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称号・発明王女返還式
「ところで慶汰さん。話は変わりますが、アロップのことは好きですか?」
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「ところで慶汰さん。話は変わりますが、アロップのことは好きですか?」
「え? そりゃまあ嫌いじゃないけど……へ?」
急な問いかけに、反射でそう答えてしまったが、ニュアンスに気づいて体温が急激に上昇した。
「いやいやいや何言ってんだよ、俺は別にそういうなんつーか……!」
早口に捲し立てた慶汰だが、すぐに落ち着きを取り戻す。
「……ちょっと待て、それどういう意味だ?」
頬を紅潮させたキラティアーズは、両手の指を絡ませて答えた。
「ご、ごめんなさい、変な意味はなかったのです……。十日後に、アロップの誕生日が迫っています。それに協力してもらえそうか探ろうと思っての質問でした」
「だとしてなんで、遠回しに聞いたんだよ」
「あの子、敵を作りやすいですから……もし内心、敬遠されていたらと思うと、つい……」
刹那、脳裏に浮かぶ、お転婆の数々。そして、慶汰と打ち解けるまで、対立を前提として振る舞っていた言動にも、いくつか心当たりがある。
「あ~……まあ、わからなくはないな……」
キラティアーズは咳払いして、話を戻した。
「とにかく、せっかく誕生日が過ぎる前に帰還してくれたのですし、今年はしっかり祝いたいので、ご協力お願いします」
「それはもちろんだけど……。って、今年は? 去年は祝えなかったのか?」
「お恥ずかしながらそうなんです。去年は……というより、毎年のことなのですが、アロップの誕生日は『龍迎祭』というお祭りが開催される日なんです。わたくしは去年から成人したこともあって公務が増えて、祝えずに終わってしまったので」
「十五歳で成人……そっか、大変なんだな。それで、祝うのは大賛成だけど、具体的にどうするんだ?」
「慶汰さんに龍迎祭を案内するよう伝えて、サプライズで誕生日を祝う、というのはどうでしょう。当日は花火が上がるので、そこでお祝いの言葉をかけるのがいいかと」
「いいかとって、キティも一緒に祝うんだろ?」
目を伏せて、キラティアーズは首を横に振る。
「公務で遅くなりますから……わたくしは朝か夜、タイミングがあれば、ですね。ですからどうか、慶汰さんはアロップと楽しくお祭りを過ごしてください」
「そうか……責任重大だな」
「大丈夫ですよ。アロップ、慶汰さんのことをとても気に入っていますから」
「お、おう……」
地上で共に過ごした時のことを思い出すと、普段だったら額面通りに受け止めるであろうそんな言葉も、おかしな考えすぎをしそうになる。
慶汰は襟を引っ張り、熱を帯びる服の中に風を入れた。
お互い住んでいる世界が違うのだ。もし海来を目覚めさせてもらえたのなら、その後は……。そう考えると、すぐに動揺は落ち着いた。
「慶汰さん?」
「いや、なんでもない。というか、アロップは忙しくないのか?」
「十日後なら、ある程度落ち着いているとは思いますが……ひとまず、わたくしの方からアロップに話を通しておきます。慶汰さんは誘われるのをお待ちください」
「え? そりゃまあ嫌いじゃないけど……へ?」
急な問いかけに、反射でそう答えてしまったが、ニュアンスに気づいて体温が急激に上昇した。
「いやいやいや何言ってんだよ、俺は別にそういうなんつーか……!」
早口に捲し立てた慶汰だが、すぐに落ち着きを取り戻す。
「……ちょっと待て、それどういう意味だ?」
頬を紅潮させたキラティアーズは、両手の指を絡ませて答えた。
「ご、ごめんなさい、変な意味はなかったのです……。十日後に、アロップの誕生日が迫っています。それに協力してもらえそうか探ろうと思っての質問でした」
「だとしてなんで、遠回しに聞いたんだよ」
「あの子、敵を作りやすいですから……もし内心、敬遠されていたらと思うと、つい……」
刹那、脳裏に浮かぶ、お転婆の数々。そして、慶汰と打ち解けるまで、対立を前提として振る舞っていた言動にも、いくつか心当たりがある。
「あ~……まあ、わからなくはないな……」
キラティアーズは咳払いして、話を戻した。
「とにかく、せっかく誕生日が過ぎる前に帰還してくれたのですし、今年はしっかり祝いたいので、ご協力お願いします」
「それはもちろんだけど……。って、今年は? 去年は祝えなかったのか?」
「お恥ずかしながらそうなんです。去年は……というより、毎年のことなのですが、アロップの誕生日は『龍迎祭』というお祭りが開催される日なんです。わたくしは去年から成人したこともあって公務が増えて、祝えずに終わってしまったので」
「十五歳で成人……そっか、大変なんだな。それで、祝うのは大賛成だけど、具体的にどうするんだ?」
「慶汰さんに龍迎祭を案内するよう伝えて、サプライズで誕生日を祝う、というのはどうでしょう。当日は花火が上がるので、そこでお祝いの言葉をかけるのがいいかと」
「いいかとって、キティも一緒に祝うんだろ?」
目を伏せて、キラティアーズは首を横に振る。
「公務で遅くなりますから……わたくしは朝か夜、タイミングがあれば、ですね。ですからどうか、慶汰さんはアロップと楽しくお祭りを過ごしてください」
「そうか……責任重大だな」
「大丈夫ですよ。アロップ、慶汰さんのことをとても気に入っていますから」
「お、おう……」
地上で共に過ごした時のことを思い出すと、普段だったら額面通りに受け止めるであろうそんな言葉も、おかしな考えすぎをしそうになる。
慶汰は襟を引っ張り、熱を帯びる服の中に風を入れた。
お互い住んでいる世界が違うのだ。もし海来を目覚めさせてもらえたのなら、その後は……。そう考えると、すぐに動揺は落ち着いた。
「慶汰さん?」
「いや、なんでもない。というか、アロップは忙しくないのか?」
「十日後なら、ある程度落ち着いているとは思いますが……ひとまず、わたくしの方からアロップに話を通しておきます。慶汰さんは誘われるのをお待ちください」
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