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TAKE 38 インタビュー
しおりを挟む「絶好調とお呼びしていいかと思います。『最初で最後のボーイズラブ』、現在放映は第7話までですが、撮影はどこまで進んでますか?」
急に決まった情報番組のインタビュー。スーツを纏った女性アナウンサーがにこやかに問いかける。
僕らのネットテレビと提携してる局だからだけど、話題になってるからこそだ。やっぱりあの記事はプラスになっているんだなあ。複雑。
「最終回を残すばかりだよな」
「はい。第9話までは撮り終えました」
一人座りの椅子を並べ、インタビュアーとハの字型になっている。享祐が真ん中で僕がその斜め横といった具合だ。
二人とも衣装さんから手渡された役柄通りの服装。享祐はブランドスーツで僕はパーカーにデニムのユニシロスタイルだ。
「現場の雰囲気はいかがですか?」
「いいよ、すごく。監督が元気な方だから、こっちも頑張ろうって思えるし。俺ら俳優陣のみならず、スタッフさん方とも仲良くなって楽しいんだ」
「いいですねえ。三條さんはいかがですか? 皆さん、初めての方ばかりかと思いますが」
「はい。でも凄く助けられています。特に越前さんには、色々教えていただいて。本当にこのチームに入れて良かったって思ってます」
「おまえ、俺の差し入れ目当てで言ってんだろ、それ」
「あ、わかりました?」
「差し入れって、どんなですか?」
「毎回凄いんですよ。越前さんの差し入れ。この間は有名焼き肉店の焼き肉定食でした」
「おーっ! それは凄いー。私も食べたいです」
どっと笑いが起こる。場が和んだようだけど、ここからが怖いんだ。今回のインタビュー、悪意はないとしても、聞きたいことはわかってた。
「ところで……京都のロケでは思わぬショットが流出しましたが……」
――――来た……。
「流出っ。いやあ、まあそうかもしれないなあ」
だけど、身構えることもなく自然な笑顔のまま、スマートに受け答えする享祐。さすがだ。
「バスローブなんかでウロウロするから。高級ホテルに泊まれなくなるよ?」
なんて僕も混ぜっ返す。
「着替えるのが面倒だっただけなんだけどね。鬼のマネージャーに怒られました」
この業界で青木さんのことを知らない人はいない。やや肩を落とすリアクションに、思わずアナウンサーも噴き出した。
「ハッシュタグ駿矢と相馬はリアルでも付き合ってるか。にはどう思われてますか? 三條さん」
その笑いが消えないうちに、いきなり僕にターンが回って来た。何を狙っているのかはわからないが、固くならないよう気を付けなければ。
「ああ。僕は覗いてないんですが……なんか楽しそうでいいなと」
「好きにやってくださいみたいな感じですか?」
「そうですね。僕としては……越前さんとそういう関係と思われるのも光栄です」
「光栄かあ? ま、俺も悪くないよ。可愛いんだよ、伊織は。神崎さんもそう思うでしょ?」
畳みかけるように享祐が入ってきた。アナウンサーの名前を呼ぶと、彼女は明らかに嬉しそうに目をくるくるさせた。
「はい。すごく。なんか嫉妬しちゃいます」
「ええ? そんなあ。女の子を敵に回したくはありません」
――――敵には回したくないよ。でも、享祐は誰にも渡さない。そう、言いたい。
すぐそこに享祐の左手があった。肘掛に置かれたそれは、薬指に指輪をしてる。これは享祐のではなく、『相馬亮』の指輪だ。役なのに、僕はその指輪が嫌いだ。
「では、お二人のリアルはいかがなんでしょう」
「うふん。もちろんそれは……」
「それは?」
僕は隣で愛想笑いを浮かべる。この後の言葉はお決まりだし、享祐が今まで言ってきたのと同じだ。今までだって、共演女優さんと噂がなかったわけじゃないんだ。
「秘密です」
唇に人差し指を立て、パチンとウィンクする。アナウンサーも重々承知の仕草だけれど、少し頬が赤くなったのがわかった。
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