記憶を失くしたはずの元夫が、どうか自分と結婚してくれと求婚してくるのですが。

鷲井戸リミカ

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「まだ何もしていないのに、こんなに立派に育って。咥えやすい乳首を無防備にさらしておくなんていけない子だ。ほら、服の上からでもどこにあるのかすぐにわかってしまう」
「ひどい、です。こんな風にしたのは、レスターさまなのに」
「ああ、やはり、わたしの知らないわたしが、君の乳首をこんなにいやらしくしたのか。まったくあまりにもわたし好みだと思った。どうしようもなく妬けるじゃないか」
「でも、それも全部レスターさまがっ。やああああんっ」

 恥ずかしいほど勃起した乳首を指先で丹念にしごかれる。けれど、触ってもらえるのは片方ばかりだ。放置された反対側の乳首がもどかしくて、メルヴィンは胸をできる限りレスターに突き出した。メルヴインは目元を真っ赤に染めながら、それでもおねだりを口にする。

「レスターさま、後生ですから反対側も可愛がってくださいませ」
「どこを? どんな風に? 君の嫌なことはできないのだから、してほしいことを教えてくれなくては」
「反対の胸の先っぽも、触ってほしいのです、もっと、ちゃんとしてえ」

 服をはだけさせられてしまっているせいで、自分でこすりつけることさえできない。なまじレスターに可愛がられていたせいで快感を知っている胸の先は、ひとりでに色づいて硬く勃ちあがりその時を待っている。

「ぺろぺろしてくださ、あっ、そんなあ、いきなりなんて」

 おねだりの最中に前置きもなく口内に乳首が吸い込まれる。優しく歯を立てられても、不躾に吸われても、濡れててらてらと光っているところを指先で押しつぶされてさえ、気持ちいい。きっとあまりにも恥ずかしい顔をしているはずなのに、そんなメルヴィンのことをレスターは愛おし気に見つめてくるのだ。

「胸だけでそんなにもだえているなんて。ここを触ったら、一体どうなってしまうのだろうね」
「あ、あ、レスターさま、お願いっ」
「だが、駄目だ。まずはちゃんと胸だけで達してみてごらん」
「また、そんな意地悪ばっかり」
「なるほど。前のわたしもそう言ったのだな。よろしい、さあ、可愛い乳首だけで何度イけるか確認してみようではないか」

 はひゅはひゅと息を荒くしたところで、レスターは許してくれない。たらたらと透明な先走りを流す雄芯もはくはくと熱い昂ぶりを期待する後孔にも触れないまま、何度も潮を吹かされる。いい加減、くったりと力が入らなくなったところで、ようやく長くて綺麗な指が一気に三本突き立てられた。

「はうん、ひゃ、そこ、しゅごいっ」

 指を軽く折り曲げて、お腹の内側を撫でられる。自分で慰めるよりもずっと深くて、信じられないほど気持ちいい。汗を舐めている間、本当ならこうやって自分を慰めていたかった。必死で我慢して、レスターがお風呂に入っている間に指でかきまぜていたけれど、これが自分の指と同じ動きだなんて到底信じられない。

「ほら、そんなにがっつかないで大丈夫だから。きゅうきゅうと締め付け過ぎると、指が動かせなくなってしまうよ」
「らって、これ、すきい。すき、なのお」
「まったく、あんな風に毎日煽っていたというのに、ここにきてまだわたしを煽るのかい」
「あおってにゃんか」
「あんなとろとろの顔をして、わたしの首筋を舐めていたのに? わたしがお風呂に入ると同時に、一生懸命自分で自分を慰めて甘い声を家中に響かせていたのに? 部屋中をいやらしい匂いでいっぱいにして、わたしの理性を壊そうとしていたのに?」
「や、やん、そんな」
「達した後にそのままの格好で眠ってしまったことを忘れたとは言わさないよ。気持ちよさそうに眠る君を見て、このまま犯しても許されるのではないかと思ったくらいだ。ああ、もちろん、手は出していないとも。だから悪いが、今は手加減できそうにない」

 一年以上離れていたメルヴィンの身体を思うならば、もっと時間をかけてほぐしてやるべきなのだろう。けれど、今は何よりも早くお互いを確かめ合いたかった。ずんずんとメルヴィンの華奢な身体を押しつぶすようにして、レスターが突き上げる。懐かしい剛直で胎の中まで食い尽くされる。けれど、それは恐怖よりもやっとひとりぼっちではなくなるという安心感の方がずっとずっと大きかった。

「れすたあさま、もっとお」
「どうしてほしい?」
「もっと、おくまで。ずっと、いっしょに。もう、いっしょう、はなさないで」
「ああ、メルヴィン。愛している」

 散々に魔力を注ぎ込まれたメルヴィンの腹部は、魔法陣を出現させていた。一体どうやっているのか、ゆっくりと青い魔石が浮かび上がる。これをレスターは欲しがっていたのか。不安に思いながら見つめるメルヴィンの首筋をレスターは甘く噛む。この魔石を手に入れたなら、自分は用無しになってしまうのではないか。不安に苛まれ、レスターを見上げる。

「れすたあさま、ぼく、こわい」
「大丈夫。君への愛を取り戻すだけだから」

 ごく自然に手の内におさまった魔石を、レスターは自身の眼帯の下に押し込んだ。辺りに光が満ちる。それはあまりにも眩しく、けれど不思議なほど温かい。意識を失くす直前、メルヴィンはレスターの顔を見た。それはかつて勇者に選ばれる前、メルヴィンの隣で笑っていた頃のレスターと寸分たがわぬ笑顔だった。
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