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第29話 ふしだらな僕
しおりを挟む温泉と言っても、日本の温泉旅館というよりバリなんかのリゾートホテルに近い。お洒落なホテルにプール(温泉プールもある)、所謂ホットスプリングでスパも併設されゆっくりマッサージを受けることもできる。
アメリカでは有名なリゾート地だから、見て回るお店もたくさんあるし、佐山の目当てであるライブハウスも週末にはライブがあるはずだ。僕らは土曜日にチェックアウトするから、金曜の夜に覗くつもり。
「おーい、とりあえずプール行こうか」
「了解。準備するから待って」
ホテルのクローゼットに荷物を手早く解き、水着を引っ張り出した。佐山はベッドルームでさっさと服を脱いでいる。
「ここのベッドルームもいいな。むふふ」
スケベ丸出しの笑い方……思わず赤面するよ。
白い壁にエモーショナルな写真がいくつか飾られている。ベッドカバーのデザインも洒落てるや。確かに映える寝室だな。
「倫―」
「なんだよ。プール行くんだろ?」
水着を持つ僕の腕をむんずと掴み、ベッドに誘う。あいつはもう上半身裸だから、話が早いよな。
「プールは逃げないから……」
「僕も逃げないけど」
「いいからっ」
柔らかいスプリング。僕はふんわりと跳ねて転がされた。四つん這いになり、嬉しそうに見下ろすあいつ。鼻の下が伸びで口角がびろーってなってる。
ふう。だけど、こんな締まりのない顔も好きなんだよ。僕も病気か変態なんだろうなあ。
「車では我慢してたんだからな」
偉そうに言ってる。我慢するのは当たり前なんだけど。笑える。
「あ、なんだよ。何がおかしいんだよ」
「可愛いって思ったんだよ。ほら、早く抱いてくれよ」
僕はすっと手を伸ばし、あいつの頬に触れる。一瞬キョトンとしたような表情から見る見るうちに鼻の穴が広がる。さっと顔が赤くなったのが見えた……ような気がした。
「ゆ、許さんっ」
「うわっ……んんっ」
なんかそんな単語が耳を掠めたのと同時に、佐山が僕に突進してきた。全てを吸い尽くすようなキスが僕を痺れさせていく。
「あ……や……うんっ」
破り捨てんとばかりの乱暴な仕草で僕の服を剥ぐと、ショーツも一気に脱がされた。
唇で息を奪ったまま、僕の腰を抱く。敏感なところにくねくねと指を滑らせ、僕はたまらなくなって身を捩る。
「ううん……あん……」
ココナッツのような甘い香りが鼻腔をくすぐる。あいつ、いつの間にオイルを準備してたんだろう。
「さや……ま……」
「あんな……ふしだらな顔するな……」
「え……?」
唇が触れ合う近さで、呻くように佐山が言う。
「俺にだけだ……俺にだけにしか見せるなよ」
耳の後ろから首筋を甘噛みするように唇を這わせる。僕は息も絶え絶えになりながらあいつにしがみついた。許さんと言ったのは、そういうことか。僕、どんな顔してたんだろう。
「わかって……る……あっ……」
右腕に僕の足を抱える。魔法の指が僕を翻弄して臨界点へと誘っていく。
「さやま……早く……」
「欲しい……か?」
わかってるくせに聞くなよ。
「ばか……焦らすな……んっ!」
体中に電流が流れる。ピクンと体が跳ねるのを佐山が抑えるように抱きしめた。僕はあいつの背中に爪を立て極上の時を迎えた。
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