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第二部
穏やかな日々Ⅲ
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「ローラ。顔が赤いよ」
アワアワする私が面白いのかレイ様が至近距離でニヤリと笑いました。
あの日の大胆な行動が甦ってきてますます顔が赤くなってしまうわ。
まさか、まさかですよね。レイ様、寝ていましたよね?
「何のことでしょう? 身に覚えなど、ありませんわ」
ここはごまかさなくては。あんな恥ずかしいことをさらされたらどうすればいいの?
だって、レイ様ぐっすり寝ていたはずよ。
「そう?」
「はい……」
引きつった顔を隠すように下を向きました。
「再現してみようか? そしたら思い出すかもしれないよね」
すくっと立ち上がったレイ様は私にも立つように促しました。
「あの……」
「いつまでも思い出さないようだから、思い出させてあげる。そうだな、その前のリッキーが言ったことから始めてみる? レイおにいちゃんはローラおねえちゃんのことを……ってところからやってみる?」
きゃー。うそ。そこから?
私は真っ赤になりすぎた顔を覆いました。
恥ずかしい。恥ずかしすぎるわ。あの時の私はどうかしてたんだと思うわ。私を見下ろすレイ様の忍び笑いが聞こえてきて、ますます顔が上げられない。
「やっと、思い出してくれた?」
レイ様が後ろに座った気配がして、顔を覆ったままの私の背中をそっと抱きしめました。お腹に回された腕と背中から伝わる温もり。
「あ、あの」
なんて言ったらいいの?
「ローラ、可愛い」
あっという間に膝に乗せられてしまいましたが、顔は恥ずかしくて見せられなくて覆ったまま。
「顔を見せて?」
レイ様の手が重なりはがされてしまったけれど、やっぱり顔を見られたくなくてレイ様の首元に顔をうずめてしまったわ。だって、レイ様をまともに見れないのだもの。
「これだけ往生際が悪いと身に覚えあるよね?」
耳元で囁くレイ様の声にびくりと肩が動きました。
身に覚えがあるどころではない。鮮明に思い出してしまったもの。恥ずかしい。
「あの時、ここで言った言葉。寝ている俺に何を言ったのか、覚えているよね? もう一度聞きたいな」
ルンと弾んだようなレイ様の声音に心臓の鼓動がMaxに。
聞かれていたの? まさか、寝たふり?
ドキドキどころの話ではありません。思わず首に回した腕に力が入ってしまいました。落ち着いてねと宥めるかのように私の背中をさするレイ様。
「そんなに渋られるとちょっと落ち込むな。そんなに言いたくない?」
「え、いえ、そういうわけでは……」
面と向かって言われると恥ずかしすぎて、とてもじゃないけれど勇気が持てないわ。あれは聞こえないことが前提だったから。
「じゃあ、再現してみようか? その方がやりやすいかもね」
なんて言いながら立ち上がる素振りをするレイ様を阻止しようとヒシっとしがみつきました。
「それは、止めてください」
涙目になる私。もうレイ様、絶対に面白がっている。パ二クる姿が滑稽に映っているかもしれないわ。
「イヤなのか。わかった。だったらセリフだけでもいいから言ってみて。俺の目を見てね」
なんとしてでも言わせたい。そんな執念を感じてしまいました。スイッチは何だったのでしょう。
今日、図書室に誘ったのはこれが目的だったのかもしれないわ。案の定、人払いもされているし、二人だけだもの。あの日のように。
アワアワする私が面白いのかレイ様が至近距離でニヤリと笑いました。
あの日の大胆な行動が甦ってきてますます顔が赤くなってしまうわ。
まさか、まさかですよね。レイ様、寝ていましたよね?
「何のことでしょう? 身に覚えなど、ありませんわ」
ここはごまかさなくては。あんな恥ずかしいことをさらされたらどうすればいいの?
だって、レイ様ぐっすり寝ていたはずよ。
「そう?」
「はい……」
引きつった顔を隠すように下を向きました。
「再現してみようか? そしたら思い出すかもしれないよね」
すくっと立ち上がったレイ様は私にも立つように促しました。
「あの……」
「いつまでも思い出さないようだから、思い出させてあげる。そうだな、その前のリッキーが言ったことから始めてみる? レイおにいちゃんはローラおねえちゃんのことを……ってところからやってみる?」
きゃー。うそ。そこから?
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恥ずかしい。恥ずかしすぎるわ。あの時の私はどうかしてたんだと思うわ。私を見下ろすレイ様の忍び笑いが聞こえてきて、ますます顔が上げられない。
「やっと、思い出してくれた?」
レイ様が後ろに座った気配がして、顔を覆ったままの私の背中をそっと抱きしめました。お腹に回された腕と背中から伝わる温もり。
「あ、あの」
なんて言ったらいいの?
「ローラ、可愛い」
あっという間に膝に乗せられてしまいましたが、顔は恥ずかしくて見せられなくて覆ったまま。
「顔を見せて?」
レイ様の手が重なりはがされてしまったけれど、やっぱり顔を見られたくなくてレイ様の首元に顔をうずめてしまったわ。だって、レイ様をまともに見れないのだもの。
「これだけ往生際が悪いと身に覚えあるよね?」
耳元で囁くレイ様の声にびくりと肩が動きました。
身に覚えがあるどころではない。鮮明に思い出してしまったもの。恥ずかしい。
「あの時、ここで言った言葉。寝ている俺に何を言ったのか、覚えているよね? もう一度聞きたいな」
ルンと弾んだようなレイ様の声音に心臓の鼓動がMaxに。
聞かれていたの? まさか、寝たふり?
ドキドキどころの話ではありません。思わず首に回した腕に力が入ってしまいました。落ち着いてねと宥めるかのように私の背中をさするレイ様。
「そんなに渋られるとちょっと落ち込むな。そんなに言いたくない?」
「え、いえ、そういうわけでは……」
面と向かって言われると恥ずかしすぎて、とてもじゃないけれど勇気が持てないわ。あれは聞こえないことが前提だったから。
「じゃあ、再現してみようか? その方がやりやすいかもね」
なんて言いながら立ち上がる素振りをするレイ様を阻止しようとヒシっとしがみつきました。
「それは、止めてください」
涙目になる私。もうレイ様、絶対に面白がっている。パ二クる姿が滑稽に映っているかもしれないわ。
「イヤなのか。わかった。だったらセリフだけでもいいから言ってみて。俺の目を見てね」
なんとしてでも言わせたい。そんな執念を感じてしまいました。スイッチは何だったのでしょう。
今日、図書室に誘ったのはこれが目的だったのかもしれないわ。案の定、人払いもされているし、二人だけだもの。あの日のように。
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