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第60話 ベガス! その1
しおりを挟むベガス旅行前日まで、佐山は撮影所スタジオでの仕事の傍ら、日本の雑誌取材(もちろんリモート)、ラジオ録音などプロモーションをこなして頑張った。
コンペ用の作曲もあって直前までほぼ休みなしの状態だったが、ベガスを餌に走り続けてもらったよ。
「よぉし、出発だー!」
しかし、そんな激務をもろともしない元気なあいつは、空港に向かう車の中で雄たけびを上げた。
「元気だなあ。僕は結構へとへとなのに」
佐山ほどではないけど、僕もSNSの作成や深夜の打ち合わせで激務だったんだ。
「俺は喜びがあればいくらでも走れるからな。大丈夫か? 飛行機で寝るか?」
やれやれ。飛行時間は1時間強だ。今回はエコノミー。
「おまえが寝かせてくれたらな」
「え? えへへ。どうかなあ」
なんて三日月を横にしたような目で僕を眺め見る。スケベオヤジかよ。
けど、あいつも寝不足なのは同じだった。席に座った途端、シートベルト締めもせず寝入ってしまった。
おかげで僕もぐっすり眠れたよ。着陸の衝撃でお尻を叩かれるまで全く気付かなかった。
空港には僕らが泊まるホテル直行のバスが待っていた。佐山はいつものようにアコギ持参。
スーツケースとギターケースを積み込んでいざ、快楽? の街へ。
「わあ。映画で見たまんまだー」
ハリウッド映画ではおなじみの場所だ。僕が好きな映画で何度も見たホテルや名所が次から次へと視界を奪う。
「んん。壮観な眺めだな……」
閉じた窓に額をつけんばかりの僕の後ろから、佐山が腰を抱きつつ肩に顎を乗せてきた。
「そうだろ? ワクワクするな」
「俺はワクワクしてるあんたを見て興奮してる」
なんて言って、さらに体を密着させる。バスには他のお客さんも乗ってるのに本当に人目を憚らない奴だな。
でも、周りも僕らのことなんか目に入ってないようだ。大きな歓声とともに窓の外を指さし騒いでる。僕らも大概田舎者だけど、ここに来る人はファッショナブルなセレブばかりじゃないらしい。
「今日の予定は? まずはカジノだよな?」
監督のロバートが良く使うホテルを紹介してもらった。
高級ホテルだったからスタンダードがやっとだったんだけど、彼のおかげでグレードアップされててすごくいい部屋だ。かの有名な噴水が窓から見えるんだ。
「もちろん。おまえの希望は百も承知だよ」
「愛してるよー。でも、その前に……」
ラスベガスは眠らない街だ。まだ日の高いうちから慌てる必要はない。
佐山はキングサイズのベッドに僕を沈め、愛でるように見つめる。熱いキスが注がれると僕はまたチーズのように蕩けていく。
――――もちろん、これも想定内だよ……。
あいつの大きな手が僕の体を這いまわる。
「あ……はあっ……」
僕はあいつの大好物な声を上げ、その全てを受け入れた。
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