雑に学ぶと書いて雑学 ~昨日より今日の自分が少し賢くなるかもしれない~

雲条翔

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その256.胡蝶の夢、邯鄲の夢

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 やたらとリアルな怖い夢を見て、ガバッと目を覚まして、

「ああ、夢で良かった……」

 と胸を撫で下ろして安心した経験は、誰にでもあると思います。

 その逆に、現実離れした楽しい夢や幸せな夢を見ていたのに、中断されて起こされる不快さときたら!

 ……いや、実は、ついさっきの私の体験談でした。
 ロトくじで60万円当たってた!という、妙にリアルな金額の夢。

「あーあ、あの夢が本当だったら良かったのに!」なんて文句を言ってみたりするけれど、夢と現実は別。

 この現実世界には、文句を言う私がいるだけです。

 夢の例え話として有名なところでは、思想家の荘子そうしの「胡蝶こちょうの夢」が挙げられます。

 夢の中で、蝶としてひらひらと飛んでいたところ、そこで目が覚めた。
 はて、自分はさっきまで蝶になった夢を見ていたのか。
 それとも、蝶こそが自分の真の姿であって、人間である今の自分は、蝶が見ている夢なのか……といった説話です。

 どちらが自分なのか。
 いくら考えても答えが見えない、なんとも不思議な話です。
 夢から覚めるまでは、それが夢だと気づくことはできませんから。

 夢の例え話としてもうひとつ、「邯鄲かんたんの夢」があります。
 沈既済しんきせいの小説『枕中記ちんちゅうき』に登場する故事のひとつです。

 若者が故郷を離れ、邯鄲という都を目指した。
 途中で宿に泊まり、宿にいた道士は「夕飯のかゆができるまで昼寝するといい」と勧めてくる。
 道士は、夢が叶うという枕を貸してくれた。

 その後、都に上った若者は、仕事にありつき、みるみる出世して、結婚して子供もできた。
 冤罪で投獄されたり、紆余曲折・波瀾万丈な人生を送るが、冤罪は晴らされ、大勢の孫にも恵まれて、幸福な人生を送る。
 やがて寿命が尽きて、たくさんの人たちに惜しまれながら、眠るようにその人生に幕を閉じた。

 ……というのが、道士から借りた枕で昼寝していた時に見た、束の間の夢であった。
 まだ、夕飯の粥すら出来ていない。

 人生の栄枯盛衰を見て、欲が消えた若者は、邯鄲へ行くことをやめて、道士へ礼を告げたあと、故郷へ戻る……といったお話です。

 人間の一生なんて、所詮「束の間の夢」のように儚いものである、と教えています。

 夢の中で、「これは夢だ」と認識しながら見る夢は「明晰夢めいせきむ」というらしいです。
 自分の思い通りに物語や設定を変化させることができ、まさに「夢心地」なのです。

 昔、あるオカルト雑誌で、この「明晰夢を見る方法」が紹介されていて、眠りにつく前に「これから見るものは夢だ。夢だ。夢だ……」と自分に言い聞かせてから目を閉じて「自分に都合のいい話」を想像する……というのをやったことがあります。

 就寝時に毎回やっていると、一年に二、三回くらいの頻度で「明晰夢」を見ることができました。
 ただし、「あ、これ夢なんだな」と気づいちゃうと、そこでサーッと光が差すように、すぐ目が覚めちゃうんですよね。
 目覚める直前の、残り五秒くらいは自分の思う通りになるのですが、時間が短すぎるんですよ……。

 最近やってなかったなあ、またやってみようかな……。
 残り五秒で60万以上当てようっと! 

 えっ、まさか、落語の「芝浜」みたいに、60万当たったのはホントーで、そのお金を家族にネコババされていたりしないよね?
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