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第126話 激闘 3
しおりを挟む二人は非常階段から降りると、駐車場に向かった。そこに車が置いてあるとのことだ。
「おっと、ちょっと待って」
トーゴーは跪くと、ボトムスの裾を上げた。
「携帯電話?」
「ああ、俺は持たせてもらえなかったからな。非常用にここに隠していたんだ」
「人質救出を連絡しないとね。あ、あれ?」
トーゴーが携帯を手に立ち上がった時、アスランがさっとそばを離れた。
「アスラン? あ、おいっ! 行くな! 止まるんだ、アスラン!」
「ザイカム中尉! よくここがわかりました……ね……」
駐車場の黒いバンの横に、スーツを身に纏ったザイカム中尉がいた。鞄は持っていない。両手をポケットに突っ込んで立っていた。
アスランはそこに向かおうとして、足を止める。トーゴーの声が聞こえたのもそうだが、彼の横にある車に見覚えがあったからだ。
「まさか……中尉……」
「やあ、王子様、ご無事でなりよりです。さすが忠犬トーゴー。やはり侮れませんな」
「て……めえ」
ザイカムがポケットから手を出そうとしたその時、それよりも早く、トーゴーが銃を構えた。
「やめろ。間に合わないよ」
「フン……普段は銃を使わないくせに……」
恨めしそうにザイカムはポケットから手を抜いて肩の位置まで上げた。
「何故です。ザイカム中尉。あなたほどの方が、どうしてこのようなことを」
アスランは悲痛の表情で中尉に問う。日本でのオタク丸出しの彼ではなく、紛れもなく王子としての威厳を持って。
「甘いんですよ。あなたのお父上も兄上も。レアアースの利権を国に全部預けるなんざ、正気の沙汰じゃない。私はフィリップ殿下に忠誠を誓ったんです」
「なに言ってる。結局金が欲しかったんだろ? あんた、闇カジノで酷いことになってるらしいじゃないか」
銃口はまだザイカムから外さず、トーゴーが言った。彼が怪しいことは、拉致事件が起こる前からわかっていた。
スパイを探すなんて嘘八百。自分自身がアスランやジョルジュ王子を亡き者にしようと画策するフィリップ殿下のスパイだった。
「スパイなんて見つかるはずもないよな」
「残念です……ザイカム中尉」
肩を落とすアスラン。トーゴーはザイカムを拘束するべく、歩を進めた。
――――妙だな……。ザイカムに余裕があるように見える。観念しただけか?
その時である。黒いバンの少し後ろに停めてあったもう1台の車から、男が1人飛び出してきた。
「なに!?」
背の高い黒スーツ、角刈りの男。その手には銃があった。
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