【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】

紫紺

文字の大きさ
19 / 111

第18話 寝言

しおりを挟む


 昨夜のあれは何だったんだろう。僕の寝たふりは意外にも長く続かず、結局再びやってきた睡魔に夢の世界に連れていかれた。
 そこで見た夢は……目が覚めた時、思わず僕は自分のパジャマに手を触れさせた。

 ――――良かった。パジャマ普通に着てた(ちなみにどんな夢を見ていたかは内緒だ)。

 こっそり寝返りを打ち、すやすやと寝息を立てる晄矢さんを覗き見る。まだ6時にはなってないと思うけど、熟睡状態のようだ。彼は天井を真正面にとらえ仰向けに寝ている。両腕は上布団の上に行儀よく置かれていた。

 ――――今朝はまだ寝てていいのかな。昨日、1時過ぎてたもんな。

 弁護士は激務と聞いていたが、マジなんだなと思う。けど、それは僕も覚悟のうえ、というか願ったりだよ。働いてないとなんだか不安になる。根っからの貧乏性なんだね。

「う……んん」

 おっと、晄矢さんが寝返りを打ってこちらを向いた。僕は慌てて布団をかぶって天井を仰ぐ。
 梅雨入り間近、この頃の朝は早くて、カーテンの隙間からもう日の光が漏れ始めている。深緑色の落ち着いた天井に洒落たデザインのライトがぶら下がっている。
 僕は自分の学生用アパートの無味乾燥な電灯を思い出す。

 ――――なんだか場違いな世界に来ちゃったんだな……。

 改めて思う。もそもそと隣で晄矢さんが動いている。もしかしたらもう起きるのかもしれない。

「りょう……」

 え……。今、僕のこと呼んだっ? 僕は首だけを晄矢さんに向けた。目の前に彼の大きな手が迫ってきてる。

 ――――ひえっ!

 晄矢さんはまだ寝てる。寝ぼけてるんだろうけど、怖いよっ。僕は自然に体を左へとずらす。ベッドの端に体がかかって落ちそうになった。
 もう無理。ドキドキして仕方ないし、とっても眠れそうにないっ!

 ――――だめだ。起きよ。

 僕は寝るのを諦めてそっとベッドから抜け出た。スマホを覗いたら5時半だった。そうだ、シャワーを浴びて勉強しよう。これがあの、噂に聞いた朝シャンか!? 
 高校生の時、意識高い系男子が朝から髪を洗ってきたとか言ってた。そんな朝早くから銭湯開いてるのかと思ったらそうじゃなかった。みんなにめっちゃ笑われた苦い思い出だ。

 さっきまで晄矢さんの寝言にドキドキしたのも忘れ、僕はバスルームに直行をした。

 しかし、この後僕は更にドキドキすることになる。全く朝から刺激が強すぎるよ……。



しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

地味メガネだと思ってた同僚が、眼鏡を外したら国宝級でした~無愛想な美人と、チャラ営業のすれ違い恋愛

中岡 始
BL
誰にも気づかれたくない。 誰の心にも触れたくない。 無表情と無関心を盾に、オフィスの隅で静かに生きる天王寺悠(てんのうじ・ゆう)。 その存在に、誰も興味を持たなかった――彼を除いて。 明るく人懐こい営業マン・梅田隼人(うめだ・はやと)は、 偶然見た「眼鏡を外した天王寺」の姿に、衝撃を受ける。 無機質な顔の奥に隠れていたのは、 誰よりも美しく、誰よりも脆い、ひとりの青年だった。 気づいてしまったから、もう目を逸らせない。 知りたくなったから、もう引き返せない。 すれ違いと無関心、 優しさと孤独、 微かな笑顔と、隠された心。 これは、 触れれば壊れそうな彼に、 それでも手を伸ばしてしまった、 不器用な男たちの恋のはなし。

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

俺が王太子殿下の専属護衛騎士になるまでの話。

黒茶
BL
超鈍感すぎる真面目男子×謎多き親友の異世界ファンタジーBL。 ※このお話だけでも読める内容ですが、 同じくアルファポリスさんで公開しております 「乙女ゲームの難関攻略対象をたぶらかしてみた結果。」 と合わせて読んでいただけると、 10倍くらい楽しんでいただけると思います。 同じ世界のお話で、登場人物も一部再登場したりします。 魔法と剣で戦う世界のお話。 幼い頃から王太子殿下の専属護衛騎士になるのが夢のラルフだが、 魔法の名門の家系でありながら魔法の才能がイマイチで、 家族にはバカにされるのがイヤで夢のことを言いだせずにいた。 魔法騎士になるために魔法騎士学院に入学して出会ったエルに、 「魔法より剣のほうが才能あるんじゃない?」と言われ、 二人で剣の特訓を始めたが、 その頃から自分の身体(主に心臓あたり)に異変が現れ始め・・・ これは病気か!? 持病があっても騎士団に入団できるのか!? と不安になるラルフ。 ラルフは無事に専属護衛騎士になれるのか!? ツッコミどころの多い攻めと、 謎が多いながらもそんなラルフと一緒にいてくれる頼りになる受けの 異世界ラブコメBLです。 健全な全年齢です。笑 マンガに換算したら全一巻くらいの短めのお話なのでさくっと読めると思います。 よろしくお願いします!

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。

しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。 基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。 一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。 それでも宜しければどうぞ。

【完結】婚約破棄された僕はギルドのドSリーダー様に溺愛されています

八神紫音
BL
 魔道士はひ弱そうだからいらない。  そういう理由で国の姫から婚約破棄されて追放された僕は、隣国のギルドの町へとたどり着く。  そこでドSなギルドリーダー様に拾われて、  ギルドのみんなに可愛いとちやほやされることに……。

僕を惑わせるのは素直な君

秋元智也
BL
父と妹、そして兄の家族3人で暮らして来た。 なんの不自由もない。 5年前に病気で母親を亡くしてから家事一切は兄の歩夢が 全てやって居た。 そこへいきなり父親からも唐突なカミングアウト。 「俺、再婚しようと思うんだけど……」 この言葉に驚きと迷い、そして一縷の不安が過ぎる。 だが、好きになってしまったになら仕方がない。 反対する事なく母親になる人と会う事に……。 そこには兄になる青年がついていて…。 いきなりの兄の存在に戸惑いながらも興味もあった。 だが、兄の心の声がどうにもおかしくて。 自然と聞こえて来てしまう本音に戸惑うながら惹かれて いってしまうが……。 それは兄弟で、そして家族で……同性な訳で……。 何もかも不幸にする恋愛などお互い苦しみしかなく……。

バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?

cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき) ひとつ問題があるとすれば金欠であるということだけ。 「そうだ、バイトをしよう!」 一人暮らしをしている近くのカフェでバイトをすることが決まり、初めてのバイトの日。 教育係として現れたのは……なんと高二の冬に俺を振った元カレ、三上 隼人(みかみ はやと)だった! なんで元カレがここにいるんだよ! 俺の気持ちを弄んでフッた最低な元カレだったのに……。 「あんまり隙見せない方がいいよ。遠慮なくつけこむから」 「ねぇ、今どっちにドキドキしてる?」 なんか、俺……ずっと心臓が落ち着かねぇ! もう一度期待したら、また傷つく? あの時、俺たちが別れた本当の理由は──? 「そろそろ我慢の限界かも」

処理中です...