侯爵令息セドリックの憂鬱な日

めちゅう

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「セディ!!!」


 激しい音と共に殿下が息を切らしながら入ってきた。僕の方を見るなり御顔に青筋を立ててこちらへ向かってくる。そうだ僕故意ではなかったとはいえ殿下との昼食をすっぽかしてしまった。どうしよう不敬罪に当たるよねどうしたらいいのだろう。

 そうこう考えているうちに殿下が目の前まで来ていた。

「で、殿下っ」

「セシリオこれはどういう事だ説明しろ!」

 セシリオ様?はっそうだ僕今セシリオ様にくっついてたんだった。殿下からしたら婚約者のセシリオ様が僕なんかに抱きつかれてるところ見たら腹を立ててもしょうがない。急いで離れようとすると殿下に抱き寄せられた。

「???」

 なんで僕が抱きしめられてるの?理解ができず混乱しているとセシリオ様が口を開く。

「セドリック様がよろけられたところを私が支えただけでございます、殿下の想像している様なことは何もございませんのでご安心を。そして殿下、この度の一件誠に申し訳ございませんでした。誓って私が関与した事実はございませんが私の親しい者たちが私を思って起こしてしまった事ですので責任は私にございます。どの様な処罰も受け入れる所存でございます。」

 え、セシリオ様が罰を与えられるってどういうこと?状況が理解できていない僕を置いて2人で話を進めていく。

「そうか、追って沙汰を下す。セディひとまずここを出よう。」

「で、殿下どういう事なのです?ひゃっ」

 なんと殿下が僕を姫抱きしたのだ。

「降ろしてくださいませっ!!」

「いいや、まだ心配だこのまま行こう。」



 結局、何度抗議しても降ろしてもらえずそのまま昼食で使用するはずだった部屋へやってきた。どうやら先程僕は普段セシリオ様が使用している一室で休ませていただいていた様だ。

「セディ、大丈夫だったかい?どこか怪我はしてない?」

「え、えぇ何もされてはおりませんよ。」

 多分されてないはずだ、正直眠らされてから何も覚えていない。

「こんなことになるなんて迂闊だった。もう少し慎重に事を進めるべきだった。」

「殿下?あの恐れながらお話が見えないのですが説明をいただいてもよろしいでしょうか?」

 殿下が僕の方をまっすぐ見て答える

「そうだな。まずセディ、君が私の婚約者に内定された。」

「へっっ?」

 本日何度目かの間抜けな声が出る。先程セシリオ様から聞いた時は何か冗談だと思っていたが本人から直接伝えられる目を丸くするほかない。

「そしてその旨を昨日セシリオにも伝えたのだ。そしてセシリオも納得してくれていた。だが、それを知ったセシリオを思う者たちが逆恨みでセディに危害を与えようとしていたところをセシリオが見つけ私に報告してくれたのだ。」

「なんと、そのような事が……。そもそもど、どうして私が殿下の婚約者に内定したのです?」

 まず根本的な疑問を投げかけてみた。少し間が空いて殿下が答えてくれた。



「王子が実る初恋を実らせてはダメかい?」



 殿下が眉を八の字にしながら微笑み少し寂しそうな顔で僕に答える。

「初恋……?僕が?」


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