最強は最高にわがままな証

早乙女 鰹

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第9章 覇王の追憶

第74話 不器用な女神

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 千寿の森にある家屋の扉をノックし返事があったのでしばらく待つ、少しすると扉は開かれ顔なじみが姿を見せる。
 俺にとっては顔なじみだがマナからしたら初対面なので軽く紹介をする。

「こいつは狡猾神ロキだ、といっても俺の作りだしたNPCに過ぎないがな」
「この人は嫁候補なの?」

 マナの急な発言に俺は一瞬何を言ってるかよく理解できなかった。

「な、なにを言ってんだ!!嫁にするわけ無いだろ!!」
「だって結構グレースの好みな感じじゃない?」
「それは認めざるを得ない....」

 それは認める。
 ロキは猫耳型のフードを被り紫色の瞳をした幼い少女だ、黒色の半袖に黒色のホットパンツを見事に着こなしている

 非常にベリーグッドだ!!

 だがそれはそれだ、ロキを嫁にしたいとは思わない、只の感だが怪しい臭いがするのだ

「君たちは人間...だね...どうしてここに来たの」
「エミールがフレイヤに用があると言うのでな、それにお前にも会いたかったぞ」
「僕に?もしかして戦いたくなった?」
「よくわかっているじゃないか」
「降参だよ降参!!僕は君に勝てないからね」
「賢明な判断だな、それでフレイヤはどこだ?」
「奥で休んでるよ」

 ロキは俺達を迷う事なくフレイヤの元へ案内する、昔はなんとも思わなかったけど今思えば不思議な点が多く残っている。

 何故こいつは初対面なのにフレイヤに会わせようと思ったのか。
 何故こいつは俺に勝てない事を知っていたか。
 何故こいつはわざわざフレイヤを救うために下界に居りてきたのか、残された謎はたくさんある。

「ねぇグレース、どうしてフレイヤは休んでいるの?神なら...」
「弱ってるからだよ、信仰心が失われたからね」

 俺が答えるよりも早くロキが問に答える、後ろ姿なので確証はないがロキはとても悲しそうに感じた。

「この子は不器用なんだよ、他の神達はたいして力なんて貸さないのに【奇跡】と称して力を貸している、自分の未来さえ見えないのに【光の導き手】として信者たちを導こうとしている」

 ロキは寝ているフレイヤの横に座ると優しく頭を撫でる。

「神ってのはね、信仰心や伝承を糧とするんだよ、普通は力を貸したりしないから増えていく一方なんだけどね、この子に関しては基本常に力を使っていたから他の神達よりも生命力が弱いんだ...それなのに数年前に起きた魔族の襲撃、この子はこの子なりに力を貸そうとした。だがそれは叶わなかった...僕たちにも内緒で下界に降りて力を行使した、その結果...人間達はフレイヤを裏切った―――いや...それは違うかなどちらかと言えば...別の人を信じたと言った方がいいのかな、フレイヤは人間達の信仰心があったから多少の無茶は出来た、でもね、それが無くなった今、この子はもう目を覚ますことも出来ないでいる...。ほんと...どこまで不器用なんだろうね...自分をなんだと思ってるんだろ」
「つまり...フレイヤを信仰していた人が別の人を信仰しちゃったせいで力が出ないってこと?」

 マナの意見を俺は肯定する、フレイヤは自分を顧みず信者たちを救おうとした。
 神にも良い奴が居るのだなと俺はこの時感じていた、こうゆう馬鹿みたいに不器用なやつの事が俺は嫌いじゃない。

「エミール、君ならもうわかっているんじゃない?」

 突然の問いかけにエミールは動揺する。

「どうして私?」
「人間達は死の間際、フレイヤじゃなくて君を信じたんだよ」
「私のせいだって言うの!!」
「言わないよ、僕も人間達と同じ立場だったら不確定な神と言う存在よりも、確実に存在している君に助けを求めちゃうからね、たとえその陰にどれだけ努力している人が居ようとね」
「そんなのまるで私が悪いみたいじゃない....」

 俺はエミールを宥めロキの目的である俺の行動をとる。

「御託はいい、要するに、俺の魔力が欲しいのだろ?」
「いいね君、話が分かるみたいで安心したよ、普通の生命体だとこの子を復活させるだけのエネルギーは確保できないからね、君なら安心だよ」

 ここで第二の強制ダメージイベントが発生する、それはフレイヤのHPと同等のHPが削られると言うもの、なのでレベル上げなどをしっかりとしていない場合ここで100%死んでしまうのだ。

「やるか?」

 おれはマナにやるかどうかを聞くとマナは首を勢いよく横に振る、今のマナのステータスならなんの問題も無いのだけど...。

 俺はフレイヤの額に手を翳し生命エネルギーを流し込んだ、流し終わり少しするとフレイヤが目を覚ます。

「ロキ...それにこの方たちは...」
「全く...世話の掛ける子だね」

 ロキは安堵と共に肩を竦める。

「この人達は僕の知り合いだよ、僕が呼んだわけじゃないんだけどね」
「ロキ俺たちは別室に行くぞ話がある」
「いいよ~ちょうど僕も話たいことあるし、この子達も積もる話があるだろうし」

 俺、ロキ、マナはフレイヤとエミールを残して別室へ向かう。

「さてとロキ、暇になったな」
「そ~だね~そういえば君の目的はなんなの?」
「今の所、魔王の始祖を倒す事だな」
「ふ~ん、僕たちもついて行っていいかな?」

 期待に目を光らせながらロキが言う、俺としては特に断る理由もなかったので許可を出す。

「そういえば精霊を味方にしたんだね」

 ロキのこの発言は昔のシーラへの発言だ、人工知能を手に入れたのでそれを言っているがこのゲームではシーラの代わりに精霊を付けているのでこの様な発言になる。

「まぁな力の扱いを任せてるからかなり助かってる」
「そうだよね~その力を使いこなすのは至難の業だからね、精霊の進化はしないの?」

 そして俺はこの時始めてシーラに名づけをした。

 名づけというか...シーラが名前を提案したのでそれを受理したという感じだが。

 この時のシーラは感情をまだ理解できていなかったが名づけによって進化が齎された結果感情を理解できるようになった。
 諦めない気持ちや家族の愛情、友情、悲しみ、その他、生命体の思考を完全に理解できるようになったのだ

 だからなのか、死ぬ気でやればできます、なんて言うのだ、言うと言うかエミールが言われると言うか
 悪戯心を学んだせいで多少他の人間を揶揄う事があるのがたまに傷だが。

 人間の恐怖心も学んだせいで安易に人を脅迫したりする、どうやら怖がっている様子が一番好きなようだ。

 それとこの時既に脳内で肉体を与えているので、出ようと思えば出てこれたのだ。

 そうして話をしながらエミールたちの話し合いが終わるのを待った、結構シリアスだが俺たちは敢えて手を出さずに見守った。
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