【完結】嘘はBLの始まり

紫紺

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TAKE 13 秘密の関係

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『役柄と同じように、秘密にしような。俺達の関係w』

 シャワーを浴びてベッドに転がっていると、享祐からメールが来た。最後にwが付いている。
 うん。そうだな。相馬と駿矢も自分たちの関係を隠しているんだ。駿矢はどっちでもいいんだけど、大事な跡取り息子である相馬亮はそういうわけにはいかない。
 もし、バレてしまったら、たちどころに引き離されてしまう。最悪、どこかの令嬢との結婚を勝手に進められると怯えていたんだ。

 ――――まあ、僕らも本気の関係だったら、同じようなもんだな。イメージ的にはマイナスだろう。

 なんでもいいから売りたい僕の事務所はともかく、享祐の事務所、特に敏腕マネージャーは許さないだろう、絶対に。『役作りのため』と言っても、難色を示すかもしれない。

 ――――だけど、秘密の関係とか、刺激的だー。萌ゆるよっ。

 それでも今夜、あんなにロマンティックなシチュエーションなのに享祐は何もしてこなかった。ただ抱きしめるだけで。
 まだ二話めの本が来てないからな。それとも、いきなり積極的になった僕に戸惑ったとか? ううむ。

 ――――なんだ、僕は……。結局キスして欲しいと思ってたってことか?

 ベッドの上、一人で体を熱くする。頭も顔も……色んなところが熱くなって反応してる。

「いかんっ! これはお芝居の延長なんだ。憑依型だって、どこかでそれを客観的に見る自分がいなくてはっ」

 悪夢に覚めたごとく飛び起きた僕は、誰もいない部屋で叫んでしまった。
 


 翌日、CM撮影の現場に行くと、マネージャーの東さんがニコニコ顔で出迎えてくれた。

「脚本、出来上がって来たのでお渡ししますよー」
「あ、ありがと」
「絶好調ですよね。私も次回が待ち遠しくて」
「え? ほんと? 僕の演技、大丈夫かな」

 撮影用のメイクを施してもらいながら、鏡越しで東さんの顔を覗き込む。
 小柄でぽっちゃりした容姿で、人当たりがいいマネさん。丸顔をさらに丸く膨らませて頷いた。

「引き込まれましたよ。男の私でもこうだから、女性ファンにはたまらないでしょう。これは私見ですけど、原作ファンにも絶対受け入れられると思いますよっ」

 全くの私見だな。しかも希望的観測の。
 そうなんだ。僕が怖いのは『原作ファンの皆様』。今までどれほどの実写化ドラマの俳優がコテンパされたか。漫画でも小説でも、そのハードルは富士山ほど高い。今回はまだ小説だからマシかもだけど、僕はとてもビビってる。

 ただ、SNSを覗いた感覚では、思ったほど悪くなかった。特に享祐さんはイメージぴったりと言われてるんだ。それはそうだろう。原作者は、享祐をイメージして書いたと公言してるんだから。

「ネットで見たんですけど、越前さんだけでなく、伊織さんの前評判も悪くないから心配しすぎることはないですよ」

 僕の気持ちを察してか慰めてくれた。本当にそうだと有難いんだけど……。僕はこのごろ怖すぎてエゴサしてない。

 ――――でも恐れずに行こう。これから実生活でも享祐の恋人になるんだ。嘘の恋人だけど、本気でぶつかるんだ。




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