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第8章 反対
①
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次の日から、世界が変わった。
「おはよう。」
私の隣に、裸の門馬が寝ている。
「おはよう……」
朝からこんな間近に、すっぴんを見られるのは、恥ずかしい。
慌てて、布団で隠した。
「はははっ。恥ずかしいの?俺、もう何度も夏海のすっぴん、見ているよ。」
「うん……」
分かってる。
分かっているけれど、恋人同士になってからは、お初な訳で。
少しでも、綺麗に見られたいと思うのが、女心ってものでしょう。
「さあ、起きよう。今日の朝ご飯は、俺が作るから。」
「えっ……」
布団を剥がされ、急いで下着とTシャツを着る私を他所に、門馬は上半身裸のまま、冷蔵庫を覗いている。
門馬と恋人同士。
昨晩は、嬉しいやら恥ずかしいやらで盛り上がったけれど、よくよく考えてみれば、どんでもない事なのでは?
それこそ、会社の女の子達に、バレないようにしなければ。
「ん?」
門馬が片手で、卵を割っている。
どうやら、目玉焼きを作るようだ。
しかもベーコンなんて、添えちゃって。
ああ……
門馬の手作りのご飯、朝から食べられるなんて、幸せでしかない。
私は、門馬を見ながら、萌えに萌えていた。
「できたよ。」
「ありがとう。」
目の前に置かれていたのは、具たくさんのお味噌汁だった。
これぞ、男飯っぽい!
「なに?」
「ううん。頂きます。」
手を合わせて、門馬に頭を下げた。
会社へ行った後も、世界は変わった。
ふと顔を上げると、よく門馬と目が合う。
二人だけの、楽しみだ。
「あれ?何か、楽しそうだね。」
秋香が、隣から話しかけてきた。
「まあね。」
「まさか、あれが上手くいったの?」
「やあだ、秋香!」
私は、秋香の腕を叩いた。
「ホント、秋香ってばすぐわかるんだから。」
「いや、夏海が、分かりやすいんだって。」
秋香は嬉しそうに、腕を摩っていた。
「そっか。あれだけダメダメって言っていたのに、一つ上手く行くと、続くものだね。」
「そうそう。」
「これなら、昇進とかも夢じゃないね。」
「えっ?」
私は、秋香と目を合わせた。
「……何の話?」
「企画の話、じゃなくて?」
私と秋香は、顔を見合わせた。
「もしかして、夏海……恋愛の話?」
「えっ……ええ?」
すると秋香は、デスクの上に、顔を乗せた。
「もう!夏海に、先越されるなんて!」
秋香は、すごく悔しがっている。
「いや、まだ彼氏できたとは、言ってないよ?」
「じゃあ、できてないの?」
「ん?」
私は、顔を背けた。
「ほら、できたんじゃない!」
「うん……まあね。」
それが、昨夜だとは言いにくい。
「いいなぁ。私も早く、彼氏欲しい。」
美人な秋香に彼氏がいなくて、私に門馬雪人と言う彼氏がいるなんて、複雑。
「……秋香。今まで合コンで知り合った人は、どうなったの?」
「ことごとく、ダメ。」
秋香は、顔を横に振った。
「もう少しで付き合いそうになると、『秋香ちゃんがよかったら、俺を選んで。』って言うの。どうして?」
「どうしてって……みんな、美人な秋香に、選んでほしいんだよ。」
「そんなの、つまんない。私は、選ばれたいのに。」
美人は拗ねても、美人だ。
それにしても、秋香にそんな悩みがあったなんて、考えもしなかった。
男性に、”付き合って”って言われまくっていると思ったから。
「ねえ、どうやって落としたの?」
「落としたのって……なんとなく?いい感じになって?」
秋香は、私の目の前で、思いっきりため息をついた。
「いいなぁ。それ、一番理想のパターンじゃん。」
理想?
いい感じになって、襲われるのが理想?
そうなのかな。
「だって、両想いだって事でしょう?」
門馬と私が両想い?
かぁーっと、私の顔が赤くなる。
「なによ、それ。羨ましい。」
秋香は、ちょっと苦笑いだ。
自分の方が先に、彼氏ができると思っていたんだろう。
私だって、秋香の方が先に、彼氏ができると思っていた。
それがなんの運命か、門馬とねぇ……
私はチラッと、門馬を見た。
門馬も、こっちを向いて、ニコッと笑っている。
この幸せな状況が、偶然訪れた私は、世界一幸運な女だと言っていいだろう。
「ねえ、夏海の彼氏って、どんな人?」
「どんな人……クールな人かな。」
「まさか……同じ会社の人じゃないよね?」
「えっ?」
私は、一歩退いた。
「もしかして、門馬?」
「えっ、いや、違う!!」
咄嗟に、嘘をついた。
「本当に?」
「……うん。」
まさか、私の彼氏が門馬だって事、誰にも知られる訳にはいかない。
「なーんだ。門馬だったら、面白かったのにな。」
「はははっ……」
いえ、付き合ってる前に、もう一緒に住んでます。
両親には、もう結婚しますって、言ってあるしって、絶対口が裂けても言えない。
「どうしたの?顔色、悪いよ?」
「ううん。何でもない。」
何でもないって言葉が、こんなにすんなり言えるなんて、秋香様様だ。
今日、帰ったら秋香に言われた事、門馬にも話してやろう。
きっと、奴は笑って話を聞いてくれるはずだ。
「おはよう。」
私の隣に、裸の門馬が寝ている。
「おはよう……」
朝からこんな間近に、すっぴんを見られるのは、恥ずかしい。
慌てて、布団で隠した。
「はははっ。恥ずかしいの?俺、もう何度も夏海のすっぴん、見ているよ。」
「うん……」
分かってる。
分かっているけれど、恋人同士になってからは、お初な訳で。
少しでも、綺麗に見られたいと思うのが、女心ってものでしょう。
「さあ、起きよう。今日の朝ご飯は、俺が作るから。」
「えっ……」
布団を剥がされ、急いで下着とTシャツを着る私を他所に、門馬は上半身裸のまま、冷蔵庫を覗いている。
門馬と恋人同士。
昨晩は、嬉しいやら恥ずかしいやらで盛り上がったけれど、よくよく考えてみれば、どんでもない事なのでは?
それこそ、会社の女の子達に、バレないようにしなければ。
「ん?」
門馬が片手で、卵を割っている。
どうやら、目玉焼きを作るようだ。
しかもベーコンなんて、添えちゃって。
ああ……
門馬の手作りのご飯、朝から食べられるなんて、幸せでしかない。
私は、門馬を見ながら、萌えに萌えていた。
「できたよ。」
「ありがとう。」
目の前に置かれていたのは、具たくさんのお味噌汁だった。
これぞ、男飯っぽい!
「なに?」
「ううん。頂きます。」
手を合わせて、門馬に頭を下げた。
会社へ行った後も、世界は変わった。
ふと顔を上げると、よく門馬と目が合う。
二人だけの、楽しみだ。
「あれ?何か、楽しそうだね。」
秋香が、隣から話しかけてきた。
「まあね。」
「まさか、あれが上手くいったの?」
「やあだ、秋香!」
私は、秋香の腕を叩いた。
「ホント、秋香ってばすぐわかるんだから。」
「いや、夏海が、分かりやすいんだって。」
秋香は嬉しそうに、腕を摩っていた。
「そっか。あれだけダメダメって言っていたのに、一つ上手く行くと、続くものだね。」
「そうそう。」
「これなら、昇進とかも夢じゃないね。」
「えっ?」
私は、秋香と目を合わせた。
「……何の話?」
「企画の話、じゃなくて?」
私と秋香は、顔を見合わせた。
「もしかして、夏海……恋愛の話?」
「えっ……ええ?」
すると秋香は、デスクの上に、顔を乗せた。
「もう!夏海に、先越されるなんて!」
秋香は、すごく悔しがっている。
「いや、まだ彼氏できたとは、言ってないよ?」
「じゃあ、できてないの?」
「ん?」
私は、顔を背けた。
「ほら、できたんじゃない!」
「うん……まあね。」
それが、昨夜だとは言いにくい。
「いいなぁ。私も早く、彼氏欲しい。」
美人な秋香に彼氏がいなくて、私に門馬雪人と言う彼氏がいるなんて、複雑。
「……秋香。今まで合コンで知り合った人は、どうなったの?」
「ことごとく、ダメ。」
秋香は、顔を横に振った。
「もう少しで付き合いそうになると、『秋香ちゃんがよかったら、俺を選んで。』って言うの。どうして?」
「どうしてって……みんな、美人な秋香に、選んでほしいんだよ。」
「そんなの、つまんない。私は、選ばれたいのに。」
美人は拗ねても、美人だ。
それにしても、秋香にそんな悩みがあったなんて、考えもしなかった。
男性に、”付き合って”って言われまくっていると思ったから。
「ねえ、どうやって落としたの?」
「落としたのって……なんとなく?いい感じになって?」
秋香は、私の目の前で、思いっきりため息をついた。
「いいなぁ。それ、一番理想のパターンじゃん。」
理想?
いい感じになって、襲われるのが理想?
そうなのかな。
「だって、両想いだって事でしょう?」
門馬と私が両想い?
かぁーっと、私の顔が赤くなる。
「なによ、それ。羨ましい。」
秋香は、ちょっと苦笑いだ。
自分の方が先に、彼氏ができると思っていたんだろう。
私だって、秋香の方が先に、彼氏ができると思っていた。
それがなんの運命か、門馬とねぇ……
私はチラッと、門馬を見た。
門馬も、こっちを向いて、ニコッと笑っている。
この幸せな状況が、偶然訪れた私は、世界一幸運な女だと言っていいだろう。
「ねえ、夏海の彼氏って、どんな人?」
「どんな人……クールな人かな。」
「まさか……同じ会社の人じゃないよね?」
「えっ?」
私は、一歩退いた。
「もしかして、門馬?」
「えっ、いや、違う!!」
咄嗟に、嘘をついた。
「本当に?」
「……うん。」
まさか、私の彼氏が門馬だって事、誰にも知られる訳にはいかない。
「なーんだ。門馬だったら、面白かったのにな。」
「はははっ……」
いえ、付き合ってる前に、もう一緒に住んでます。
両親には、もう結婚しますって、言ってあるしって、絶対口が裂けても言えない。
「どうしたの?顔色、悪いよ?」
「ううん。何でもない。」
何でもないって言葉が、こんなにすんなり言えるなんて、秋香様様だ。
今日、帰ったら秋香に言われた事、門馬にも話してやろう。
きっと、奴は笑って話を聞いてくれるはずだ。
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