8 / 30
第3章
御曹司からの圧力
しおりを挟む
大竹三也が大阪入りしたので、彼が泊まっているホテルまで綾之助は挨拶に行った。知八がえらく心配して付いてくるというので、それを断るのが大変だった。
三也は目も合わさずに言った。
「お庄は大役だから、綾之助さん大変でしょうね」
お庄は目立つ役とはいえ、脇役である。小春を演じる役者がお庄の役者に言うセリフではない。
「は…。一所懸命勉強しております」
「小春もねえ、なかなか難しいお役だから、初日までに間に合うかどうか。まぁ、お庄に比べたら簡単なのかもしれないけれど」
「いえ、小春ほどの大役、突然振られてお出来になるのは三也さんぐらいやと思います。とはいえ簡単にはいかへんでしょうから、ご苦労もいかばかりかと思います」
綾之助は、内心震え上がりながら、失礼にならないようなことばを必死になって探した。
「あなたのお庄、楽しみにしてますから」
綾之助の胸のあたりを、ひたと睨みつけながら三也は言った。結局最後まで、一度も目は合わなかった。知八に言われたのと全く同じことばなのにこうも違うか、と綾之助は思った。
蓮十郎が忙しく、なかなかスケジュールが空かないこともあり、二月の花形歌舞伎の稽古は立ち稽古から始まった。
稽古が始まっても、三也の氷のような態度はあらたまることがない。御曹司からの圧力に、綾之助はすっかり萎縮してしまった。
さらに、三也は芝居の呼吸を外すのが絶妙にうまかった。人の目もあるのでそうあからさまなことはしないが、お庄のセリフ前にタイミングを外したり、綾之助が次の芝居をしようとする瞬間にトンと手をつき呼吸を外したり、ともかく邪魔をされる。あれだけ準備してきたというのに、綾之助の出来はいまいちだった。
当然、演出の幸弥のイライラは募る。大事な息子の座頭公演である。台無しにされたくはない。たとえそれがかわいがっている兄の弟子であってもだ。さらに言うと蓮十郎の出来もあまり良くはなかった。忙しさもあって、準備不足の感は否めない。
「綾之助さん、あんたちょっと残りなさい」
言われて少しショックを受けるが、自分でも全く出来ていない自覚はあるので、仕様がない。それにしても悔しい。やれていたことの半分もできなかった。
「あらまあ。大変」
聞えよがしに鼻で笑う三也の声に、綾之助の心が縮む。年若い役者たちは曖昧な笑みを浮かべて同調とも否定とも取れる態度を取った。
ふと見ると、幸弥の顔が無表情になっていた。三也の声が聞こえていたらしい。この人は品格を重んじる人なので、何よりもこういう品のない言動が大嫌いである。
「いや、逆に綾ちゃんはよかったんよ。僕なんてまるでダメやったから、口もきいてもらえませんよ」
どこかのんびりとした口調で蓮十郎が言った。自分も幸弥にまともに口をきいてもらえてないことに気づいた三也は押し黙った。
幸弥の表情が和らぐ。
「蓮十郎、あんたもちょっと付き合いなさい」
「はい」
うれしそうにいそいそとにじり寄って、蓮十郎は綾之助の横にちょこんと正座する。
「よろしゅうお願いいたします」
三也が帰ったあとの稽古では、綾之助の出来は悪くなかった。
「あれ、綾ちゃん、ようできてるやん」
蓮十郎もうれしそうに綾之助の出来を認めた。
「それがなんで稽古やったらできませんの」
「それは……」
幸弥の問いかけに綾之助は思わず口ごもる。何を言っても言い訳になってしまう。
「申し訳ありません」
幸也は少し考える素振りを見せた。
「綾之助さん。今回の興行は、言うてあれやけど、たかが花形や。座頭もたかが蓮十郎や。顔見世で芯になった人が、なにを萎縮してるんや」
横で蓮十郎がうんうんとうなずいているのが視界のすみに映る。「たかが蓮十郎」と言われてうんうんうなずいているのもどうかと思うが、まあそれが蓮十郎の魅力でもあるだろう。
「あなたは目立つから、おもろないことも言われるやろうし、つらいこともあるやろ。でも、それを板の上に持ち込むようなら、私は今後一切あなたを使いません」
きっぱりと言い切られて、綾之助は言葉もない。
「お、お父さん、それはちょっと」
おろおろとする蓮十郎には目もくれず、幸弥は言い募る。
「ええか、綾之助さん。明日までによう考えてきぃや。こんなことが続くようでは困ります」
「えらいこっちゃやなあ」
幸也が帰ったあとも、その場に座り込んでいた綾之助に、蓮十郎が声をかけた。
「大切な蓮十郎さんの座頭興行にこんな無様な……えらいすんません」
「まぁ、しゃあないわなあ。綾ちゃんだけのせいとちがうしなあ」
あまり優しい言葉をかけないで欲しい。泣いてしまいそうだから。
「三也さんにも困ったもんやで。オレもな、部屋子時代には、あの人にめちゃくちゃされたもんや」
珍しく蓮十郎がちょっと嫌そうに言ったので、綾之助はびっくりしてしまった。彼はめったに人の悪口めいたことは言わない人である。
「そやったんですか。それは蓮十郎さんにもえらい迷惑をかけました」
相手役をする役者同士は、やはりある程度相性が良くないとやりにくいものだ。だからこそ元々は、小春の役は同門で蓮十郎に屈託のない知八だったのだ。
しかし、そんな綾之助の言葉を蓮十郎は一笑に付した。
「綾ちゃん。オレかて大部屋出身やねんで。相手選んで舞台に立つようなオシャレなこと出来るようになったんはつい最近や。どんなお人でも、舞台の上では世界一かわいらしい女に見えるもんや」
その言葉には、蓮十郎の役者魂の一端が垣間見られた。
「もちろん、綾ちゃんは舞台降りてもかあいらしぃで」
「はあ、ありがとうございます?」
礼を言うべき時なのかどうかもよく分からず、でも褒められたには違いないので、思わず疑問形で答えてしまう。
そう言えば、三也の演技は決してそう悪いものでもなかったのに、綾之助は今日一度も、三也の小春をかわいいと思えなかった。それは結局、人に心を乱されて、小春ではない、大竹三也という人間そのものを舞台の上でも見てしまったからだ。そんなことではいけない。幸弥が怒るのも当然である。
「蓮十郎さん、ありがとうございます。明日からはきっと、ご迷惑はおかけしません」
「おお、頼もしいこっちゃ! あんじょう頼んます」
蓮十郎は綾之助の肩を励ますようにぽんぽん叩いて、立ち去った。
三也は目も合わさずに言った。
「お庄は大役だから、綾之助さん大変でしょうね」
お庄は目立つ役とはいえ、脇役である。小春を演じる役者がお庄の役者に言うセリフではない。
「は…。一所懸命勉強しております」
「小春もねえ、なかなか難しいお役だから、初日までに間に合うかどうか。まぁ、お庄に比べたら簡単なのかもしれないけれど」
「いえ、小春ほどの大役、突然振られてお出来になるのは三也さんぐらいやと思います。とはいえ簡単にはいかへんでしょうから、ご苦労もいかばかりかと思います」
綾之助は、内心震え上がりながら、失礼にならないようなことばを必死になって探した。
「あなたのお庄、楽しみにしてますから」
綾之助の胸のあたりを、ひたと睨みつけながら三也は言った。結局最後まで、一度も目は合わなかった。知八に言われたのと全く同じことばなのにこうも違うか、と綾之助は思った。
蓮十郎が忙しく、なかなかスケジュールが空かないこともあり、二月の花形歌舞伎の稽古は立ち稽古から始まった。
稽古が始まっても、三也の氷のような態度はあらたまることがない。御曹司からの圧力に、綾之助はすっかり萎縮してしまった。
さらに、三也は芝居の呼吸を外すのが絶妙にうまかった。人の目もあるのでそうあからさまなことはしないが、お庄のセリフ前にタイミングを外したり、綾之助が次の芝居をしようとする瞬間にトンと手をつき呼吸を外したり、ともかく邪魔をされる。あれだけ準備してきたというのに、綾之助の出来はいまいちだった。
当然、演出の幸弥のイライラは募る。大事な息子の座頭公演である。台無しにされたくはない。たとえそれがかわいがっている兄の弟子であってもだ。さらに言うと蓮十郎の出来もあまり良くはなかった。忙しさもあって、準備不足の感は否めない。
「綾之助さん、あんたちょっと残りなさい」
言われて少しショックを受けるが、自分でも全く出来ていない自覚はあるので、仕様がない。それにしても悔しい。やれていたことの半分もできなかった。
「あらまあ。大変」
聞えよがしに鼻で笑う三也の声に、綾之助の心が縮む。年若い役者たちは曖昧な笑みを浮かべて同調とも否定とも取れる態度を取った。
ふと見ると、幸弥の顔が無表情になっていた。三也の声が聞こえていたらしい。この人は品格を重んじる人なので、何よりもこういう品のない言動が大嫌いである。
「いや、逆に綾ちゃんはよかったんよ。僕なんてまるでダメやったから、口もきいてもらえませんよ」
どこかのんびりとした口調で蓮十郎が言った。自分も幸弥にまともに口をきいてもらえてないことに気づいた三也は押し黙った。
幸弥の表情が和らぐ。
「蓮十郎、あんたもちょっと付き合いなさい」
「はい」
うれしそうにいそいそとにじり寄って、蓮十郎は綾之助の横にちょこんと正座する。
「よろしゅうお願いいたします」
三也が帰ったあとの稽古では、綾之助の出来は悪くなかった。
「あれ、綾ちゃん、ようできてるやん」
蓮十郎もうれしそうに綾之助の出来を認めた。
「それがなんで稽古やったらできませんの」
「それは……」
幸弥の問いかけに綾之助は思わず口ごもる。何を言っても言い訳になってしまう。
「申し訳ありません」
幸也は少し考える素振りを見せた。
「綾之助さん。今回の興行は、言うてあれやけど、たかが花形や。座頭もたかが蓮十郎や。顔見世で芯になった人が、なにを萎縮してるんや」
横で蓮十郎がうんうんとうなずいているのが視界のすみに映る。「たかが蓮十郎」と言われてうんうんうなずいているのもどうかと思うが、まあそれが蓮十郎の魅力でもあるだろう。
「あなたは目立つから、おもろないことも言われるやろうし、つらいこともあるやろ。でも、それを板の上に持ち込むようなら、私は今後一切あなたを使いません」
きっぱりと言い切られて、綾之助は言葉もない。
「お、お父さん、それはちょっと」
おろおろとする蓮十郎には目もくれず、幸弥は言い募る。
「ええか、綾之助さん。明日までによう考えてきぃや。こんなことが続くようでは困ります」
「えらいこっちゃやなあ」
幸也が帰ったあとも、その場に座り込んでいた綾之助に、蓮十郎が声をかけた。
「大切な蓮十郎さんの座頭興行にこんな無様な……えらいすんません」
「まぁ、しゃあないわなあ。綾ちゃんだけのせいとちがうしなあ」
あまり優しい言葉をかけないで欲しい。泣いてしまいそうだから。
「三也さんにも困ったもんやで。オレもな、部屋子時代には、あの人にめちゃくちゃされたもんや」
珍しく蓮十郎がちょっと嫌そうに言ったので、綾之助はびっくりしてしまった。彼はめったに人の悪口めいたことは言わない人である。
「そやったんですか。それは蓮十郎さんにもえらい迷惑をかけました」
相手役をする役者同士は、やはりある程度相性が良くないとやりにくいものだ。だからこそ元々は、小春の役は同門で蓮十郎に屈託のない知八だったのだ。
しかし、そんな綾之助の言葉を蓮十郎は一笑に付した。
「綾ちゃん。オレかて大部屋出身やねんで。相手選んで舞台に立つようなオシャレなこと出来るようになったんはつい最近や。どんなお人でも、舞台の上では世界一かわいらしい女に見えるもんや」
その言葉には、蓮十郎の役者魂の一端が垣間見られた。
「もちろん、綾ちゃんは舞台降りてもかあいらしぃで」
「はあ、ありがとうございます?」
礼を言うべき時なのかどうかもよく分からず、でも褒められたには違いないので、思わず疑問形で答えてしまう。
そう言えば、三也の演技は決してそう悪いものでもなかったのに、綾之助は今日一度も、三也の小春をかわいいと思えなかった。それは結局、人に心を乱されて、小春ではない、大竹三也という人間そのものを舞台の上でも見てしまったからだ。そんなことではいけない。幸弥が怒るのも当然である。
「蓮十郎さん、ありがとうございます。明日からはきっと、ご迷惑はおかけしません」
「おお、頼もしいこっちゃ! あんじょう頼んます」
蓮十郎は綾之助の肩を励ますようにぽんぽん叩いて、立ち去った。
0
あなたにおすすめの小説
オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?
中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」
そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。
しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は――
ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。
(……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ)
ところが、初めての商談でその評価は一変する。
榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。
(仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな)
ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり――
なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。
そして気づく。
「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」
煙草をくゆらせる仕草。
ネクタイを緩める無防備な姿。
そのたびに、陽翔の理性は削られていく。
「俺、もう待てないんで……」
ついに陽翔は榊を追い詰めるが――
「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」
攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。
じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。
【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】
主任補佐として、ちゃんとせなあかん──
そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。
春のすこし手前、まだ肌寒い季節。
新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。
風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。
何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。
拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。
年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。
これはまだ、恋になる“少し前”の物語。
関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。
(5月14日より連載開始)
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
寂しいを分け与えた
こじらせた処女
BL
いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。
昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。
2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~
青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」
その言葉を言われたのが社会人2年目の春。
あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。
だが、今はー
「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」
「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」
冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。
貴方の視界に、俺は映らないー。
2人の記念日もずっと1人で祝っている。
あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。
そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。
あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。
ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー
※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。
表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。
分厚いメガネ令息の非日常
餅粉
BL
「こいつは俺の女だ。手を出したらどうなるかわかるよな」
「シノ様……素敵!」
おかしい。おかしすぎる!恥ずかしくないのか?高位貴族が平民の女学生に俺の女ってしかもお前は婚約者いるだろうが!!
その女学生の周りにはお慕いしているであろう貴族数名が立っていた。
「ジュリーが一番素敵だよ」
「そうだよ!ジュリーが一番可愛いし美人だし素敵だよ!!」
「……うん。ジュリーの方が…素敵」
ほんと何この状況、怖い!怖いすぎるぞ!あと妙にキモい
「先輩、私もおかしいと思います」
「だよな!」
これは真面目に学生生活を送ろうとする俺の日常のお話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる