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第21話 コンビニバイト
しおりを挟む4時半起床。15分で準備して、アパートを飛び出した。ご飯はコンビニの休憩中に食べる。これから午後2時までが本日のシフトだ。
僕は創作活動が基本、夜なので、早朝や午後10時までのシフトは入るが深夜はやらない。そこはもっと若い、学生たちの持ち場なのでそれで問題ない。
「おはよう」
「おはようございます。田中さん」
深夜シフトの学生二人と挨拶をする。昔は深夜は一人で入っていたが、今は物騒でそれが出来ない。
客は少ないから一人でも十分なのに、コンビニ業界のしんどいところだろう。そのため荷下ろしや陳列、掃除は深夜の仕事になっていた。まあ、時給はいいからな。
「申し送りはなかった?」
「はい、大丈夫です。あ、なんか真夜中に、見慣れない外人さんが来ましたよ」
外人? まさかトーゴー……は、日本人だったか。
――――まさかラメリアの関係者じゃないよな。まあ、この辺りも外人さんが増えてはきてるけど。
「そう。了解。じゃあ、もうここはいいよ」
二人を帰らせたと同時刻に、本日の相方、パートさんもやってきた。6時を過ぎると、学生やサラリーマンでごった返す。僕らは毎度の作業を手際よく進めていった。
10時前後になると来店客はまばらになる。その隙に、おにぎりやドリンクを追加投入する。
「田中さん、休憩していいよ」
「あ、はい。じゃあ、お先に」
昼前にもう一人パートさんが入るので、僕はそこで休憩をもらった。奥に入り、朝飯兼昼飯のおにぎりと揚げたてのコロッケを頬張った。
「田中君、ちょっといいかな」
「あ。店長。どうかしましたか?」
立ち上がろうとした僕を、店長が押しとどめる。このコンビニの店長は、10年前に30代半ばで脱サラし、フランチャイズ契約を経てこの場所にコンビニを開店した。
近くに大学や高校、それに工場があるので普通に繫盛している。若くてエネルギーの塊だった彼も、今はすっかり落ち着いたおじさんだ。
「ああ、実はさ。田中君とよく組んで入ってた風見さん、事故にあっちゃって」
「ええっ! 大丈夫なんですか?」
風見さんは定年退職後にここにバイトに入ったちょっと変わり種の方だ。最初は慣れない仕事に戸惑っていたけれど、丁寧だし、今では学生バイトよりずっと頼りになる。
僕同様、深夜は無理なので、必然的にシフトがよく一緒になっていた。
「うん、それは大丈夫。肩を強く打っただけで、大したことはないみたい」
僕は胸をなでおろした。自転車で走っていての事故で、転んで肩を打ったらしい。スピードが出ていなかったので軽傷で済んだようだけど、若くはないし、しばらくお休みするとのことだった。
「それでさ、至急一人、バイトを見つけたいんだけど、風見さんの復帰する場所は確保していてあげたいし。で……ひと月くらいの短期バイト、誰か心当たりいないかな」
「あ、はあ……」
昼間だと学生バイトは難しい。結局、僕が面倒をみることになるので、もしいい人がいればと店長が言った。
――――いつもなら、そんな都合のいい人物がいるわけがない。すみませんと謝るところなのだけど……。
あまりにもタイミングが良すぎるオファーではある。やっぱり王族となれば運にも恵まれているのかもしれない。
「心当たりならあります。今日帰宅したら、聞いてみますよ」
この運が幸運なのか不運なのか。この時にはまだわかってはいなかった。
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