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第76話 貪欲
しおりを挟むあいつが馬鹿なことを言い出したので、それから僕は寝室をこっそりチェックすることにした。まさかと思うがカメラの設置はしてないだろうなって。
毎日撮影所に行って、カメラマンとも親しくなってる。やり方を教えてもらってても不思議じゃない。
「なにやってんの?」
後ろから問われて、僕は普通にびくついてしまった。見つかっても、別に悪いことをしてるわけでもないのに。
「いや、別に」
そう答えたんだけど、めっちゃ不自然に声が裏返ってしまった。
「あー、そうかそうか」
「なにがそうかだよっ」
あいつがスケベ笑いを湛えながら、僕に近づいてくる。きゅっと抱きしめて耳元で囁いた。
「カメラ探してたんだろ? 可愛いなあ、そういうとこホントに。わざとやってんのか?」
わざとじゃないよっ。でも言われて顔がかあっと熱くなる。
「おまえが、変なこと言うから……」
あいつの逞しい胸にぐいぐい押し付けられながら、僕は言い訳する。なんで僕が恥ずかしがらないといけないんだ。
「ん? 変なこと? あんたもやってみたいんじゃないのか?」
「そんなわけないだろっ。おまえじゃあるまいし……」
佐山は狼狽える僕を楽しむように頬ずりをする。くいっと顎に手をかけると上を向かせた。
「あざといなー。天然でやってるとしたら、罪深いよ」
言いながら、セクシーな唇を寄せてくる。人前にそれを平気に晒してるおまえのほうが何倍も罪深いよ。いっつも目を奪われてるんだから。
「んんっ」
だけど、その唇で責められると、僕はなんにも言えなくなってしまう。艶めかしく蠢く舌を入れられ、全身が熱に覆われてとろとろに溶けていく。
「今日はこれで勘弁しろ」
佐山はスマホを取りだし、ベッドサイドに置いた。録画ボタンを押す。
「ば、馬鹿、佐山……」
慌ててスマホに手を伸ばすが、佐山にその手を掴まれもう一度抱き寄せられた。
「俺に誤魔化さなくてもいい。素直になれ」
色気が溢れる眼差しに胸がきゅんとなった。僕はどうしたかったんだろう。絶対に録画なんてしたくなかったはずだ。素直になれって、ってことは、抵抗しなくちゃ……。
「今日はどうやって可愛がろうかな……あんたの声もいっぱい入れたいし」
僕をベッドに押し倒し跨ると、そんなセリフを囁く。
唇の下の凹みを親指で押すと、僕の口は何のためらいもなくぱかんと開いてしまった。佐山はそこにまた甘いキスを降らせる。抵抗しようとした腕に力が入らない。
「ずるいよ……おまえは」
デコルテを愛撫するあいつに、僕はため息交じりでそう吐いた。
「ずるくない。あんたを喜ばしたいだけだ。そのためなら俺はどこまでもどん欲になれる」
ぞくぞくと体が震えてくる。駄目だ。僕の中で疼く欲望はあいつの意のままだ。それとも、あいつが言うように、これが僕の素直な心なんだろうか……。
「あ……ああっ」
いつの間にか赤い録画サインも頭から消え、あいつに溺れていく。お望み通り、たくさんの喘ぎ声を上げて。
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