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それでも、愛するひとにその身を望まれるというのは、メルヴィンが予想していたよりもずっと高い破壊力を有していた。毎日暇さえあれば熱心に口説いてくるレスターに、メルヴィンの心は揺れるばかり。だからこそ、ある日聞こえたレスターの一言は世界が凍りつくほど衝撃的だった。
「一体どこにあるんだ。早く取り戻さなければ」
それは普段のレスターからは信じられないほど焦りに満ちた声だった。レスターが、メルヴィンの家の中で何かを探しているらしいことには気が付いていた。メルヴィンには大した財産などない。なけなしのお金を目につくところに置いていたが、手を出された形跡はない。自分に一目惚れをしたなんて嘘を吐いてまで、メルヴィンの隣にいるのはなぜなのか。その理由がようやく判明し、メルヴィンは逆にほっとしていた。
以前にメルヴィンが受け取った謎の魔石、レスターはあれを取り返したかったらしい。根拠など何もないが、あの魔石はおそらくレスターがメルヴィンに送ってきたものだと思われた。レスターが必要なのであれば、返してしかるべきだろう。問題は、どうやってメルヴィンの身体の中から取り出すのか。ただそれだけである。
その夜、いつものようにメルヴィンはレスターの記憶を夢として見ていた。レスターと一緒に暮らすようになってからも、例の勇者一行の旅の記憶は毎晩途切れることなく再生され続けている。いまだにレスターが聖女たちと深い関係になった様子はない。むしろ、旅の途中からレスターと聖女たちとの関係は、少しずつ悪くなっていっているようだった。
そして魔王城に突入した当日の記憶を、とうとうメルヴィンは目にすることになる。そこでメルヴィンが見たのは、レスターが魔王に剣を振り下ろした直後に魔王がガラスのように砕け散ってしまったこと、そして同時にメルヴィンの指先が魔石のように青く透け始めていくというものだった。
あまりの悪夢に悲鳴をあげると、隣室からレスターが駆けつけてくる。怖い夢を見ただけというメルヴィンを優しく抱きしめてくれるレスター。普段ならばそれだけで身を任せたくなるほどの安心感を覚えるはずが、メルヴィンの頭の中からは先ほど夢の中で見た光景が離れない。そしてメルヴィンの中で小さな疑問が生まれたのだ。果たして目の前にいるのは、本当に自分の愛したレスターなのだろうかと。
一度芽吹いた不安は消えるどころか広がるばかり。翌日、メルヴィンはレスターが家を出ると衝動的に貴重品だけを持って町を出ようと試みた。
「一体どこにあるんだ。早く取り戻さなければ」
それは普段のレスターからは信じられないほど焦りに満ちた声だった。レスターが、メルヴィンの家の中で何かを探しているらしいことには気が付いていた。メルヴィンには大した財産などない。なけなしのお金を目につくところに置いていたが、手を出された形跡はない。自分に一目惚れをしたなんて嘘を吐いてまで、メルヴィンの隣にいるのはなぜなのか。その理由がようやく判明し、メルヴィンは逆にほっとしていた。
以前にメルヴィンが受け取った謎の魔石、レスターはあれを取り返したかったらしい。根拠など何もないが、あの魔石はおそらくレスターがメルヴィンに送ってきたものだと思われた。レスターが必要なのであれば、返してしかるべきだろう。問題は、どうやってメルヴィンの身体の中から取り出すのか。ただそれだけである。
その夜、いつものようにメルヴィンはレスターの記憶を夢として見ていた。レスターと一緒に暮らすようになってからも、例の勇者一行の旅の記憶は毎晩途切れることなく再生され続けている。いまだにレスターが聖女たちと深い関係になった様子はない。むしろ、旅の途中からレスターと聖女たちとの関係は、少しずつ悪くなっていっているようだった。
そして魔王城に突入した当日の記憶を、とうとうメルヴィンは目にすることになる。そこでメルヴィンが見たのは、レスターが魔王に剣を振り下ろした直後に魔王がガラスのように砕け散ってしまったこと、そして同時にメルヴィンの指先が魔石のように青く透け始めていくというものだった。
あまりの悪夢に悲鳴をあげると、隣室からレスターが駆けつけてくる。怖い夢を見ただけというメルヴィンを優しく抱きしめてくれるレスター。普段ならばそれだけで身を任せたくなるほどの安心感を覚えるはずが、メルヴィンの頭の中からは先ほど夢の中で見た光景が離れない。そしてメルヴィンの中で小さな疑問が生まれたのだ。果たして目の前にいるのは、本当に自分の愛したレスターなのだろうかと。
一度芽吹いた不安は消えるどころか広がるばかり。翌日、メルヴィンはレスターが家を出ると衝動的に貴重品だけを持って町を出ようと試みた。
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