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ヤミイ

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 洗車機の裏側は、小さな公衆浴場のようなスペースになっていた。
 大理石の床に掘られた、十メートル四方ほどの大きな浴槽。
 お湯が張られているらしく、湯気が上がり、部屋の湿度が異様に高い。
 奇妙なのは、浴槽の中央に、水車のような装置が設置されていることだった。
 台座に取りつけられた直径1メートルの水車が、高い位置から落ちてくるお湯の力で、ゆっくりと回っている。
 これが、ジュリの言う、「ほかの仕掛け」のひとつなのだろうか。
 それにしても、こんなもの、どうやって使うのだろう?
 しばらく後に、僕はこの水車の使い道を目の当たりにすることになるのだが、それは奇想天外なまでに卑猥なものだった。
 それはまさしく、変態性欲者の極致を極めた先生にぴったりの、連続射精器具だったのだ。
 が、先走るのはやめておこう。
 今は話を少し前に戻す必要がある。
「こんなスペースもあるんですね。まさに、願ったりかなったりだ」
 目の前に広がる浴槽とシャワー設備を見て僕が言うと、
「ほんと。私もここまでは知らなかったわ。すごいわね。マンションの一フロアに、こんな設備まで造るなんて」
「親父たちも変態だからね。あたしたち兄弟は、その負の遺産を引き継いだだけ」
「負の遺産?」
「そ。ふたりとも、もうこの世にいないからね。変態プレイの最中に、心不全で夫婦そろって昇天しちゃったから」
「マジですか?」
 ジュリの表情からは、事の真偽は不明だった。
 ともあれ、この兄弟なら、両親の莫大な遺産に守られて好き放題やっている、というのは、ありそうな気がする。
「それはそうと、ほら、兄貴が出てくるわよ」
 ジュリに言われて振り向くと、洗車機からブラシにもみくちゃにされた先生が吐き出されてくるところだった。
 先生は全身をこすられ、肌という肌が桜色に染まっていた。
 転がって仰向けになると、自然、股が開いて性器が剥き出しになる。
 天を衝かんばかりにそそり立つ長大で筋肉質の肉の塔は、照明の光を浴びててらてら輝いていた。
「助清、佐平、わかってるわね」
 少し遅れて姿を現したふたりの覆面マッチョに、ジュリが命令する。
「さっそく、やってちょうだい。兄貴に、あれを」

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