【R18】僕とあいつのいちゃラブな日々@U.S.A.

紫紺

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第12話 庭師のショーン

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 僕との何を見せびらかすつもりだったのか。佐山はあっさり前言を覆し、僕に上がれと言う。

「あいつにあんたを見せるのは危険だ。もうここはいいから上で仕事しててくれ」
「わかったよ。佐山達が仕事に集中できるなら、南極にでもいくよ」

 僕は呆れて踵を返す。

『ええっ! なんだよ、ドケチ野郎! リンの顔見せろよっ、減るもんじゃなし!』
「うるせえ、確実に減るわ!」

 いや、減らんだろ。普通に。僕は振り向かずにドアを閉めた。ジェフもアホに付き合ってないで仕事して欲しい。絶対面白がってる。

 こんなふうにやり合うと、絶対その夜、燃え上がっちゃうんだよな。もしかしてそれを見越してやり合ってんじゃないだろうな? それなら、まあ、いいか(なんちゃって)。
 僕としては、いい仕事してくれればそれでいいんだけどね。音楽もあっちも。あはは。



 広い庭の手入れをするのはとても僕一人じゃできない。週に1度、プロが来てくれる。放置して見かけを悪くするのはルール違反なんだよ。高級住宅地あるある。
 今日はその日だったのか、庭師さんが来てた。雨もいつの間にか止んで、僕の好きな青空が見えている。

「ご苦労様。今日は家にいるんで、珈琲でもどうですか?」
「ありがとうございますっ。じゃあ、お言葉に甘えて」

 まだ若い庭師さんだ。しかも日系だな。もしかしたら日本語話せるかも。ショートの黒髪で日に焼けてるけど整った顔立ち。この国だと未成年に間違えられそうだな(そういう僕もたまに疑われる)。

 キッチンにやってきた彼は、僕が出したスリッパに履き替えた。僕らは土足生活に慣れなくて、家の中は土足厳禁なんだ。

「あ、やっぱり日本からですよね」
「日本語大丈夫なの? えっと」

 いきなりの日本語。ここで日本語話すのは佐山とだけだから、なんだか新鮮だ。

「あんまり得意じゃないですけど。母が日本語話します。あ、ショーンって呼んでください」

 僕らが日系であるのは名前からわかっていたようだが、今まで顔を合わすことがなく、日本から来たかは知らなかったと言う。
 お母さんのふるさとが九州で何度か里帰りをしたことがあると彼。でも、音楽にはあまり興味がないそうで、残念ながら佐山の名前は知らなかった。

「でも、ギタリストってカッコいい。憧れます」
「ありがとう。でも、変態だよ」
「え? あはは」

 お父さんと同じ庭師の道を進んだショーン。実は州立大学を出たインテリだ。一時会社勤めもしたらしいけれど、自分の頭と手と自然で造る今の仕事が好きだと笑った。
 クリエイティブな点では音を司る佐山と同じだな。短い間だったけれど、楽しい時間を過ごせた。



「腹減ったあ。あれ? 誰か来てたのか?」

 地下から佐山が上がってきた。時間を見ればもう昼過ぎだ。テーブルに置いたままのお菓子を掴んで口に放り込んだ。
 集中して作業出来たようだな。顔に充足感が溢れてるよ。

「ああ、庭師さんがさ、日系の人で話し込んでた」

 僕は昼ご飯用のサンドイッチを佐山の前に出した。

「うお、美味そう。へえ、そうなんだ」

 豪快にかぶりつく。こういうところも好きなんだよな。

「ジェフとのセッションはもう終わったのか?」
「ああ、続きは明日だ。ま、リモートでも十分なんだけど、他の連中の意見も聞きたいしな」

 僕がジェフの名前を口にするだけでムッとした表情を見せる。でも口角が微妙に上がってるから上手くいったんだろうな。

「別に無理して不機嫌にしなくていいぞ。僕は……おまえしか見えないから」
「え……それは、そうか。へへっ……。でも油断は禁物だ。あいつは油断ならん」

 照れ隠しなのか、緩めた唇を無理に窄めてる。僕は佐山の傍に椅子を動かし、コーラを飲むあいつの頬にキスをした。

「な、なんだ?」
「なにも。キスしたくなっただけだよ」

 おまえがあんまり可愛くて、愛しくなったんだよ。

「おかわり……」

 あいつが僕の顎をくいっと持ち上げる。優しいキスが降ってきた。互いの唇で食み合うと、あいつの舌が割り込んできた。コーラ味が僕の舌に伝わってくる。

「ヤバい……おかわりが止まらない……」

 吐息交じりであいつが囁く。困った奴だな。おまえの低くて甘い声が耳をくすぐるから、僕はいくらでもおかわりをさせてしまうんだ……。


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