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しおりを挟む「驚くのも無理はないよ、私自身男のオメガでセディと同じ殿下の婚約者候補だったものね。」
僕を安心させる為かセシリオ様は微笑みを浮かべながら優しい口調で話を続ける。
「だけど、この気持ちに嘘はない。小さい頃僕達は三人ずっと一緒にいたよね、一緒にいる中で僕は青い瞳の天使に恋に落ちたんだ殿下と同じ様に。そう、セディにね。セディの事はいくら殿下でも譲れないと思った。でも僕達はお互いに男のオメガだった、そして殿下はアルファだった。」
第二性別の話になると殿下の表情が暗くなる。
「流石に勝ち目がないと思ったよ、でもセディのことを諦めたくはなかった。オメガ同士でも結婚が無理なわけではない基本的に王家に嫁ぐか他性別へ嫁ぐのが当たり前だし、子供ができる可能性がかなり低いからあまり前例はないけどね。」
「……セシリオ様…。」
若干涙目になりながら悲しそうに話をするセシリオ様の姿に心が苦しくなりセシリオの近くまで行き手を握って呟く。
「…セシリオ様、ゆっくりでいいので続けてください私にセシリオ様の想い受け止めさせてくださいませ。」
僕の方を見て微笑むセシリオ様に、殿下も少し表情が明るくなる。
「……ありがとうセディ。僕達が中等部に上がる頃、殿下の婚約者候補の名前が挙げられたその中にはもちろんセディの名前も私の名前もあった。一度候補になってしまうと婚約者が内定するまで候補者同士の個人的な接触は禁止されていた、トラブルを避けるためにね。私はセディの事を諦めたくなかったから辞退を申し出たんだ。………だけど、」
「すまないセシリオ、そこからは私が話そう……。」
「殿下…。」
殿下が?殿下の方に視線を向けるとバツが悪そうな顔をしながら話し出した。
「私が、強引にセシリオを候補にしたんだっ。」
「殿下が……」
てっきり公爵様や陛下が候補に入れたのだと思ったのだけど…。
「非道な行いだったと思う。セシリオの気持ちを知っていながら、いや知っていたからこそ私もセディを取られたくなくて焦っていたんだ。そして一度候補に入ってしまえば公爵令息であるセシリオをそう簡単に候補から外す事はできなかった。私は親友の想いを踏み躙った、正々堂々と戦うことから逃げたんだ。」
「………。」
「こんな私にがっかりしただろう…っ。」
何も言えずに黙ってしまう。二人のこんな想いも知らず僕はのうのうと生きてきたのか。目頭が熱くなり勝手に涙が出てくる。
「殿下…….、セシリオ様…。」
「セディ、大丈夫だよ。」
なんと言えばいいのかわからず二人を交互に見るとセシリオ様が僕をなだめるように言葉をかけてくれる。
「分かってたんだ本当は、セディも殿下を見ていることに。だから悔しかったけどこの候補期間で踏ん切りがついた、気持ちの整理もできて今は心から祝福してる。一昨日殿下と話して納得しているから安心して。」
そう言ってニコッと僕の方を見て手を握り返してくれた。なんて優しいんだろうこの優しい人に自分が好意を寄せられていたのだと思うとなんだかむず痒い。
「それに今回私は大切なセディを危険に晒してしまった、おあいこだよ。」
「セシリオ、すまないっありがとう……!」
その日は午後から授業に参加し、久しぶりに我が家に三人で集まりお茶会をした。途中セシリオ様が来ている事を聞きつけたカイトが強引に参加してきた。
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