最強は最高にわがままな証

早乙女 鰹

文字の大きさ
73 / 84
第9章 覇王の追憶

第68話 乱入

しおりを挟む
 俺達がエルフの里に向かう為に森を進むと突然手の平サイズの妖精が現れる。


「挨拶、これから冒険のサポートをします」
「グレース、これは?」
「あぁこれは俺の人工知能スキルが芽生えたのが丁度この時でなそれを模したのがこの妖精なんだ、実際は俺の脳内にいるがな」

 そう俺は昔、力の加減がめんどくさいなと思っていた時、何故か不意に人工知能スキルを手に入れる、俺の脳内が勝手に進化したのだ。
 そして俺は力を委ねる、どんなに本気で殴ろうともある程度加減されるのだ。

 解析能力も備えている優れものだ、草を見れば名前と調合した際の効能も教えてくれる。
 もしかして魔法も使えるかもとこの時の俺は思ったが残念ながら使えない。
 そしてこのゲームでは―――


「あなた達一体何と話をしてるの?」
「グレースどうゆう事?エミールには見えてないの?」

 そう、本来はただの俺のスキルなのでエミールには見えるはずもない。

「ならどうするのよ...会話が変よ?」
「俺も魔法を使いたい」
「ちょっといきなり何言ってるの?そんなの適正がないと...」
「そうよエミールの言う通り意味が分からないわ」

 そうゆうイベントなんだ、許してくれ...。

「それはこの妖精に聞いてみろ」

 半身半疑で妖精に問いかける。

「どうやったら魔法を使えるの」
「解答、一度魔法を喰らってくれれば私が解析します」

 妖精は坦々と答える、感情も無く機械の様に。

「まさかグレースこんな魔法の覚え方したの?」
「大体はな、まぁそれも妖精が進化したときに解放されるから安心しろ」

 そして俺は魔法攻撃を受ける、さすがに難度25のエミールの攻撃をくらってはマナの身が持たない、そうこれは強制攻撃イベント、ある程度の耐久値がないとこの時点で詰みだ。
 このゲームは俺を基本としてるので、強いことが前提条件そもそもこのモードの開始地点は修羅の土地、故にある程度ステータスはあるはずだ。

 そして休憩や野宿を挟みながら2か月程歩きエルフの里に近付くと行軍中の魔王軍に遭遇する。
 ここからはチュートリアルでは無いので俺が戦ってきた戦場を追体験できる。


「物凄い数...さすがにこの数....」


 どうやらエミールはビビっている様子、なので俺はあの時と同じ様に剣を出し行軍中の魔王軍の中に突撃していく。

 あの時は王国に落ちていた何の変哲も無いロングソードを握り締めていった。


 残されたエミールとマナは単騎で突撃していく俺の背中を眺める。


「ほんとに行くなんて...無茶なことするわ」


 そういいつつも笑顔でエミールは後に続いた。


「あんたも十分無茶なんだけど....さすがに同じステータスの相手を大量に相手するなんて....」


 今の俺なら斬撃を飛ばして吹き飛ばすことも可能だがあの時の俺は地道に倒していった。
 あの頃は人工知能が出来て力の制御の事を気にしなくてよくなった俺は只々攻撃を楽しんでいた。
 俺のスピードから相手の動きはかなりゆっくりに見える、なので相手の攻撃に合わせ攻撃を繰り出す。

 エミールからしたら俺が超速で移動しながら刹那の内に敵を切り伏せている様に見えただろう。

 あの時の俺は楽しみ過ぎていた故にエミールが魔王軍に到着する前に俺は数万の魔族兵を切り伏せてしまった。
 その結果...。


「あんたほんとに何者なの...あなたが魔族兵の中に入ったと思ったら刹那...血飛沫が...」


 敵兵の血飛沫は宙に舞い血の雨と化し降り注いだ。

 返り血を浴びた俺は真っ赤になっていたそして俺は血の雨が降り注ぐ中、あの時と同じ様に不敵に微笑む。


「最高だな...力に酔いしれると言うのは....フフフ」


 そんな俺をエミールは引き攣った顔で見つめる。

「私の覚悟は....」
「ほんとよグレース、私も少しくらい苦戦すると思っていたのに」
「すまんな、実はこれタイム制限なんだ」

 そうこれは、早く倒さなければエルフの国が敗北してバットエンドだ、許せ。

「タイム制限か....って10秒?!」
「あぁこれでSランクだ、そしてこのランク次第でエルフの国の耐久値が変わってくるんだ」

 そして俺たちは先を急ぐ、俺たちが戦った魔王軍は現在進行形でエルフ達と戦っている軍の増援部隊だったらしい。

 俺たちが魔王軍の背後から到着する頃、エルフの戦士によって魔王軍は倒される。

 そんな全力を出しアドレナリンが駄々洩れな時に魔王軍の背後から血濡れの俺が出てきたらどうなるか...。

 そう―――

「っち!!増援か!!敵は少数!!敵は恐らく幹部だが怖気づくな!!我らは誇り高きエルフの戦士!!魔族如きに後れを取る出ないぞ!!」

 慌ててエミールは弁解する。

「違う!!私たちは増援を倒してきたの!!」
「耳を貸すな!!」

 高ぶりすぎたエルフの戦士は正常な判断が出来ていなかった、まぁ普通に考えて魔王軍の背後から来たら増援だと思うだろう。
 なので、俺はあの時と同じ様に振る舞う。

「話を聞かないのなら力ずくで聞かせよう、誰に喧嘩を売ったかをわからせてやろう」

 俺はこの状況を楽しんでいた、なんせ俺は力に酔っていたのだ、圧倒的すぎる自分の力に。

「殺しちゃだめよ!!」
「わかっている!!眠らせるだけだ」

 今回は時間制限があるわけではない、そもそも殺しても気絶判定になるのだ、ゲームだから。
 まぁ実際ではしっかりと気絶させた、ほぼほぼ人工知能のシーラのお陰だ俺が本気で殴っても気絶程度まで力を抑えてくれる。

 今回はマナも参加する、そしてエミールは相手のエルフの戦士のリーダーらしき女性と決闘だ。


 あっさりとエルフの戦士達を無力化した俺とマナはエミールの決闘を見守る、あの時と全く同じだ。

「魔王軍にこれ程の強者がいるなんて...」
「だから私たちは魔王軍じゃ...」

 話途中のエミールにエルフの女戦士は斬りかかる。

「ちょっと!!まだ話してるじゃない!!」

 剣戟が続く、エルフの縦斬りを躱し隙を見て横に薙ぐ、それをエルフは躱す。

 あれから10分ほどが経過するが一向に決着が付く気配がない、それもそう。

「長いわね....いつまで続くのかしら...」
「この勝負に結末は訪れないぞ?そうゆう仕様だからな、ちょっと懐かしく思っていてな」
「終わらないならどうやって終わらせるの?」
「それは簡単だ」

 俺はあの時と同じように二人の頭部にチョップを喰らわせる。
 そして二人はその衝撃で地面に頭をめり込ませる。

 エルフは意識を失っただけだが、エミールはただ痛かっただけだ。

「なんで私もなの!!それに決闘に手出しするなんて!!」

 そして俺はかっこつけながら指を立てる。

「一、長い...ニ、意味がない...三、俺が暇」
「意味がないってさすがに言い過ぎなんじゃ...」

 流石にと思ったのかマナが口を出す。

 意味がないのは本当だ、だって―――

「本気出してないだろ?」
「どうしてそれを...」

 鼻を鳴らした後俺はエルフを抱え木陰に移動する。

「何する気なの?」
「何するのよ?」

 マナとエミールの言葉が重なる。

「まずは火起こしだな、腹が減っただろう?」
「別に...私吸血鬼だし...」
「そうね、動いた分お腹が減ったわ」

 マナが不満気な表情をする。

「なんかグレース、エミールの事すごい分かってるみたい...」
「分かってるも何も俺が一度体験したことだからな、それにこの時は俺も食事が必要な体だったしな」

 話もするが手は止めない俺は大きな木を切り倒した―――素手で。

「何してるの?」
「馬鹿力超えて化け物ね....」

 木には多少水分がある、だから燃えなかったりもするので木を絞っているのだ、メキメキと音を立てているが...。

「ほらできたぞ」
「できたって?」

 エミールが首を傾げる。

「乾いた薪だぞ?わからんのか?火だ!火!」
「わかったわよ【聖炎エンシェントファイアー】」

 そして俺は大きくため息をつく、あの時と同じように。

「なんで聖なる炎を使うんだ...魔族でも食べる気か?普通の火で構わんのだが...」
「だって....」
「エミールって結構馬鹿なのね」

 そうして俺たちは【収納ストレージ】から魚や肉を取りだして焼き始めエルフの女戦士が目覚めるのを待った。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ

月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。 こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。 そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。 太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。 テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

処理中です...