社長は身代わり婚約者を溺愛する

日下奈緒

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第14話 君が好き

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すると信一郎さんは、お父さんに頭を下げた。

「改めまして。礼奈さんとお付き合いさせて頂いています、黒崎信一郎と言います。」

「黒崎?どこかで、聞いた事あるな。」

信一郎さんは、頭を上げて不思議がっている。

「信一郎君。お父さんの名前は?」

「黒崎……純一です。」

お父さんは、頭を抱えた。

「あいつの息子か。」


って、えっ⁉お父さん、信一郎さんのお父さんの事、知ってるの?

私と信一郎さんは、顔を見合わせた。


「父をご存じですか?」

「知ってるも何も、中学の時の後輩だ。」

「後輩⁉」

中学の時の後輩が、信一郎さんのお父さんって、どんな交友関係してるのよ!

「若い時に結婚したって聞いていたが、まさかこんな大きな息子がいたなんて。」

待って。お父さん、感慨深そうに言っている?

もしかしたら、私達の事、認めてくれそう?


「仕方ない。まあ、仲良くやれよ。」

「はいっ、お父さん。」

信一郎さんのお父さん呼ばわりで、お父さんは複雑な表情だ。

そして、お父さんがお母さんの元に、戻ろうとした時だ。

「お父さん、折り入ってご相談があります。」

「いっ!」

お父さんの足が止まった。

そして、ゴクンと息を飲む。

「いや、今はいい。」

「今がいいんです。」

信一郎さんは、お父さんの腕を掴んだ。

「いや、まだ早いだろ。」

「早くありません。むしろ、遅い方です。」

「礼奈は、まだ25だぞ。」

「はい?」

信一郎さんとお父さんが、見つめ合う。


「何の話をしているんだ?」

「お父さんの方こそ、話がずれていませんか?」

お父さん、もしかして……

「結婚の話だと、思ってたの?」

私が代わりに言ってあげると、信一郎さんはえっ!と驚いた。

「そうじゃないのか。」

「はい。なんか、すみません。」

信一郎さん、悪くないのに謝っているよ。

「じゃあ、何なんだ。話って。」

「はい。」

信一郎さんは、一枚の書類をお父さんに渡した。

「これは?」

「我が社との、業務提携の提案書です。」

「業務提携⁉」

私とお父さんは、口を揃えて言った。

「お父さん、この工場を僕に援助させて下さい。」

「援助⁉」


私は、だんだん事が大きくなると察した。

「援助させて頂ければ、工場も倒産を免れるでしょう。」

「それはそうだけど……どうして、こんな工場に?」

「礼奈さんがいるからです。」

待って!信一郎さん、それはこの工場に、魅力を感じてないんじゃないの?

「ダメだよ!信一郎さん!」

私は、信一郎さんの腕を掴んだ。

「そんなの、ダメ!無駄にお金を使うなんて。」

「おい、礼奈。」

「お父さんには悪いけれど、もう工場は成長しないよ。」

私は半泣きだった。

信一郎さんに、これ以上迷惑掛けたくない。
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