侯爵令息セドリックの憂鬱な日

めちゅう

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 殿下の初恋が僕?

「どうしてそんなに驚くの。私はセディにこの十数年思いを伝えてきたつもりだったのだけど。そりゃ婚約者に内定はしていないから言葉には出せなかったが。」

「で、でも殿下が僕を選ぶ理由がないっ」

「動揺してるの?言葉遣いが崩れていて可愛いね。」

 殿下に可愛いだなんて言われてしまったっ!自分で見ることはできないが間違いなく今僕は顔が真っ赤に染まっているだろう。だって手で触ってみた頬が熱い。

「やっとセディに今までの想いを伝える事ができると思っていた矢先にこんな事になってしまった。私も少々浮かれ過ぎていた様だ。」

 殿下が何か言っているが全然頭に入ってこない。

「そうだ、私がセディを選ぶ理由だったかい?一番の理由は幼い頃の一目惚れだ。それから長い時間を共にして優しい内面にも惚れた。まぁ他にも色々あるけど。」

「一目惚れって僕に?どう考えても無いっセシリオ様ならあり得るけど僕になんてあり得ないですっ!」

「あり得ないだなんて言わないでセディ。幼い頃のセディは女神の生き写しと呼ばれるくらい可愛かったんだから。」

 そんなこと聞いた事がないっ、

「でも今の僕はどこにでもいる小麦の髪に垂れ下がって光の入らない目唇だってこんなに腫れぼったくてそばかすだってあるんですよ、……全然かわいくない。」

 自分で言っていて悲しくなってきて最後の方は聞こえるか聞こえないかの声で発した。

「どうしてそんなに自分を卑下するの?この小麦色の髪も綺麗に手入れされていて光に透けるとキラキラと光って見える唯一無二のセディの髪だ、サファイアの様な深みのある優しい瞳で私を見つめてくれると温かい気持ちになるよ。薔薇の様に色づいた厚みのある唇も美味しそうだ、それに私はそのそばかすが一番好きなんだセディの優しい雰囲気をさらに引き立たせていて誰にでも親しみを感じさせるんだ、だから私の大好きなセディを可愛くないだなんて言わないで。」

 っ!殿下がそんな事を思ってくれていたなんて!昨日で枯れたと思っていた涙が頬を伝う。

「……殿下。殿下っありがとうございますっ……。」

「セディは自分のことになると本当に鈍感だからね、周りの人間がどれだけセディに熱を上げているか知らないだろう?」

 そんなわけはないのでは?

「……私は殿下にそう思ってもらえているならそれだけで十分でございます」

 本当に嬉しくて下を向いて喜びを噛み締める。

「あぁもう、本当に可愛いな」

「わぁっ殿下っ?」

「殿下じゃなくて昔の様にリヴと呼んで、あといつからそんなにお硬い口調になったの?今は2人だせめて2人の時くらい砕けてもいいだろ。」

 なんて無茶を言うんだ殿下昔の様にと言ったって昔は殿下との関係がよくわかっていなかったし王子という立場をよく理解していなかったから砕けた話し方ができただけたのにっ。

「ですが、…リヴ様。」

「リヴ」

「っう、リ、リヴ、僕はまだ信じられないよ。」

「心配ないよ、これから言葉で態度でセディが僕の伴侶である事を今以上に示していくからセディにも周囲にもね。」









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