王子様と一緒。

紫紺

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第100話 お手柄

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「今日は大活躍だったな、アスラン。ショウもだけど」

 バイト終わりの帰り道、珍しくトーゴーが僕たちの隣にやってきた。

「え? ああ、ていうか、最初は私もおじいさんの言ってることがわかんなくて。助けを求めに行っただけなんだよ。本当に活躍したのは野々宮さんとショウだよ」

 アスランは謙遜してそう言うが、お金を下ろすことだけ教えていたら、詐欺に気付かなかったかもしれない。お手柄には違いないよ。

「功労者には間違いないよ。よく気付いてくれた」

 僕がそう労うと、アスランははにかんだ笑顔を向け、

「でも……おじいさんが騙されなくて良かった……本当に」

 呟くように言う。こういうところアスランらしいな。



 ATMの前で右往左往している間に、近くの駐在所から警察官がやってきた。アスランが手早く説明すると、まだ事態を飲み込めてない杉崎老人に警察官が話しかけた。

「あれ、杉崎さんじゃないですか。なんか、悪い人に騙されかけたみたいだねえ」
「お巡りさん、ワシは騙されたんか?」
「ほら、電話で聞いてごらんよ」

 孫の卓君は大学生。現在、東海地方のアパートにいるらしい。なんの問題も起こしてないと説明し、ようやく納得したようだ。
 そのうえで、警察官が弁護士という相手に電話したが、誰も出ることはなかった。

「この番号は弁護士事務所なんかじゃないですよ。おじいさん、良かったね。コンビニの人たちが気付いてくれて」

 杉崎老人は現金で200万円を下ろし、受け取りに来た人物に渡すよう言われていた。その人物はニセ卓が言うには、友人ということだった。

「ということは、この近くにそういう悪いことを企む連中がいるってことよね。気を付けないとお」

 とは野々宮さん。まあ、本日の最功労者は彼女で間違いないだろう。
 杉崎老人は、知らせを聞いてやってきた家族とともに帰宅した。御老人には、後日落ち着いたらまた話を聞きに行くそうだ。
 事なきを得て良かったけど、僕はそこで、ようやく思い出したことがあった。



「なあトーゴー。気付いてたかな。その、駐車場にいた……」

 アスランに聞こえないよう、トーゴーに耳打ちする。

「あ? そうだな。ショウも知ってたのか……」
「ああ。チラッと見えたんだ。思い出したのはことが終ってからなんだけどね。関係、あると思う?」
「さあ、どうだろうな……だが、明らかに様子は変だった。誰かにボコられた感じだったしな」

 ――――ボコられたあと……どういうことだ。

 あの時、アスランが僕を呼びに来た時、僕は確かに見たんだ。駐車場に停まった車の陰に隠れるようにしていた、あの男。中垣内の姿を。


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