【完結】悪役令嬢ですが、元官僚スキルで断罪も陰謀も処理します。

かおり

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第17話「この国は誰のもの?」

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「……本人の身体に、“アルディナス王家の印”が確認された」

王宮に響く重々しい声。
王族、議員、外交官が居並ぶ会議の席上で、ついに“その事実”が明かされた。

ノア――本名、セリル=アルディナス。
アルディナス王国第一王子の“失われた双子の弟”。

「王家の系譜に記録されていない者だ。だが、その印と記録の一致により、王室が認知する方向で――」

「待ってください」

イツキの声が響いた。

「その子は、庇護民“ノア”として、我が国にて正式に保護されている。
今ここで、他国の“血筋”だけを根拠に、身柄を再定義することは、我が国の法に反します」

「だが、彼の本名が“セリル”である以上――」

「本人が、その名を否定している以上、“記録”としては成立しません」

ざわつく場内。

王が、ノアに問う。

「……そなたは、“セリル=アルディナス”なのか?」

ノアは小さく息を吸い、イツキの方を見て、ゆっくりと頭を振った。

「ぼくは、“ノア”です。……イツキ様に、名前をもらったんです」

「血があっても、記憶がなくても――ぼくは、そっちを信じたいです」

沈黙。
そして――イツキが一歩前に出る。

「ならば、当国は、“ノア”の意思を尊重します」

「以後、“セリル”という名での外交的交渉には応じません」



その日の午後、アルディナスの使節は帰国の準備に入った。
政治的に“勝敗”はつかなかったが――名を守り抜くことはできた。

夜、屋敷の窓辺で、ノアがぼんやり外を眺めていた。

「……あの人たち、怒ってましたね」

「当然でしょ。権力も誇りも、思い通りにいかなかったんだから」

「……でも、イツキ様は、ずっと“ノア”って呼んでくれた」

イツキは、ため息をひとつ。

「……面倒を抱え込んだだけかもしれないのにね」

「……えへへ。でも、嬉しかったです」
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