15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜 【完結】

日下奈緒

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第2章 恋に落ちるのは、ほんの数日だった

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出会い。

じゃあ……

私との出会いは?

「玲央さんにとって、私との出会いは……」

続きが言えなくなって、言葉が喉に引っかかる。

そのとき、玲央さんの声が、静かに落ちてきた。

「ひよりさんとの出会いは、奇跡だよ。」

玲央さんの声は、まるで優しい風のように静かに降ってきた。

私は思わず顔を上げる。彼の瞳が真っ直ぐに私を見つめていた。

「もし、あの時。ひよりさんが助けてくれなかったら、俺……死んでたかもしれない。」

その言葉が胸に刺さる。私の中で何かがきゅっと締めつけられた。

「そんなの……嫌です」

気づいた時には、私は玲央さんの腕にしがみついていた。

彼の腕のぬくもりに、心がじんわりと溶けていく。

「ひよりさん?」

優しい声が耳元に触れる。

「私、あなたを助けられて、本当に……よかった。」

目が合った瞬間、玲央さんの瞳が微かに揺れる。その奥に、優しさと、何かを押し殺すような切なさが宿っていた。

「どの建物ですか?」

運転手さんの声が現実に引き戻す。

はっとして窓の外を見ると、見慣れた景色が広がっていた。

私は玲央さんからそっと離れ、少し恥ずかしそうに答えた。

「えっと……右の、緑の屋根のアパートです。」

玲央さんは軽く頷き、「了解」と言って微笑んだ。

車がゆっくりとそちらへ向かって進み始める。

車内に残る静けさの中、二人の心だけが確かに近づいていた。

そしてアパートの前に、車が静かに停まった。

「はい、お嬢さん。」

玲央さんがドアを開けてくれる。

その動作ひとつひとつが、まるで夢の中の紳士のようで——

私は胸の奥が温かくなるのを感じながら、ゆっくりと車から降りた。

「じゃあ、何かあったら連絡して。」

玲央さんは、優しく微笑む。

でもその笑顔に、どこか距離を感じた。

「……はい。」

小さく頷きながら、私は玲央さんを見つめた。

伝えたい言葉が喉につかえて、うまく出てこない。

「これで……終わりでしょうか」

その言葉がようやく唇からこぼれた。

玲央さんの表情がふっと揺れる。

「もう、玲央さんに……会えないのでしょうか」

本当は言いたくなかった。

でも、言わなければ終わってしまうような気がして——

次の瞬間、玲央さんの手が私の腕を掴んだ。

「ひよりさん……」

その声は、かすかに震えていた。

そしてその眼差しには、揺るぎない想いが宿っていた。

その時だった。

静かな空気を破るように、車の中から声がした。

「副社長、そろそろお時間です。」

運転手さんの落ち着いた声に、玲央さんは少しだけ眉をひそめた。

「……ああ。」

その一言と共に、彼は車に乗り込もうと背を向けた。

終わる——そう思った。

この数日間が、夢のように過ぎていく音がした。

胸がぎゅっと締めつけられる。

思わず私は叫んでいた。

「ありがとうございましたっ!」

その言葉に、玲央さんの動きが止まった。
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