彼だが、飛び込んで来たのは一人の衛兵だった。
「大変ですロゼッタ女王!城に保管されていた秘宝、聖剣ドレイクが盗まれました!」
突如として入って来た衛兵の報告により、静かな玉座の間が一瞬で慌ただしくなった。
「なんだと!警備の者はどうした?」
「今回の暴れ馬の暴走を止めるため多数の警備員をそちらに移動した隙を狙われたのかと。」
「なんてこと…まだ犯人は近くにいるはずです!探して必ず聖剣を取り返しなさい!」
女王の号令と共にその場にいた衛兵はすかさず玉座の間から出て行った。
「この城の宝が盗まれるなんて、すぐに私達も…」
「その必要ない。」
女王は動き出そうとしたアルノア達を呼び止めた。
「こんな事でお前達を足止めさせる訳にはいかない、こっちの事態は私達に任せてあなた達は急ぎルーナ城へ向かってくれ。」
そこからの対応は早かった、この城から逃がさないよう隔離させるためクロム達はすぐ城から離れ、街の人からの応援もなく王国を出た。
クロムは唖然とした、あまりの対応に一瞬にして王国を出たような感じだった。
「それじゃあ行きましょうか、クロムさん。」
「まったく、とんでもない旅立ちになっちゃったな。おい、いつまでとぼけた顔してんだよ、さっさと行くぞ。」
とぼけた顔をしたクロムの背中を押し、二人は前を歩き始めた。
「えっ…?もしかして俺…」
思考停止した脳が一気に覚醒し、起こしてしまった結果を心の中で叫んだ。
「初っ端パーティーメンバー潰しちゃったぁぁぁぁ!」
パーティーメンバーが欠けた状態から始まる、クロム達の帝国討伐の物語。その第一歩はまさかのマイナスからスタートとなった。
建物や物を破壊しながら暴走する馬が街中を走り回っている。街の住人がそれを止めようと必死になるが、馬は止まらず縦横無尽に駆け回る。
その背後で、暴れ馬の手綱が腕に引っかかり引きずられる青年がいた。
「うおおお死ぬぅぅぅぅ!せっかく異世界来たのに馬に引きずられて死ぬぅぅぅぅ!」
何も出来ず、ただ道中の木箱を破壊しながら引きずられるこの男こそ、この国の英雄となる勇者であった…
閉め切った部屋で、パソコンに繋いだコントローラーの操作音だけが響いているこの空間で一人、真剣な表情でパソコンの画面に映っているゲームをプレイしている男がいた。
この男の周りには少年誌の漫画や携帯用のゲーム機が無造作に置かれており、普段から部屋を出るような清掃をしてない、いわば引きこもりのオタクだった。
「はぁ…道のり長ぇなこのダンジョン、エンカするモンスターもめんどくさいのばっかだし、そろそろボスの顔拝みてぇよ。」
俺は現れた魔物を倒した後、気力が抜けたかのように椅子にもたれかかった。始めてからどれくらい経ったっけ?と思い携帯を開く。
「17時…昼からぶっ通しでやったから腹減ったな…なんか出前でも取るか。」
そう言うと出前アプリからピザとコーラのセットを頼んだ、注文した飯が来るまで俺はゲームを再開した。
俺は今流行りのゲーム【ファンタジークライシス】というソフトをプレイしている。
その美麗なグラフィックのオープンワールドというその世界にのめり込むような背景の反面、戦うと技しか操作が出来ない昔ながらのRPGゲームであるというちょっと珍しいゲームだ。
対戦型が主流のFPSや自分のプレイスキルが試されるフロムゲーなどがプレイされている今の時代、コマンド選択でバトルが進むという優しい難易度でそれらが出来ない人でもプレイ出来るよう開発されたのがこのゲームだそうだ。
だがこのゲーム…売れているのは確かだが、ネット民からは低評価の嵐が続いている。
ストーリーは単純、ルカラン王国から旅に出た勇者パーティーが世界征服を企むグラン帝国を倒しに行くという構図。
話の内容やグラフィックは申し分ない、普通にプレイしていれば良ゲーだろう。
ではなぜ低評価が続くのか?
原因は倒すべき帝国のキャラ達のデザイン、その容姿が可愛すぎるからだ。
帝国のキャラはほとんどが悪魔族、ドレスを身に纏った者、小柄で分からせたい性格の者、明らかにあっち系の妖艶な者、もちろん男もいるがそんなの眼中にもならないだろう。
そして何よりこのゲームには、道中の仲間や敵がパーティーに参戦してくれるという交代制がない仕様になっている。
よって帝国のキャラ達は必ず最後は勇者に倒されてしまう。折角推しキャラが登場しても、結局倒されてその後の出番もない。
なぜパーティー入れ替えを導入しなかったのか…なぜ敵キャラをこれほどまでに作り込んでしまったのか…
ネット民達も、どうしてと悲観する者がいれば、改造して強制的にパーティーの仲間にする者まで現れた。
俺も同じ気持ちだった、推しを殺さないでくれと、制作会社に長文を送りつけそうになるほどだ。
そして俺はこの日、自分の人生を狂わす推しキャラに出会ってしまう事になるとは、この時の俺は予想していなかった…。
「おっ…雰囲気が違うな、ようやくボス戦か?」
俺は物語の最終局面であるラストダンジョン、グラン帝国城を探索していた。そして今、ボス戦前によくある一部屋に大量に置かれているアイテムやセーブポイントがある場所にたどり着いた。
プレイして数時間、ようやくラスボス戦だと感じた俺は、姿勢を直し、これから始まる戦いにワクワクした。
その重い扉を開いた先にあったのは、円弧を描く黒い壁が高くせり上がるドーム状の空間、床にはレッドカーペットが奥の椅子まで伸びている。
その椅子には邪悪な笑みをした悪魔が居座っていた。
『ようこそ グラン帝国城へ』
金色の髪がなびき頭の横から生える黒い角に絡む、青と黒を基調としたドレス風の戦闘服を身に纏い、背中に悪魔の翼を生やした女性が椅子から立ち上がりこちらに歩み寄ってくる。
彼女はヘラグランデ、このグラン帝国の首領、このゲームのラスボスである。
『ずっと待ってたよ、幹部の死に顔を拝みながらここに来るのをね』
『さぁ、おしゃべりはこの辺にしてさっさと始めましょうか!』
高々に戦いの宣言をした彼女は、徐々にその姿が変わっていく。金色の綺麗な髪は白銀のような白髪に変わり、獲物を仕留めるかのような紅い眼光が不気味さを増幅させた。
『来い勇者!世界を賭けた真剣勝負だ!』
鋭い覇気と共に彼女はこちらに向かって来た。それと同時に戦闘画面が表示され、パソコンからは最終戦に相応しいBGMが流れ出した。
「よし!とりあえず攻撃力と守備力を上げとくか、絶対初見でクリアする!」
ラスボスのイベントで彼の期待は最高潮に達した、鍛え上げてきたパーティーと強敵に挑むゲーマーにとって今までの経験を示す総仕上げは胸を膨らませるだろう。
『これが帝国の力だ!耐えてみろ!』
順調に戦っていた矢先、ヘラが突然喋りだし戦闘画面が変わった。ヘラの手から放出された紫色のオーラを纏った魔弾が、一気に大きくなり勇者達目がけて迫ってきた。
『崩壊する万象!』
とてつもない爆破によりパーティー全員のHPが危険レベルにまで達した。
「うおおい!嘘だろ!?防御上げてるのにこんなにくらうのかよ!」
突然の確定ダメージを受けるムービーに驚く俺だが、それと同時に感情が熱くなった。絶対負けねぇと呟き、コントローラーを強く握る。
一進一退の攻防が続く激しい戦いの末、勇者の放った一撃がヘラの体力を0にした。
戦闘に勝利したのかイベントの画面に切り替わり、床に伏せているヘラが映し出される。
うぉぉぉぉ!とラスボスクリアの歓喜の声をあげ、右腕を掲げた。
『はぁ…はぁ…この私が負けるだと…悪魔族の頂点に属するこの私が…ただの人間ごときに!』
勇者達に敗北し満身創痍の彼女はその悔しさを言葉にした。苦しい表情はうつむいた事で見えなくなっていったが、それが嘘だったかのように徐々に笑い出し、最後には天を仰ぐよう顔を上げ不敵に笑った。
『…ふふ。あはははは!いいだろう、今は勝利のひとときに酔いしれるといいわ!お前達は私に勝った、だが帝国はまだ負けていない!』
『なんだと!?』
一気に緊張感が再び押し寄せる。勇者達は即座に警戒した。
『一体いつから、この帝国の最高戦力がこの私だと思っていたのかしら?』
ヘラはそう言うと、魔法陣を展開しもう一人の悪魔を召喚した。
『見せてあげるわ!すべてを壊す究極の兵器を!目覚めなさい!破壊兵器リリス!』
空間が歪み、割れ、その異空間から現れた悪魔が全てを物語っていた…ヘラグランデと同じ金色の髪色に無垢でありながら邪悪さを表に出した少女。その背中には悪魔を象徴とした黒い翼が羽ばたいており、黒い生地に血のような赤い装飾を入れた禍々しいドレスと合わせると、それは人類の憎悪を固めたような恐ろしい化け物へと映る。これこそが真のラスボスだと誰もがわかるほどに。
だが、そんな緊張感をものともしない者が1人いた…
「なにィィィィ!なんだこの可愛い生き物は!金髪、悪魔、ロリ、俺の大好きな奴が全部のってやがる!」
そう、ゲームをプレイしている彼なのである。
そこからの彼は狂気的だった、リリスに会うために何度もリトライをして再戦したり、攻撃のモーションをスクショ、技の発動や被弾した時に発する声を録音するなど、日常がリリスへの固執で埋め尽くされていった。
もちろん彼は推しキャラである彼女を殺したりなどしていない、よってラスボス戦の先にあるエンディングを見られていないのだ。まさしく変態である。
そんな日が何日か続き、ファンタジークライシスはバージョンアップデートのため動画サイトで公式生放送が公開された。
「皆様、ファンタジークライシスを楽しんでいただけてるでしょうか?なんと次のアップデートで新たなストーリーが追加されます!そのストーリーの一部をPVにしました、ご覧ください!」
カチッ…
俺はPVが始まる瞬間生放送を閉じた。
「やめろ!まだエンディングまで見れてない奴がいるんだぞ!」
もどかしく苦しい表情で俺は椅子にもたれかかった。
俺もゲーマーの魂は残っている、エンディングを見てない状態で新たなストーリーというネタバレは引き離したいくらいの存在だった。
だが俺の内には好奇心という欲が積もり始めていた。ラスボスを倒してエンディングを見れば、その新たなストーリーの情報という興奮を浴びれるということに…
それにとどめを刺すようにSNSのトレンドもそれ一色に染まっていた。
ヘラグランデ、Bルート、神作確定
「ああくそっ!こんなの見たら気になるだろうがーー!」
俺は好奇心という波が抑えきれなくなり、せき止めていた我慢の壁が崩壊した。
早速ファンタジークライシスを起動し、ボス戦へと挑んだ。俺にとって前哨戦であるヘラは余裕だった。行動パターン、対処すべき技は何度も戦っていれば身に染みてくる。「あぁぁぁ…」と無気力な声を伸ばしながらサクサクとヘラを攻略した。
問題なのはここからだ、今の俺はラスボスを推す活気はなく、妙な緊張感を醸し出す雰囲気に包まれていた。
「だっ、大丈夫だ…こんな可愛いキャラをこんな事で死なせるほど鬼じゃないだろ…」
何度も見た光景、何度も見た攻撃パターン、もはやこのモンスターを知り尽くしたと言ってもいいほど楽な戦いだった。
そしてHPが無くなったからなのか、戦闘ムービーが流れ始め…その中で勇者は、リリスを叩き斬った…
ズバッ!キィィィィン!
『うああああああ!』
リリスの体が光り始め、痛々しい断末魔と共に彼女の体はガラスの欠片となって爆散した。
その後、勇者達は皆から讃えられ、エンドロールと一緒にナレーションが流れ始めた。
『帝国は滅び、世界に平和が訪れた』
『もう二度とヘラは復活しないだろう、それは人間の天敵である悪魔族の終焉を意味する』
『この日、人間が悪魔に勝った記念日として未来永劫勇者の名が語り継がれるだろう』
ーーTHE ENDーー
明るい世界、全てが終わり幸せを掴んだBGMが流れ、勇者と僧侶の二人が背を向けて立つ背景をバックにこのゲームは幕を閉じた。
「なんじゃこりゃぁぁぁ!なんだこのエンディング!なんも解決してねぇじゃねえか!リリスはどうなった?死んだのマジで死んだの!?」
驚愕のあまり、俺は外では出した事がないような奇声を上げた。やっぱりやるべきじゃなかった、自分の好奇心で推しキャラを殺してしまった。そんな後悔が俺の頭の中で流れ始めた。
ガタタッ!
暴れて頭に血が上っていたのか、俺は不安定な状態で座っていたのを忘れていた。
目の前がぐるんと反転し、椅子と共に俺の体は急速に後ろへ倒れていく。
ドカッ!
俺の後ろにはちょうど膝上くらいの低いタンスがあった、俺の頭はそのタンスの横角に強く打ち付けられ、脱力した状態で床に倒れ込んだ。
「あっ…やべ…これまずいかも…」
俺の意識はどんどん薄れていく…普通の人ならこの時、意地でも生きようともがいたり、助けを求めて大声を出すだろう。だが俺はそんな事は後回しに自分の人生を後悔した。
「死ぬのか?ああ…くそっ、ラスボスの生死を暴れて叫んで、それで頭打って死んだ?情けなさすぎだろ…あぁ…どうせなら…死ぬくらいなら…ラスボス…抱きしめてみてぇ…」
目の前が真っ暗になり、何も感じなくなった、彼の人生はここでーー
暖かい風が顔に当たり、陽光がまぶたの中の暗闇を照らした。耳元からは大勢の誰かの声が反響している。
「なんだ…。」
違和感を感じた俺は重たい体を起こし、ゆっくりと目を開けた。
「ここ…外。っていうかどこだよここ!?」
その光景に驚愕した。俺が住んでいた街ではなく、それどころかビル群も、人が使う自動車もない。
あるのはよく漫画やゲームに出てきそうな石造りの建物、中世の人が着てそうな服装を着た人や全身に鎧を装備した人など色んなものが混合していた。
「なんだよこれ…まるでゲームの世界みたいじゃねえか?ドッキリか何か?俺が寝てる間に運んできたとか…」
目覚めた時には噴水のそばにある椅子で寝ていた。その前は…
「そうだ…確か俺、タンスに頭ぶつけて…じゃあここって天国ってことか?」
混乱した頭を整理しようと顔を上げたその時、目の前にそびえる城が目に入った。
「あれ?なんだあの城、見たことがある…いや、あるどころかあれって!」
まるでゲームの世界という言葉を思いだし、今いるこの街の風景をあるゲームに重ねた。美麗なグラフィックだからその背景が鮮明に蘇ってくる、ここはまさしく…
「ゲームに出ていたルカラン王国!?見間違えるはずがない、何度もここを行ったり来たりしたから覚えてる。この城も、街中も…」
目の前に広がるゲームと同じ背景の世界、一人一人が生きてるかのように街中を歩く住人、ドッキリでもこんなゲームと同じ風景は全世界探しても見つけることは出来ないだろう。
俺はこの世界を見て、ある一つの可能性が頭をよぎった。
「これってもしかして俗に言う異世界転生ってやつか?よりにもよってこの世界の住人として過ごせってか?」
驚きのあまり少し大きな声で騒いだ事で、ようやく自分の体の違和感を感じとった。
「って…何だこれ?」
彼は気づく、今彼がどんな姿なのか。いつもの普段着ではなく、どこか旅支度したような装備を整えた服装、聞き慣れている自分の声とはまた違う男性の声。
まさかと思い、近くの噴水に顔を映してみる…
白髪に青色の瞳、現実世界なら一言かけられるだろう整った顔立ち。明らかに自分の顔とは別人、それどころか…
「この顔…クロムか?まさか俺、主人公の勇者になったっていうのか!?」
あろう事かこのゲームの主人公になっていた。水面の反射を使って色んな角度から自分を見たが、コスプレの域を超えたリアルな姿に目を見開いた。
「おっ、勇者様じゃねえか、こんな所で油売ってて大丈夫か?」
驚いていた彼の側に住人の一人が歩み寄ってきた。
「えっ、俺のこと?」
「何寝ぼけてんだよ、お前以外誰がいるんだよ勇者は。それよりそろそろだろ出発式、早く城に向かった方がいいんじゃないのか?」
「出発式…あっ!」
その時、ゲーマーである俺の脳がフル回転した
勇者に出発式…これは間違いなくゲーム序盤のイベント。
もし、この世界もゲームと同じストーリーなのなら、この先を知ってる原作知識が活かせる。原作ではヘラグランデからリリスと連続で戦闘になるが、俺の選択ならリリスとの戦闘を避けて彼女が死ぬバットエンドを回避出来る!
いやそれだけじゃない、もし彼女と打ち解けることができたら…
俺の脳内は推しのリリスの事でいっぱいだった。そして原作でも言った事がない言葉を妄想で作り上げていた。
「クロム君…好きだよ。ずっと一緒にいようね」
リリスの妄想の告白に俺は自分の闘志を燃やした。
「うおおおお!燃えてきたぁぁぁぁ!俺の力で絶対に推しキャラを救ってみせる!」
「なんかやばいなこいつ…近寄らんとこ」
急な大声で恐怖を感じたのか、住人はそっと彼の傍から離れた。
漫画やアニメなどで出てくる異世界転生を果たした彼は、最初に行った事はステータスの確認だった。
転移者お決まりのレベルカンストやチートスキルが一体何なのかワクワクで自分のステータスを拝見したかったからだ。
ブゥゥゥン…
驚いた事に自分のステータスを見たいと思い手を前に伸ばすと、目の前に真っ黒なパネルが広がり自分のステータスが数値化されて文字に表れた。
「すげえ、やっぱりゲームの世界だからか?自分の体力まで数値化されてるのか」
だが喜んでいるのも束の間、俺は自分の予想を裏切るように現実に叩き潰される。
「って…マジかよ…」
彼がどんよりするのも無理ない、彼のステータスは初期レベルなのだ。
チートスキルもなく、せいぜい与えられたのは固有スキルの二つ
(剣術スキルLV.1 スラッシュ)、(魔法スキルLV.1 ファイア・ブリザド・サンダー)の4種だけだった。
「うすうすわかっていたがやっぱり(はじめから)になっちゃうか…無双して最強の勇者になるって設定好きだったんだけどなぁ…」
悲壮感に浸る中、俺は一つのスキルに疑問を抱いた。
「そういえば魔法スキルって書いてあるが、本当に魔法が使えるのか?どっかにあるだろ、魔法の撃ち方のチュートリアルとか…」
ステータス画面を探したが、魔法の使い方など書いてあるはずもなく、諦めて画面を閉じた。
「うーむ…ゲームだったら手を挙げたりとか、痺れろとか燃えろとか言ってポロっと出してたよな…ええいままよ!手に力を込めればポロッと出るだろ。」
そんな淡い期待を抱きながら俺は手を伸ばして叫んだ。
「雷光《サンダー》!」
俺の声と同時に前方に赤い魔法陣が展開される。
「えっ!?えっ!?マジで出るのかよ!」
俺は驚きで一瞬硬直してしまった。とっさに我に返って今すぐ腕を引っ込めようとしたが時すでに遅く、電気を帯びた球体が前方に撃ち出された。
ピシャーン!
ブルルヒヒーン!
俺が放った電撃魔法は最悪な事に前方の馬に命中した。その衝撃で馬は暴れ出し、その馬に乗っていた人は抑えようと必死に馬の体にしがみついた。
「うわぁぁ!落ち着け!急に暴れ出すな!」
だが、乗っていた人の懸命も虚しく道端に投げ出されてしまった。
「まずい!逃げろ皆!轢かれるぞ!」
倒れながら皆に忠告した後、馬は猛スピードでこちらに向かって走って来た。
「えっ?ちょ!?なんでこっちに向かって…」
ドカーーン!
気づいた時にはもう目の前に馬が来ており、馬の顔が激しく俺の体に激突した。それだけではなく、馬に装備している手綱が腕に引っかかり馬と同じ速さで地面を引きずられてしまった。
ドガドガドガバギバギバギ!
大通りや裏通りを縦横無尽に駆け回り、その度に木箱や壁にぶつかり俺の体力がみるみる減っていく…
「うおおお死ぬぅぅぅぅ!折角異世界来たのに馬に引きずられて死ぬぅぅぅぅ!」
そうして俺は城の衛兵に抑えられるまで街中を引きずられてしまった…
一方城内部では、二人の冒険者が勇者の訪れを待っていた。
「まったく、クロムは一体何やってるんだ?出発式はもう始まるっていうのにお腹でも下したか?」
彼女は魔法使いのアルノア、深く被ったフード付きの赤いローブに薄っすらと緋色の瞳と赤い髪が見え隠れしている。男勝りな口調が多く、本当に女性なのかとよく言われる。
「ちょっと心配ですね、聞いた話だと街に散歩しに行ったと聞きましたが…」
彼女は神官のレズリィ、ルカラン王国修道院の礼服である白と青を用いた修道服を身にまとい、帽子からは手入れがされている滑らかな水色の髪が伸びている。
本来ならここで3人が合流し、出発式を通じて王国を旅立つはずだったのだが、クロムの遅刻により二人は城の広間で待ち続けていた。
「この際だから言うけど、勇者だからといって何でも許せる訳じゃないぞ。堕落した奴だったら私達にも負担が増す。」
クロムの遅刻にアルノアは自分達の心配を口にした。
「何でも許せる訳じゃないのなら、何故あなたはここに来てまでそんな服を着てるんですか?国王に会うのにそのような怪しい服装は失礼ですよ。」
反対にレズリィは、アルノアの服装を指摘した。彼女の姿は闇市の商人と同じく人肌を見せない身なりをしていたからだ。
「前にも言っただろ、これは…」
タッタッタ…
アルノアが反論しようとした時、奥から何者かが駆け寄ってくる音が響いてきた。その姿は二人には見覚えがあった、彼女達が待たされる原因でもあったクロムが二人と合流した。
「悪い悪い、遅くなった!」
クロムは申し訳なさそうな振る舞いで笑って会釈した。その笑顔の下は至るところ擦り傷だらけだった。
「いや~街中引きずりまわされて大変だったよ。さぁ、時間も時間だし国王に会いに行くか!」
彼は何事も無かったかのように王がいる玉座の間へ歩き出す。その反面二人は同じ考えが頭をよぎった。
「「ほっ、本当に心配になってきた…」」
彼らは重たいドアを開き、王が座する玉座の間に入る。そこには何人もの兵士と中央にルカラン王国を統治する国王ロゼッタ女王がいた。
王の威厳にふさわしい礼装に身を包んだ姿に、宝石の様に輝く翠玉の眼の女性。見た目は三十代だろうか、若い立ち姿だが色々な人生を経験してきたような風格がある。
「兵士から状況は聞いた、暴れ馬に街中を引きずられそんな格好で式に訪れるとは…仮にもルカラン王国の勇者として選ばれたのだから、もう少し自覚を持って欲しいのだけれど。」
「はっ…はい…すみません…」
上司に怒られたような感覚で俺は肩を縮めた。
「いや無茶言うなよ!こちとら何も知らないままここに来て危うく死にかけたんだけど!」
彼は苦し紛れの言い訳を誰にも聞こえない声量でボソっと呟いた。
その後一通り状況説明と説教を終え、ロゼッタ女王は玉座に座り直し旅の本題に切り出した。
「話はずれたがここから本題に入ろう。近頃、グラン帝国の脅威が拡大している事はお気づきかと思う。我々ルカラン王国は20年前の戦争によりグラン帝国のボス、ヘラグランデを撃退することに成功した。これにより帝国による侵略はなくなり、この世界の平和が保たれてきた。…だが我々と協力関係にあるルーナ城が、帝国の先鋒隊に襲撃されたと情報が入った。おそらくこれはまだ序章に過ぎない、本隊が攻めてくるとなればこちらもそれ相応の防御策をとらなければならない。これからお前達はルーナ城に行き、帝国の企みを阻止してもらいたい。頼んだぞ。」
ロゼッタ女王は旅の目的を話し、アルノアとレズリィの二人はそれを了承した。
「分かりました、行って参ります。」
「ご心配なく、良い情報を期待していてください。」
だが一人、クロムだけはこの場の状況に疑問を感じた。この出発式というイベントの違和感を
「変だな…あいつがまだ来ていない…」
実はこの出発式のイベントにはあるハプニングが起こるはずだった…
ーーゲームシナリオーー
「式の途中で申し訳ありませんロゼッタ女王!この者が城に保管していた宝を盗もうと企んでいました!」
式の最中、憲兵と捕えられた盗賊が慌ただしく入って来た。
黒髪の間から伸びる赤色のあほ毛、二十代前半くらいの男性だろう、衛兵に捕まえられても暴れるほどの体力がある。
「くそっ!離せ!」
ドカッ!
暴れる盗賊を抑えるため衛兵は力づくで床に叩き伏せた。
「出発式という輝かしい日に水を差すなど、よほど楽しみな非日常を考えていたようですね。牢獄に入れておきなさい、式の後に処罰を下します。」
女王は哀れな目で盗賊を睨み、静かな言葉で追放を言い渡した。
「待ってくれ!俺はまだ死ねないんだ!家族のために金が必要なんだよ、盗みは悪かったから命だけは取らないでくれ…!」
女王は盗賊の悲願を聞く耳も持たず、盗賊をこの場から追い出そうとしたその時クロムが手を掲げた。
「待ってくださいロゼッタ女王、この者の処罰を俺に預けさせてください。」
「何故お前がこの者を?理由はなんだ。」
「この盗賊も俺のパーティーに加わって旅にでます。この城に忍び込める程のスキル、もしかしたら旅に役立つと思いまして。その代わり責任は俺が全部取ります、この者が次に罪を犯したら俺がこの者を始末します、それでいいですか?」
唐突な宣言に盗賊も話を合わせるかのように女王に懇願する。
「頼む!何でもする!パーティーの雑用でもいいから!」
頭を下げる二人を前にロゼッタ女王は険しい顔で考え込んだ後、盗賊を旅に同行させる事を許可した。
「いいでしょう、もしパーティーから逃げたり他の街で悪さをするような事になれば、責任をもって始末しなさい。」
ーーーーーーーー
盗賊アズマ、家族を養う為に盗賊稼業で金を稼いでいたお尋ね者だ。城に厳重に保管されている宝を盗めるほどの実力を買い、勇者パーティーの仲間として一緒に旅をする仲間であったが…
「おかしい…もう式が終わるのにアズマを連れた衛兵達がここに来ない。」
バン!
妙な不安感が出てくるクロムの後ろで、入口の扉が勢いよく開かれる音にクロムは振り返った。
やっと来たと思い込んだ彼だが、飛び込んで来たのは一人の衛兵だった。
「大変ですロゼッタ女王!城に保管されていた秘宝、聖剣ドレイクが盗まれました!」
突如として入って来た衛兵の報告により、静かな玉座の間が一瞬で慌ただしくなった。
「なんだと!警備の者はどうした?」
「今回の暴れ馬の暴走を止めるため多数の警備員をそちらに移動した隙を狙われたのかと。」
「なんてこと…まだ犯人は近くにいるはずです!探して必ず聖剣を取り返しなさい!」
女王の号令と共にその場にいた衛兵はすかさず玉座の間から出て行った。
「この城の宝が盗まれるなんて、すぐに私達も…」
「その必要ない。」
女王は動き出そうとしたアルノア達を呼び止めた。
「こんな事でお前達を足止めさせる訳にはいかない、こっちの事態は私達に任せてあなた達は急ぎルーナ城へ向かってくれ。」
そこからの対応は早かった、この城から逃がさないよう隔離させるためクロム達はすぐ城から離れ、街の人からの応援もなく王国を出た。
クロムは唖然とした、あまりの対応に一瞬にして王国を出たような感じだった。
「それじゃあ行きましょうか、クロムさん。」
「まったく、とんでもない旅立ちになっちゃったな。おい、いつまでとぼけた顔してんだよ、さっさと行くぞ。」
とぼけた顔をしたクロムの背中を押し、二人は前を歩き始めた。
「えっ…?もしかして俺…」
思考停止した脳が一気に覚醒し、起こしてしまった結果を心の中で叫んだ。
「初っ端パーティーメンバー潰しちゃったぁぁぁぁ!」
パーティーメンバーが欠けた状態から始まる、クロム達の帝国討伐の物語。その第一歩はまさかのマイナスからスタートとなった。
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