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第124話 激闘 1
しおりを挟む思わず刺青男が弄っていたスマホを落としそうなった。今にもドアが壊れそうになるほどの音。もしかすると実際にドアをけ破るつもりだったのかもしれない。
「なんだあ? いったい何事だっ」
男はナイフを手に、ドアに向かおうとした。だが……。
「ウゲッ!」
「え!?」
さっきまで煙草を吸っていたはずの大柄な男が音もなく現れ、あっという間に刺青男の後ろ首に手刀をお見舞いして倒してしまった。そして、間髪入れずそいつをバスルームに放り込む。
「な、なにっ?」
目を丸くするアスランの前で、男は黒の革ジャケットを脱ぎ去った。そして顎に手を置くと、はぎ取るようにして上にあげる。
マスクもサングラスも帽子もいっしょくたになって剥ぎ落された。
「アスランッ、行けるか!?」
「う、うんっ! もちろんだよ、トーゴー!」
目の前に立っていたのは、紛れもなくトーゴーだった。大柄な男は彼の変装だった。
太って見えたのは、革ジャケットが綿入れになっていたから。相当暑かっただろうに、相変わらず汗もかいていない。
「連中はドアをけ破るつもりだ。窓から逃げる。急げ!」
トーゴーはカーテンを開けた。既に縄を切っていたアスランは、トーゴーの指示通り、窓を開ける。
窓には丸い小さな円が抜かれていた。さっきのナイフは、ここから中に入れられたのだ。
「開いたぞっ! 王子を捕まえろ! 見張りは殺していい!」
アスランが窓枠に足を掛けた時、もの凄い轟音とともに怒声が響いた。奴らが入ってきたのだ。
「チッ、アスラン、隠れてろ」
トーゴーはテーブルをガッと掴むと、乱入してきた1人目の男に投げつけた。
「うわあっ!」
反対側の壁にテーブルごと転がっていく。その声が引き金になったのか、男たちは一斉に銃を抜いた。チャッという独特の音がする。先ほどとは違い、部屋は息をする音すらしない。
――――トーゴーは丸腰なのに……。
アスランはソファーの背後に身を隠しているが、気が気ではない。けれど同時に、アスランはいつかトーゴーに言われた言葉を思い出していた。
『おまえが俺の命を心配する必要はない』
――――トーゴーを信じる。私を守ってくれるのは、あなただけだ。
恐る恐る、銃を掲げながらリビングに入ってきた男を、トーゴーは一瞬にして制圧する。慌てて背後の男たちが銃を放つが、奥の壁に穴をあけただけだ。
――――あと3人か……。
ぶっ倒した男の銃を持ち、壁に背中をつけるトーゴー。緊迫の攻防が始まっていた。
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******
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