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復活の厄災編
第五十二話 厄災魔獣パンデモニウム④
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「ダメだ!間に合わない!」
直撃する…目を閉じそう覚悟した。だがいつまで経ってもその死を感じる感覚がやってこない。
「っ…?」
恐る恐る目を開けると、巨大なガラス張りをしたバリアがブレスを受け止めている。
俺はその液体が勢いよく跳ねる光景に呆然としていると…
「ボーっとしてんじゃないわよ!」
背後からアマツの必死な叫び声が聞こえ、意識を呼び戻した。
「長く保たないんだから!さっさと逃げなさい!」
「あっ…ああ!」
その言葉に押されるように俺の体はそのバリアから離れるよう動き始めた。それと同時に俺を心配したニーナが俺の腕を掴んでは全力でダッシュしたため、すぐその場から抜けられた。
その僅かすぐ、後ろでガラスが割れる音が響いた。バリアに当たって溢れたブレスの液体が溢れ飛び出し、辺りに飛び散った。
「危なっ!」
俺とニーナは安全圏まで離れたことでその液体にかかることはなかったが、改めて見るそのブレスの威力に俺達は驚愕した。
「マジかよ…ブレスが通った跡の地面が溶けてる。土が溶けるなんてどんな威力してんだよあれ!」
「いやそれよりもあのブレスの前の行動、あれ明らか狙っていたわよ。」
アマツがそう語り出す。一瞬、意味がわからない様子で皆がアマツを見ると彼女が解説する。
「もし、この子を喰らう目的ならすぐに放り込めたはずよ。あれだけ巨大な口を前にしてこの子が吊るされている時間はかなりあった、だけども奴はこの子を喰らわなかった。何故か?」
「何故?喰らわない理由とブレスに何か関係が…」
そう零したクロムの言葉に、アマツは答えを待たずに話し続ける。
「わかってしまったからだと思う、毒ガスの中に突っ込で自由に動けるこの子を知って毒が効かないとわかった奴は実力行使に移った。強酸性の毒液ブレスならこの子を確実に殺せるとね。」
その話を聞いた俺は今までの行動を辿っていった。ニーナが捕まった後に俺も同じく毒ガスの中へ突っ込んだ、そして触手を切り倒し外に出た時に俺を狙ってブレスを撃ち込まれた。
わかってしまったから、その意味が正しければアマツの話と辻褄があう。
「あの時…毒ガスの中から外に抜け出した俺をブレスで狙ったのは、毒が効かないとわかってしまったからか。」
俺が発した答えに全員の表情に焦りが生じる。環境を破壊する魔物と思っていたらどれだけ良かった事か…皆を代表するように、アマツがこの真実を代弁する。
「これで確信ついたわね、あいつ…頭を使って私達を殺そうとしている。あのヘドロに脳があるとは思いにくいけど、今までの行動を見るにそうとしか考えられない。」
「厄介だな…。」
頭を使う魔物、この事実にクロムは思い詰めた表情で呟く。
だが奴の強さはそれだけじゃなかった、その理由は奴に真っ先に突撃したニーナがその情報を持ち帰っていた。
「それだけじゃない、奴の体を大きく縦に裂いた時に気づいた。奴の体、大量の粘液で身に纏っていて中まで攻撃が届いていなかった。」
「あの粘液にそんな効果があるとはね、確かに私の攻撃が効いているようには見えなかった。」
同じくパンデモニウムの体質を言及するアマツ、その顔は余裕なさげにパンデモニウムを睨みつける。
攻守において完璧な粘液、普通の魔物と違い考えて行動する思考型。そして自分達には対抗薬の制限時間付き、圧倒的に不利な条件が重なり、アマツが汗を一筋流してクロムに呟く。
「勇者…状況が悪すぎる、なんとかなるような相手じゃない。ここは一度体勢を立て直すために撤退する手もあるわよ。」
「………。」
アマツの目先にはパンデモニウムに向かって真っ直ぐ見つめ、ブツブツと聞き取れない小声を呟きながら爪を噛むクロムの姿があった。
それはまるで恐怖に耐えきれなくなり固まっている様子に見えた。その絶望から抜け出させようとアマツはクロムの肩を掴み声を上げる。
「ちょっと!なんであんたが一番に絶望してるのよ!仲間をほったらかしにして自分だけ逃げてんじゃ…」
「…ちょっと黙って、今考えてるから。」
肩を掴まれ怒声を受けながらも、力強く、迷いもなく、その言葉を切り捨てる。
その視線は今もパンデモニウムの方を向けており、アマツの言葉に眼中を向けない。アマツはその姿を見て見え方を一変させた、恐怖して固まっているんじゃない、凄まじい集中状態で策を練っていた。
クロムは生まれて初めて今まで以上に頭をフル回転させていた。全てはパンデモニウムを倒すという使命が思考を加速させていた。
(ゲームでは里の全勢力、そしてアマツの手助けも相まって厄災魔獣を討伐させることに成功していた。だけどここにはそんな勢力はない、あの勢力があるからダメージを稼げていた。でも勢力だけか?最初こそ皆も苦戦していた、それは攻略方を知らなかったからだ。)
クロムはどんどん記憶の中へと潜り込んでいく、それは一度プレイした際に聞くNPCの会話までも思い出せるほどに。
(毒は炎で焦がして粘液を攻略…体を剥き出しにした状態が攻撃の狙い目…体勢を崩したその時が近接戦闘の出番…すべては奴の魔石に剣が届くまで…)
あそこにいたのは魔導隊と近衛隊を合わせて十数、逆にここにいるのは七人、そのうちの四人が近接メイン。ゲームの設定だからか倒せたか?違う、もっと戦い方に工夫すれば勝てる戦いだ。
それを活かすのはいつだって勇者《プレイヤー》の役目、使える手札ならまだある!
「見えた…」
僅かながらに見えた一筋の光、俺は記憶の奥底から現実へと帰り、皆が佇む方へ振り向き口を開く。
「時間がない、手短に話すからよく聞け!撤退はしない、奴を速戦即決で倒す策がある!」
皆はその言葉を待っていたかのように目を見開きながらクロムを見つめる。だがその反面、パンデモニウムの脅威を感じた不安も同時に言葉にしてクロムに問う。
「できるっていうの?まさか自傷覚悟の特攻とか言わないわよね?」
「アマツの言う通り一度体勢を立て直すべきだクロム、里の奴らから戦える奴を引っ張り出して味方を増やせば勝機は上がる。」
俺の策という言葉に不安を零すセーレ、アマツの意見に賛同するアルノアがそれを言う。だが俺は空に指を指しながら答える。
「駄目だ、もう奴は自分が戦いやすいフィールドを凄まじい速さで作り上げてる。毒霧の蔓延は後の戦いで必ず響く、だから今ここで奴を狩る、そのための策だ。」
空はいつしか薄紫に変色し、徐々に太陽を隠すようにガスでできた薄雲が伸びつつある。反論する暇など与えず状況は刻一刻と悪い方向に偏っていく、それを感じ取った皆は戦うことを覚悟に決め、クロムの話を緊張した様子で聞いた。
「奴の弱点は大口の奥にある魔石だ、そのために胴体に攻撃を加えて口から下に向けて大きな穴を作る。その担当を俺、ニーナ、セーレでやる。」
「穴って、このピンクの奴が切っても中まで攻撃が届かなかった。って言っていたじゃない!」
セーレの問いにクロムは淡々と答える。
「奴の粘液は体から外に出ると気化する、周りに漂うガスはそうやって発生してるんだ。なら話しは一つ、粘液を速く気化させていって纏う鎧を剥がしていく。そのための絶対条件は《火炎》だ。」
「火炎…!」
火炎という言葉にピクリと反応するアルノア、その通りと言わんばかりにクロムはアルノアにある指示を促す。
「アルノア、前やった時のようにニーナの武器に火炎魔法を纏わせてくれ。魔導武装による属性攻撃なら足りない火力を補える。」
「っ…わかった。やるだけやってみる。」
指示を受けニーナもアルノアに向かって槍を差し出す。アルノアが魔導武装を準備する中、俺はセーレに気になることを聞いた。
「セーレ、お前は火炎魔法を扱えるのか?」
「馬鹿にしてる?使えるに決まってるでしょ。お前みたいなカス魔法と一緒にしないでくれる。」
いつも通りの毒舌を吐くセーレ、実際彼女が火炎魔法を使っているところを見たことがなかったから聞いただけなのだが、まあいい。
「じゃあ武器に火炎魔法を纏わせて戦ってくれ、体全体を電気で纏わせられる技を持ったお前ならできるだろ?」
「はぁ?何できる前提で話してるのよ。」
「できないのか?俺はできるが。」
その言葉にカチンときたセーレ。自分ができない、したことがないことをよりにもよってクロムができると知ったら…何だかムカついてきた。
「言ってくれるじゃない、自慢げに言うってことは私よりも強い武装ができるってことでいいのかしら?」
ギリギリと強く拳を握り鋼鉄の手甲を軋ませながら、笑みを浮かべ睨みつけるセーレ。こういう状態になるともう止まらない、自分の力を証明しようと奮闘するだろう。まぁ…対応するのも面倒くさくなるが…。
「じゃあ競争するか?どっちが早く奴の粘液を剥がすことができるか。」
「望むところよ!」
やる気十分な目で睨みつけた後、先に先行しようとセーレが単騎で飛び出そうとした時、彼女の手前で熱を持った橙色の槍が遮られた。
「どっちが早く粘液を剥がすかの競争…私もやる。」
そう、ニーナはセーレに鋭い眼光を突きつけながら呟く。セーレも仮面越しからニーナの鋭い眼が見えたのか、嘲笑うように受け答える。
「いいわよ、また捕まって醜態晒したら指を指して笑ってあげるから。」
「あなたとは本当に気が合わない、私が勝ってあなたより上だって証明できたら少しは大人しくなるでしょ。」
「いつ誰がお前の下って決まったのかしら?」
「私と最初に戦った時に逃げた、尻尾巻いて逃げた、だから私の方が上。他に理由ある?」
二人の間でバチバチと優劣をつけたがる勝負の火花が散りだす。まぁ二人の対立は置いといてと、クロムが他の皆に指示を促す。
「アルノア、お前は火炎魔法で奴の粘液を削れ。レズリィは俺達の補助サポート、コハクはアルノア達後方の護衛を頼む。触手が出てきてもお前の速さならすぐヘルプにつける、二人の足になってくれ。」
わかりましたと、レズリィとコハクの二人は頷きながら了承する。
「そしてアマツ、今だけはお前が頼りだ。あの怪物を仕留められる火力を持ってるのはお前しかいない、俺達が外側の粘液と肉を削り落とすから、その隙に体の奥にある魔石を狙ってくれ。」
「私がトドメ役ね…」
その指示を聞いたアマツは腑に落ちない不満気な顔をしてパンデモニウムがいる方向を見据える。そして、指示したクロムに口を出した。
「悪いけど…その指揮じゃ半分点ね。」
「半分?」
「私はあんたの脳内に収まるような人じゃないってこと、肉を削ることも魔石を壊すこともどっちも出来なきゃ巫女の名折れよ。速攻で終わらすんでしょ。」
アマツの目が相手を始末する冷たい半眼へと切り替わる。プライドとかそういう立場で言ってない、本当にそれを成せる実力があると示せる自信を持っている。俺は苦笑すると同時に、その自信溢れる強さに惚れた。
「ははっ、神かよ…頼もしいってレベル超えてるぞ。」
「お世辞は結構よ。それよりもあんた、突撃する前にあの二人どうにかしたほうがいいんじゃない?」
アマツの指をさす方向には今にも互いに喧嘩を始めそうなニーナとセーレがいた。普通なら仲裁に向かう光景だが、俺はそれを泳がすように知らぬ様子で答えた。
「あれでいいのさ、互いに競い合うことで二人の力は発揮される。」
何を考えているんだこの男と、不安と疑問が混ざった視線をやるアマツ。
なのにクロムは、喧嘩している二人を見据え嫌な顔一つせずに理由をスラスラと述べる。
「聞いたことあるだろ?混ぜるな危険って言葉、悪い状況にしかなりかねないことだが、俺がその危険をコントロールできれば強力な武器になる。」
何故…理解ができない…こう言い切る根拠の全貌が私の想像を超えている。
傷つき疲弊した体、二人と肩を並べても明らかに強者を漂う覇気もない。そんな奴が二人をコントロールする?できるわけがない。
「あんたに何ができるの、そんな体であの二人の上に立つつもり?」
そう、睨むように言うアマツにだが笑ってクロムが答える。
「ははっ、それは無理だわ、力じゃ簡単に捻り潰される…けど」
クロムは最後にポロッと小さく呟くと、一触即発の二人がいる方へ歩き出した。
「いいわ、先にあの時の続きからにしましょうか!どうせ秒で終わる戦いだし、数秒ロスしたところで勝負には何の支障もないわ。」
「モルガン先生が言ってた、強がりなことしか言わない人は噛ませ役でしかないって。それならまだクロムのほうが強く見える。」
「っあ……?」
セーレから嘲る笑みの顔が消えた、明らかに地雷を踏み抜き殺気充分に顔を歪ませていた。
そして、その怒りに身を任せて拳が振りかぶろうとした瞬間…
「罵り合いは終わったか?」
セーレとニーナの間に挟むようクロムが入って来た、それに気づいたセーレはニーナに向けられた怒りをクロムに向ける。
「邪魔よどいて!一発殴らせないと気が済まないわ!」
「それはいいが、二人が勝負以外のことに夢中になるなら俺の不戦勝、一人勝ちでいいよな。」
「それはダメ、勝負に勝たないと私が強いってこと証明できない。」
さっきまでのいがみ合いはどこへ行ったのか、クロムの言葉でニーナは軽くその空気を流すように話を逸らした。
せっかく殺る気に満ちたというのに、こうも相手が白けてしまうと調子が狂う。そう感じたセーレは喧嘩越しに煽ろうと二人に攻め立てようとしたが、クロムの声がそれを止める。
「お前もやるだろ勝負、二人同時にわからせられる賭けにお前が降りるなんてことするわけないよな。」
まるで私を試しているような口ぶりに、私の力を舐めているような考えに腹が立つ。やはりコイツは気に食わない、協力関係だとしてもどちらが上なのかはっきりさせる必要がありそうだ。
そのためなら…
「はぁ?いつ私が降りるって言ったの?いい機会だから教えてやるわよ、どっちが上なのか。」
セーレの苛立ちに満ちた殺気が向こうから来るパンデモニウムに向けられる。
思考、理念、すべてがバラバラだったこの二人をクロムの言葉で一つにした、パンデモニウムを倒すという行動へと移し変えた。
それを間近で見たアマツは、先程クロムがポロっと呟いた言葉を思い浮かべる。
ーー人を動かす時は、いつの時代だって巧みな話術なんよ。
ここに至ってアマツは、ようやくクロムの存在がどういうものなのか少しだけわかる気がした。
(……自身の力で解決出来ないから仲間を頼る。そう、それは人間としてリーダーとして間違っちゃいない。けど…)
だがそれは評価されたものではない、今までのクロムの会話と行動をまとめると偶然的にある答えに辿り着いた。それだけなのだ…
(想像や理解を超えた発想、それが仲間の心に不安感を覚えさせないよう自身あり気に巧みの話術で押し通す。それじゃまるで…仲間を《操作》しているっていう意味に聞こえる。)
驚く表情を隠したまま、彼女が内心でそう結論告げる。
勝つ見込みが見えない相手に向かって「勝てる」と仲間達に意識させるやり方はまるで…
ーー狂気…悪魔染みている…
「行くぞ皆!絶対倒す!」
「「おーッ!!」」
クロムが突撃の合図を叫ぶと、全員はその合図に大きな声で反応しパンデモニウムの方へ走り出した。
「っ…!」
内心深く考えこんでいたアマツが数歩出遅れる。走り出すと気づく、空気より重い毒ガスが膝下に被るほどに範囲が広がっている。パンデモニウムの近くともなれば、もやは煙の壁とも言っていいほどに状況の酷さが増している。渡された対抗薬がなければ、もうこの時点で毒ガスに侵されて死んでいることだろう。
だからこそ皆は走る、目の前の厄災を一刻も早く止めようと急ぎ出す。
そんな彼らを追いかけるその先、その先頭に位置する場所で二人の人物が最速で飛び出していた。セーレとニーナだ。
「魔導武装《火拳》!」
「フゥゥゥ!!」
ほぼ二人は同じ速さで飛び、片や走り、一緒にスタートしたクロムを秒もかからぬ内に離していく。
パンデモニウムはこちらに迫って来る二人に危険を感じ、二人の目の前に触手を配備させる。狙いを定め視界不良の毒ガスから飛び出し二人を捕まえる、そう考え、二人をその場所まで誘き出そうとするが…
ダンッ!と地面を強く蹴り上げその場から飛び上がるニーナと、加速を維持したまま上昇し飛行するセーレが、毒ガスに紛れ事前に仕掛けていた触手の罠を飛び越えた。
二人は同じく罠に気づいたから飛んだのではない、ニーナが飛び上がり、それに追い越されまいとセーレが彼女を追いかけ上昇しただけ。ただの勝負心がパンデモニウムの罠を知らぬ内に回避していた。
即座にパンデモニウムは触手を伸ばし二人を捕まえようとする、自身に攻撃を仕掛ける二人を視界から消そうとすると…
「光天《槍撃》!」
捕まえようとする触手がすべて力なく下へ倒れ始める。アマツの放った光の帯がすべての触手を根元から切断させられ、切り離された触手はうねりながら塵となって消える。
そして…
「ファイアインパクト!」
「ハァァァ!!」
セーレの炎を纏った一撃と、ニーナの空中で炎が大きな弧を描くほどの振り下ろす一振りが、パンデモニウムの体に直撃した。
ジュバァァァァァァァ!!
熱した鉄に水をかけたような蒸発するような音が響く。
パンデモニウムは直感的にこの二人の攻撃を食らって理解した、この二人を自分の前に近づけさせたら危険だと。何故なら…
「あれは…!」
アマツの声と共に全員がパンデモニウムの体を見上げる。奴の大口の周りは紫色の煙が上がり、纏っていた紫色の粘液は二人が攻撃した箇所付近からボコボコと沸騰している。
そして煙の中から覗かせる、二人が攻撃した部分から黒に近い色をしたパンデモニウムの皮膚が現れた。
「狙いどおり…!!」
予想通りの結果を生み出し、クロムは笑いを浮かべながら言った。
「粘液が気化して皮膚が出てきた…!奴の毒に炎は有効打だ!」
火で粘液を纏った鎧を剥がすというクロムの言った策、半信半疑であった仲間達もこの光景を見て確信した。
「いける…!このまま奴を削るぞ!」
火だ、火で奴の体を炙り続ければ攻略できる。そう考えアルノアはパンデモニウムに向かって火炎魔法を唱える。
一度は討伐困難で撤退を考えていた、だがセーレとニーナの攻撃を見て僅かながら希望が見えてきた。
直撃する…目を閉じそう覚悟した。だがいつまで経ってもその死を感じる感覚がやってこない。
「っ…?」
恐る恐る目を開けると、巨大なガラス張りをしたバリアがブレスを受け止めている。
俺はその液体が勢いよく跳ねる光景に呆然としていると…
「ボーっとしてんじゃないわよ!」
背後からアマツの必死な叫び声が聞こえ、意識を呼び戻した。
「長く保たないんだから!さっさと逃げなさい!」
「あっ…ああ!」
その言葉に押されるように俺の体はそのバリアから離れるよう動き始めた。それと同時に俺を心配したニーナが俺の腕を掴んでは全力でダッシュしたため、すぐその場から抜けられた。
その僅かすぐ、後ろでガラスが割れる音が響いた。バリアに当たって溢れたブレスの液体が溢れ飛び出し、辺りに飛び散った。
「危なっ!」
俺とニーナは安全圏まで離れたことでその液体にかかることはなかったが、改めて見るそのブレスの威力に俺達は驚愕した。
「マジかよ…ブレスが通った跡の地面が溶けてる。土が溶けるなんてどんな威力してんだよあれ!」
「いやそれよりもあのブレスの前の行動、あれ明らか狙っていたわよ。」
アマツがそう語り出す。一瞬、意味がわからない様子で皆がアマツを見ると彼女が解説する。
「もし、この子を喰らう目的ならすぐに放り込めたはずよ。あれだけ巨大な口を前にしてこの子が吊るされている時間はかなりあった、だけども奴はこの子を喰らわなかった。何故か?」
「何故?喰らわない理由とブレスに何か関係が…」
そう零したクロムの言葉に、アマツは答えを待たずに話し続ける。
「わかってしまったからだと思う、毒ガスの中に突っ込で自由に動けるこの子を知って毒が効かないとわかった奴は実力行使に移った。強酸性の毒液ブレスならこの子を確実に殺せるとね。」
その話を聞いた俺は今までの行動を辿っていった。ニーナが捕まった後に俺も同じく毒ガスの中へ突っ込んだ、そして触手を切り倒し外に出た時に俺を狙ってブレスを撃ち込まれた。
わかってしまったから、その意味が正しければアマツの話と辻褄があう。
「あの時…毒ガスの中から外に抜け出した俺をブレスで狙ったのは、毒が効かないとわかってしまったからか。」
俺が発した答えに全員の表情に焦りが生じる。環境を破壊する魔物と思っていたらどれだけ良かった事か…皆を代表するように、アマツがこの真実を代弁する。
「これで確信ついたわね、あいつ…頭を使って私達を殺そうとしている。あのヘドロに脳があるとは思いにくいけど、今までの行動を見るにそうとしか考えられない。」
「厄介だな…。」
頭を使う魔物、この事実にクロムは思い詰めた表情で呟く。
だが奴の強さはそれだけじゃなかった、その理由は奴に真っ先に突撃したニーナがその情報を持ち帰っていた。
「それだけじゃない、奴の体を大きく縦に裂いた時に気づいた。奴の体、大量の粘液で身に纏っていて中まで攻撃が届いていなかった。」
「あの粘液にそんな効果があるとはね、確かに私の攻撃が効いているようには見えなかった。」
同じくパンデモニウムの体質を言及するアマツ、その顔は余裕なさげにパンデモニウムを睨みつける。
攻守において完璧な粘液、普通の魔物と違い考えて行動する思考型。そして自分達には対抗薬の制限時間付き、圧倒的に不利な条件が重なり、アマツが汗を一筋流してクロムに呟く。
「勇者…状況が悪すぎる、なんとかなるような相手じゃない。ここは一度体勢を立て直すために撤退する手もあるわよ。」
「………。」
アマツの目先にはパンデモニウムに向かって真っ直ぐ見つめ、ブツブツと聞き取れない小声を呟きながら爪を噛むクロムの姿があった。
それはまるで恐怖に耐えきれなくなり固まっている様子に見えた。その絶望から抜け出させようとアマツはクロムの肩を掴み声を上げる。
「ちょっと!なんであんたが一番に絶望してるのよ!仲間をほったらかしにして自分だけ逃げてんじゃ…」
「…ちょっと黙って、今考えてるから。」
肩を掴まれ怒声を受けながらも、力強く、迷いもなく、その言葉を切り捨てる。
その視線は今もパンデモニウムの方を向けており、アマツの言葉に眼中を向けない。アマツはその姿を見て見え方を一変させた、恐怖して固まっているんじゃない、凄まじい集中状態で策を練っていた。
クロムは生まれて初めて今まで以上に頭をフル回転させていた。全てはパンデモニウムを倒すという使命が思考を加速させていた。
(ゲームでは里の全勢力、そしてアマツの手助けも相まって厄災魔獣を討伐させることに成功していた。だけどここにはそんな勢力はない、あの勢力があるからダメージを稼げていた。でも勢力だけか?最初こそ皆も苦戦していた、それは攻略方を知らなかったからだ。)
クロムはどんどん記憶の中へと潜り込んでいく、それは一度プレイした際に聞くNPCの会話までも思い出せるほどに。
(毒は炎で焦がして粘液を攻略…体を剥き出しにした状態が攻撃の狙い目…体勢を崩したその時が近接戦闘の出番…すべては奴の魔石に剣が届くまで…)
あそこにいたのは魔導隊と近衛隊を合わせて十数、逆にここにいるのは七人、そのうちの四人が近接メイン。ゲームの設定だからか倒せたか?違う、もっと戦い方に工夫すれば勝てる戦いだ。
それを活かすのはいつだって勇者《プレイヤー》の役目、使える手札ならまだある!
「見えた…」
僅かながらに見えた一筋の光、俺は記憶の奥底から現実へと帰り、皆が佇む方へ振り向き口を開く。
「時間がない、手短に話すからよく聞け!撤退はしない、奴を速戦即決で倒す策がある!」
皆はその言葉を待っていたかのように目を見開きながらクロムを見つめる。だがその反面、パンデモニウムの脅威を感じた不安も同時に言葉にしてクロムに問う。
「できるっていうの?まさか自傷覚悟の特攻とか言わないわよね?」
「アマツの言う通り一度体勢を立て直すべきだクロム、里の奴らから戦える奴を引っ張り出して味方を増やせば勝機は上がる。」
俺の策という言葉に不安を零すセーレ、アマツの意見に賛同するアルノアがそれを言う。だが俺は空に指を指しながら答える。
「駄目だ、もう奴は自分が戦いやすいフィールドを凄まじい速さで作り上げてる。毒霧の蔓延は後の戦いで必ず響く、だから今ここで奴を狩る、そのための策だ。」
空はいつしか薄紫に変色し、徐々に太陽を隠すようにガスでできた薄雲が伸びつつある。反論する暇など与えず状況は刻一刻と悪い方向に偏っていく、それを感じ取った皆は戦うことを覚悟に決め、クロムの話を緊張した様子で聞いた。
「奴の弱点は大口の奥にある魔石だ、そのために胴体に攻撃を加えて口から下に向けて大きな穴を作る。その担当を俺、ニーナ、セーレでやる。」
「穴って、このピンクの奴が切っても中まで攻撃が届かなかった。って言っていたじゃない!」
セーレの問いにクロムは淡々と答える。
「奴の粘液は体から外に出ると気化する、周りに漂うガスはそうやって発生してるんだ。なら話しは一つ、粘液を速く気化させていって纏う鎧を剥がしていく。そのための絶対条件は《火炎》だ。」
「火炎…!」
火炎という言葉にピクリと反応するアルノア、その通りと言わんばかりにクロムはアルノアにある指示を促す。
「アルノア、前やった時のようにニーナの武器に火炎魔法を纏わせてくれ。魔導武装による属性攻撃なら足りない火力を補える。」
「っ…わかった。やるだけやってみる。」
指示を受けニーナもアルノアに向かって槍を差し出す。アルノアが魔導武装を準備する中、俺はセーレに気になることを聞いた。
「セーレ、お前は火炎魔法を扱えるのか?」
「馬鹿にしてる?使えるに決まってるでしょ。お前みたいなカス魔法と一緒にしないでくれる。」
いつも通りの毒舌を吐くセーレ、実際彼女が火炎魔法を使っているところを見たことがなかったから聞いただけなのだが、まあいい。
「じゃあ武器に火炎魔法を纏わせて戦ってくれ、体全体を電気で纏わせられる技を持ったお前ならできるだろ?」
「はぁ?何できる前提で話してるのよ。」
「できないのか?俺はできるが。」
その言葉にカチンときたセーレ。自分ができない、したことがないことをよりにもよってクロムができると知ったら…何だかムカついてきた。
「言ってくれるじゃない、自慢げに言うってことは私よりも強い武装ができるってことでいいのかしら?」
ギリギリと強く拳を握り鋼鉄の手甲を軋ませながら、笑みを浮かべ睨みつけるセーレ。こういう状態になるともう止まらない、自分の力を証明しようと奮闘するだろう。まぁ…対応するのも面倒くさくなるが…。
「じゃあ競争するか?どっちが早く奴の粘液を剥がすことができるか。」
「望むところよ!」
やる気十分な目で睨みつけた後、先に先行しようとセーレが単騎で飛び出そうとした時、彼女の手前で熱を持った橙色の槍が遮られた。
「どっちが早く粘液を剥がすかの競争…私もやる。」
そう、ニーナはセーレに鋭い眼光を突きつけながら呟く。セーレも仮面越しからニーナの鋭い眼が見えたのか、嘲笑うように受け答える。
「いいわよ、また捕まって醜態晒したら指を指して笑ってあげるから。」
「あなたとは本当に気が合わない、私が勝ってあなたより上だって証明できたら少しは大人しくなるでしょ。」
「いつ誰がお前の下って決まったのかしら?」
「私と最初に戦った時に逃げた、尻尾巻いて逃げた、だから私の方が上。他に理由ある?」
二人の間でバチバチと優劣をつけたがる勝負の火花が散りだす。まぁ二人の対立は置いといてと、クロムが他の皆に指示を促す。
「アルノア、お前は火炎魔法で奴の粘液を削れ。レズリィは俺達の補助サポート、コハクはアルノア達後方の護衛を頼む。触手が出てきてもお前の速さならすぐヘルプにつける、二人の足になってくれ。」
わかりましたと、レズリィとコハクの二人は頷きながら了承する。
「そしてアマツ、今だけはお前が頼りだ。あの怪物を仕留められる火力を持ってるのはお前しかいない、俺達が外側の粘液と肉を削り落とすから、その隙に体の奥にある魔石を狙ってくれ。」
「私がトドメ役ね…」
その指示を聞いたアマツは腑に落ちない不満気な顔をしてパンデモニウムがいる方向を見据える。そして、指示したクロムに口を出した。
「悪いけど…その指揮じゃ半分点ね。」
「半分?」
「私はあんたの脳内に収まるような人じゃないってこと、肉を削ることも魔石を壊すこともどっちも出来なきゃ巫女の名折れよ。速攻で終わらすんでしょ。」
アマツの目が相手を始末する冷たい半眼へと切り替わる。プライドとかそういう立場で言ってない、本当にそれを成せる実力があると示せる自信を持っている。俺は苦笑すると同時に、その自信溢れる強さに惚れた。
「ははっ、神かよ…頼もしいってレベル超えてるぞ。」
「お世辞は結構よ。それよりもあんた、突撃する前にあの二人どうにかしたほうがいいんじゃない?」
アマツの指をさす方向には今にも互いに喧嘩を始めそうなニーナとセーレがいた。普通なら仲裁に向かう光景だが、俺はそれを泳がすように知らぬ様子で答えた。
「あれでいいのさ、互いに競い合うことで二人の力は発揮される。」
何を考えているんだこの男と、不安と疑問が混ざった視線をやるアマツ。
なのにクロムは、喧嘩している二人を見据え嫌な顔一つせずに理由をスラスラと述べる。
「聞いたことあるだろ?混ぜるな危険って言葉、悪い状況にしかなりかねないことだが、俺がその危険をコントロールできれば強力な武器になる。」
何故…理解ができない…こう言い切る根拠の全貌が私の想像を超えている。
傷つき疲弊した体、二人と肩を並べても明らかに強者を漂う覇気もない。そんな奴が二人をコントロールする?できるわけがない。
「あんたに何ができるの、そんな体であの二人の上に立つつもり?」
そう、睨むように言うアマツにだが笑ってクロムが答える。
「ははっ、それは無理だわ、力じゃ簡単に捻り潰される…けど」
クロムは最後にポロッと小さく呟くと、一触即発の二人がいる方へ歩き出した。
「いいわ、先にあの時の続きからにしましょうか!どうせ秒で終わる戦いだし、数秒ロスしたところで勝負には何の支障もないわ。」
「モルガン先生が言ってた、強がりなことしか言わない人は噛ませ役でしかないって。それならまだクロムのほうが強く見える。」
「っあ……?」
セーレから嘲る笑みの顔が消えた、明らかに地雷を踏み抜き殺気充分に顔を歪ませていた。
そして、その怒りに身を任せて拳が振りかぶろうとした瞬間…
「罵り合いは終わったか?」
セーレとニーナの間に挟むようクロムが入って来た、それに気づいたセーレはニーナに向けられた怒りをクロムに向ける。
「邪魔よどいて!一発殴らせないと気が済まないわ!」
「それはいいが、二人が勝負以外のことに夢中になるなら俺の不戦勝、一人勝ちでいいよな。」
「それはダメ、勝負に勝たないと私が強いってこと証明できない。」
さっきまでのいがみ合いはどこへ行ったのか、クロムの言葉でニーナは軽くその空気を流すように話を逸らした。
せっかく殺る気に満ちたというのに、こうも相手が白けてしまうと調子が狂う。そう感じたセーレは喧嘩越しに煽ろうと二人に攻め立てようとしたが、クロムの声がそれを止める。
「お前もやるだろ勝負、二人同時にわからせられる賭けにお前が降りるなんてことするわけないよな。」
まるで私を試しているような口ぶりに、私の力を舐めているような考えに腹が立つ。やはりコイツは気に食わない、協力関係だとしてもどちらが上なのかはっきりさせる必要がありそうだ。
そのためなら…
「はぁ?いつ私が降りるって言ったの?いい機会だから教えてやるわよ、どっちが上なのか。」
セーレの苛立ちに満ちた殺気が向こうから来るパンデモニウムに向けられる。
思考、理念、すべてがバラバラだったこの二人をクロムの言葉で一つにした、パンデモニウムを倒すという行動へと移し変えた。
それを間近で見たアマツは、先程クロムがポロっと呟いた言葉を思い浮かべる。
ーー人を動かす時は、いつの時代だって巧みな話術なんよ。
ここに至ってアマツは、ようやくクロムの存在がどういうものなのか少しだけわかる気がした。
(……自身の力で解決出来ないから仲間を頼る。そう、それは人間としてリーダーとして間違っちゃいない。けど…)
だがそれは評価されたものではない、今までのクロムの会話と行動をまとめると偶然的にある答えに辿り着いた。それだけなのだ…
(想像や理解を超えた発想、それが仲間の心に不安感を覚えさせないよう自身あり気に巧みの話術で押し通す。それじゃまるで…仲間を《操作》しているっていう意味に聞こえる。)
驚く表情を隠したまま、彼女が内心でそう結論告げる。
勝つ見込みが見えない相手に向かって「勝てる」と仲間達に意識させるやり方はまるで…
ーー狂気…悪魔染みている…
「行くぞ皆!絶対倒す!」
「「おーッ!!」」
クロムが突撃の合図を叫ぶと、全員はその合図に大きな声で反応しパンデモニウムの方へ走り出した。
「っ…!」
内心深く考えこんでいたアマツが数歩出遅れる。走り出すと気づく、空気より重い毒ガスが膝下に被るほどに範囲が広がっている。パンデモニウムの近くともなれば、もやは煙の壁とも言っていいほどに状況の酷さが増している。渡された対抗薬がなければ、もうこの時点で毒ガスに侵されて死んでいることだろう。
だからこそ皆は走る、目の前の厄災を一刻も早く止めようと急ぎ出す。
そんな彼らを追いかけるその先、その先頭に位置する場所で二人の人物が最速で飛び出していた。セーレとニーナだ。
「魔導武装《火拳》!」
「フゥゥゥ!!」
ほぼ二人は同じ速さで飛び、片や走り、一緒にスタートしたクロムを秒もかからぬ内に離していく。
パンデモニウムはこちらに迫って来る二人に危険を感じ、二人の目の前に触手を配備させる。狙いを定め視界不良の毒ガスから飛び出し二人を捕まえる、そう考え、二人をその場所まで誘き出そうとするが…
ダンッ!と地面を強く蹴り上げその場から飛び上がるニーナと、加速を維持したまま上昇し飛行するセーレが、毒ガスに紛れ事前に仕掛けていた触手の罠を飛び越えた。
二人は同じく罠に気づいたから飛んだのではない、ニーナが飛び上がり、それに追い越されまいとセーレが彼女を追いかけ上昇しただけ。ただの勝負心がパンデモニウムの罠を知らぬ内に回避していた。
即座にパンデモニウムは触手を伸ばし二人を捕まえようとする、自身に攻撃を仕掛ける二人を視界から消そうとすると…
「光天《槍撃》!」
捕まえようとする触手がすべて力なく下へ倒れ始める。アマツの放った光の帯がすべての触手を根元から切断させられ、切り離された触手はうねりながら塵となって消える。
そして…
「ファイアインパクト!」
「ハァァァ!!」
セーレの炎を纏った一撃と、ニーナの空中で炎が大きな弧を描くほどの振り下ろす一振りが、パンデモニウムの体に直撃した。
ジュバァァァァァァァ!!
熱した鉄に水をかけたような蒸発するような音が響く。
パンデモニウムは直感的にこの二人の攻撃を食らって理解した、この二人を自分の前に近づけさせたら危険だと。何故なら…
「あれは…!」
アマツの声と共に全員がパンデモニウムの体を見上げる。奴の大口の周りは紫色の煙が上がり、纏っていた紫色の粘液は二人が攻撃した箇所付近からボコボコと沸騰している。
そして煙の中から覗かせる、二人が攻撃した部分から黒に近い色をしたパンデモニウムの皮膚が現れた。
「狙いどおり…!!」
予想通りの結果を生み出し、クロムは笑いを浮かべながら言った。
「粘液が気化して皮膚が出てきた…!奴の毒に炎は有効打だ!」
火で粘液を纏った鎧を剥がすというクロムの言った策、半信半疑であった仲間達もこの光景を見て確信した。
「いける…!このまま奴を削るぞ!」
火だ、火で奴の体を炙り続ければ攻略できる。そう考えアルノアはパンデモニウムに向かって火炎魔法を唱える。
一度は討伐困難で撤退を考えていた、だがセーレとニーナの攻撃を見て僅かながら希望が見えてきた。
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